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2.「私の本当の名は、ニギハヤミコハクヌシだ!」byハク

ある出来事の説明をしようとするときに、
いつも困ってしまうのが、
「それがどこから始まったのか」ということ。

綿々と繋がる物語を辿っていくと
あちらにもこちらにも伏線が網の目のように敷かれていて、
さらに、そこにはたくさんの命のいとなみが複雑に絡みあっていて、
私の人生から話しはじめても、
「それがどこから始まったのか」という、物語のはじまりには
到底、辿りつけないのではないかと、途方にくれてしまいます。


それでも、前後してしまうかもしれないけれど、
このお話から始めてみようと思います。


私は、今から数年前に、とある集合住宅の一部屋を借りて、住んでいた時期がありました。

その集合住宅の部屋は、
よく風がとおり、
窓の向こうはひらけていて、
毎朝、お日さまが昇ってくるのを眺めることができ、
毎晩、漆黒の闇にに向かう藍色の空を眺めることができました。


目の高さにある空は、信じられないほど近くて、
毎日、刻々と変化してゆく美しさに見惚れては、
随分長い時間、空を眺めていたように思います。
とても気持ちの良い部屋でした。



その部屋の向こうには、市民の手によって守られた森がひろがり、
部屋の目の前には、街中によくあるタイプの小さな公園がありました。

その部屋に出合う前の私は、慣れない生活に疲労困憊の状態。
なんとかしなくちゃ。母子だけでも過ごせる小さな部屋を探そう。

毎日、歩いて、歩いて、不動産屋さんをまわっては、
予算や条件に見合う物件に出合うことができず、困り果てていました。

その日も、歩いて、歩いて、物件を探しまわり、
もう何度も何度も通過している小さな歩道橋を、ふと見上げると、

「◯◯弁天橋」


という文字が、ばーん!と目に飛び込んできました。

目に、というよりは、胸にとびこんでくる感じでしょうか。


その瞬間。
ああ、この近くに弁財天さまがいらっしゃるはず。
祈りの場があるはず。

ここに住むことになる。と、確信します。

そこからは部屋を探すことをやめ、弁財天をまつる神社を探しはじめます。

おかしいな。毎日のように通っているけれど、この辺りに神社はなかったはず。


ぐるぐる歩きまわり、
ネットを検索し、


やっと見つけた弁財天神社は、
よく目にしていた、よく目の前を通っていた、
小さな公園の一角にまつられていました。

見つけた瞬間は、鳥肌がたちました。

でも、弁財天さまというのに、
お世辞にも美しいとはいえない様相。

苔の生えたガラスのコップが置かれていて
鳥のフンや蜘蛛の巣、枯れ葉が散乱しています。


弁財天さまにご挨拶し、そこからはあっという間。

この集落には、集合住宅が30棟近くあり、
その中でも一番面積が小さく、一番家賃が安く、
母子で少しの間暮らすには、ちょうど良い部屋をネット上で一番最初にあがってきたため、即決。

とんとん拍子で引っ越しを終えて、
片付けや用事で毎日大忙しの中、


ある日、
「千と千尋の神隠し」の映画を観ることになります。

なぜか、iPad内にこの映画だけが入っていて、
自分でも何故こんなに忙しい中、今この映画を観るのだろうと、
首を傾げながらも、抗えずに最後まで映画を観るのです。


後で分かることになるのですが、その地域には、こんな伝説が残っているそうです。


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「むかし、昼間でも霧がたちこめる森の中に、
 澄みわたる水を満々とたたえる池があり、
 その水は、村中の田畑を潤していた。
 その池の主は、美しい娘が姿をかえた大蛇であった。
 ある日、旅人に姿を見られた大蛇は、
 翌日、美しい娘の姿で寺にあらわれ、
 人間に醜い姿を見られたために、もうこの池に住むことはできない。 
 しかし、村の田畑を潤す水が気がかり。主がいなくなっても、
 祠を建て、わたしをまつってほしい。
 そうすれば、池の水が枯れることはないでしょう。
 寺の和尚と村人は、池のほとりに祠を建て、
 大蛇の好きな卵を供えて祈ったと。
 その池は、長い間、枯れずに村の田畑を潤し続けた。
 むかし、池だった所は、〇〇池公園になった。」


そして、さらに不思議なこと。

私がこの地に住まう同じ理由で、
13年前に引っ越しをするご家族に実際に起こったお話。
そのお子さんがまだ幼い頃、
目の前に龍があらわれ、龍の名を教えてくれたそうです。
その名前を、誰にも教えてはならないと言い残し、
ものすごい勢いで、空を飛んでいったと。


私が引っ越しをした部屋は、
弁財天さまがまつられた祠の目の前。
◯◯池公園の目の前の部屋でした。


ふりかえると、
この地に引っ越しをしようと決めざるを得なかった疲労困憊の状況
部屋探しの際に、「弁天橋」の文字が飛び込んできたこと
そして、「千と千尋の神隠し」の映画を観させられたこと

すべてに意味がある


この後、まだまだ色々なことが起こりますが、
それはまた、綴ってみようと思います。


昨日、2020年の8月8日は
箱根にある白龍神社の例大祭でした。
家族で早朝の霧が立ち込める中、おまいりできたことも、
意味があるのでしょう。

ちなみに、これは、ほんのお遊びですが
「あなたをジブリのキャラクターにたとえると!?」という診断をやってみると、

私は何度トライしても、
「千と千尋の神隠し」の千尋になり、

次男坊に同じ質問をしてみると、
「千と千尋の神隠し」のハクになるのでした。

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読んでくださって、ありがとうございます。

今日も、みなさん、愛しい日々を。

また、明日。


咲多美唯喜


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