見出し画像

人生ではじめて通勤で心が折れる:怪我人初心者日記 その2

人生ではじめて骨折をして松葉づえをした人間の忘備録です。

人生ではじめて通勤バッグに悩んだ

本当はそのまま帰宅して自転車を置いたら通勤するつもりだったが、いったん体勢を立て直すことに。普段、僕は革のビジネストートを使っている。もう10年ほど使っているお気に入りだ。この10年ほどの間にビジネスバッグのトレンドはすっかりリュックになったのだが、あいにく僕はそんな最先端ビジネスマンみたいなものは持っていない。しかし、松葉づえという手段をとるには、トートは甚だ不向きだ。思案した結果、めっちゃカジュアルなデニムリュックに登場を願うことになった。そちらに荷物を移し替えて、恰好がスーツのスラックスだとデニムリュックが死ぬほど似合わないので、パンツをチノに履き替える。これで出発準備完了。こりゃしばらくカジュアル通勤だな。

人生ではじめて自宅からの数分で心が折れる

通勤は普段、自宅から徒歩2分ほどのところにある始発バス停からバスに乗って駅前まで出たら始発駅の地下鉄に乗って会社にいく。普段は本当になんてことないし、むしろ自分の人生でもトップクラスに楽な通勤経路だと思っている。

しかし、この日、僕はマジで心が折れた。まずマンションから出るだけで一汗をかく。

マンションの敷地が広い(普段はそんなこと全く感じない)

マンションからバス停が遠い(普段は徒歩2分かからないくらい、下手したら、バスの出発のランプが点滅してエンジンがかかり始めても、ダッシュすれば間に合うこともある)

途中、一息をついて呼吸を整えるのを2回ほど繰り返してようやとバス停にたどり着く。バスがまだ来ていなかったので、たどり着く前に出発される絶望を味あわなくてすんだ。バスに乗り込むのは、教わった通りにまず体を階段に載せてから松葉づえを上げるとやれば、思ったよりも楽にできたし、そのまま優先席に堂々と座れるのは悪くない。バスから降りるのが少々怖かったが、まあ、これも教わった通りに、今度は松葉づえを先に落として、からだを下すとやれば無理ではない。

人生ではじめてエスカレーターに悩む

バス停から駅もそれほど遠くはないから何とかなったし、駅の中に入るのはエレベーターがあるからなんとか。しかし、すでに歩き疲れている。っつうか、手も痛いし、脇も痛い。なんということだ。大丈夫か俺は。

地下鉄の改札を入るといきなり下りのエスカレーター。エレベーターはない。階段はある。階段…階段… これやだよ。

ということで、おそるおそる禁忌をやぶってエスカレーターに乗る。幸い、足がまったく動かないわけでもないので、なんとかちゃんと乗れる。先に足をいれて、松葉づえを階段の下の段におけばいい。ごめん、下りエスカレーター、今まで正直、君はどちらかと言えばいらない子だと思ってた。全然、そんなことなかった。お前はいい子だ。使える子だ。エスカレーターからホームに降り立ち、地下鉄に乗り込む。あとは座っていれば地下鉄が最寄の駅まで運んでくれる。途中1回乗り換えるけど、それも向かいのホームだから大丈夫。

人生ではじめて駅から会社までの道のりに心が折れる

会社の最寄駅のホームに降り立ち、すぐにエレベーターを見つける。意外となんとかなるかと思ったら、そこからが辛い。

そもそも駅から会社までが絶望的に長い。しかも、途中、短めの階段(エスカレーターもない)がひとつと、エスカレーターのある長めの階段がひとつ。短い階段は何とかクリアして、長めのエスカレーターと階段はやはり葛藤をしつつ、エスカレーターを選択。一瞬、松葉づえがひっかかって冷や汗をかいたものの、上手く体を立て直して、無事に降りることができた。後ろのサラリーマンに心配をかけてしまい、もうしわけない。まだ道のりは健康体で5分弱。つまり贔屓目に見ても300mはある。これが絶望的だった。途中、20回松葉づえをついては止まり、10回松葉づえをついては止まりを繰り返し、会社のビルにたどり着くころには汗が額から滴っていた。家を出たときは途中、コンビニによって食べてない昼飯を買おうかと思ったが、そんな余裕は微塵も残っていなかった。

しかし、会社のビルの入り口から自席に行くにはエスカレーターを1回、エレベーターを二回乗らなくてはならない。自社のオフィスビルを呪いたくなった。

会社のフロアの重い扉をなんとか開いて、フロアに入ったら同僚が、うわあという顔で出迎えてくれた。

この日の気づき:松葉づえで難儀したこと

1. 階段しかない(まじで殺意。エレベーターと階段口が遠いと割と絶望)

2. 代替手段がエスカレーターしかない(リスキーではあるが、選ばざるをえない。でもやっぱり引っかかるとこわい)

3. オフィスビルのドアの重さ(いつの日か自動ドアになってくれるんですかね)

4. バスの乗り口が狭い(意外と松葉づえがひっかかりそう)

5. とにかく距離がはてしない(ここまで距離感に絶望するとは思わなかった)

5. 松葉づえのゴム臭がすごい(ずっと使ってるので、手がゴム臭くなる)





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?