夏目葉月

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3月31日

私には君の気持ちがわかる。たった一人の誰かに愛されたかったことも、たった一人で愛し続けたかったことも、全てを知っていたかったことも、本当は本物が欲しかったことも、わかると言われて腹が立つことも、それでも誰かにわかっていてほしいことも。春の匂いなんてしないまま、また何も終わらないまま、春が来る。心だけを残して、また春を迎える。

    • 2022/3/31

      もう、逃げたい、逃亡、行きたくない、辞めたい。ここ1ヶ月と半月の口癖。毎日、私には感情がないと思って仕事へ行く。生憎死にたいと思ったことは生まれてこのかた一度もないから、私は病気じゃないのだろう。死にたいと思ったことも、絶望を感じたこともない。ただ日々が気持ち悪い。言葉にすると、それは「うぇえええ」だけど、心と脳はもっとぐちゃぐちゃ。心と脳は確実に、拒否反応を出しているのに、身体は勝手に職場へと向かう。身体が動かなくなって、苦しんでくれた方が楽なのに。行きたくないと思いながら

      • 夏が来たことに気がつかないまま終わる

        楽しくない。忙しい。たいして忙しくもないのに忙しい。転職して三ヶ月経った。一から覚えることだらけで、大変だ。もう三ヶ月経ったのか。あっという間だ。まだまだ全然、何もできない。何もできていない。三ヶ月経って何もできないなんて、向いていないのではないか。でも、向いていなくてもやりたい。二ヶ月目の途中からつい最近まで、一ヶ月くらい地獄みたいな日々を過ごした。やる気ゼロ、元気ゼロ、根気ゼロ、責任感ゼロ。とにかくやる気がなかった。最低だった。最低だと気づかないまま人生が終わってくれたら

        • なんてひ

          なんて日だ。自分がこれを言うとは思わなかった。本当に、なんて日だ。私は今日、23になった。そう、めでたい日だ。私の一年の中で、この世の全ての記念日の中で、最もめでたい日。それなのに、こんな最悪な気分になるとは思いもしなかった。 私は毎年、誕生日に感じたことを書き記している。今回もそうだった。書くことは大体決めていたのに。予定変更。もう何にもかけない。あの一文だけで、もう私の気分はめちゃくちゃになってしまった。めちゃくちゃな気分を書くことで消化しないと頭がぐるぐるぐるぐる回り

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          5本

        記事

          愛を伝えて

          言葉が好き。言葉は人の感情で、思いだから。文章は、その人となりを表すもので、それらは嘘を書くことができても、人を騙すことができても、決して嘘をつくことができない。だから私は、小説や詩やエッセイが、人の紡ぐ物語が好きだ。 私が好きな、「LEBECCA boutique」という服屋は、そういう服屋。勿論、物理的に届けているのは服だけれど、それだけじゃないということは、知ればすぐに分かる。彼女、彼等が創り、届ける服は、人の感情、思いそのものだ。映画監督が感情を映像にする

          愛を伝えて

          春の葬式

          それはよく晴れた春の日だった。父が死んだと電話を受けた時、私はまさに辛ラーメンを食べようとしていた。私は「そう」とだけ言い、電話を切った。そして出来立てほやほやのラーメンを伸びないうちに食べた。世間的にみると不謹慎かもしれないが、人なんて一日に何人も死んでいる。ただそれが父親という、名だけの身内なだけだ。もう何年も会っていない私には関係のないことだった。例え血を分けた親子だとしても、過ごした思い出が美しかったとしても、悲しむことができない死もある。もちろん死んだことは悲しい

          春の葬式

          本当のことを言えば、みんな頑張ろうね、頑張ったねって言える人になりたかった。本当のことを言えば、綺麗事ばかりの世界にうんざりしていた。どちらも本当の私で、今年もまた矛盾したまま生きていくのだ。世界の滅亡よりも、世界が絶望することを望んでいる。

          本当のことを言えば、みんな頑張ろうね、頑張ったねって言える人になりたかった。本当のことを言えば、綺麗事ばかりの世界にうんざりしていた。どちらも本当の私で、今年もまた矛盾したまま生きていくのだ。世界の滅亡よりも、世界が絶望することを望んでいる。

          それって何年後?

          世界の当たり前が変わった。何事も最初は戸惑いから始まる。戸惑いはいずれ慣れに変わる。そして当たり前になる。悪いのはウイルスであって、誰も悪くない。誰も悪くないんだろう。だったらどうして感染は止まらないんだ。 マスクをしていればどこへ行ってもいいんですか。旅行している人なんて全員爆破しろって思うよ。でも旅館の人にとっては神様にも見えるのかな。仕事がなくなって自殺する人も増えているのだから。 気軽に家から出ることができなくなって、大切なものに順位ができた。だから私は私たちが安心で

          それって何年後?

          逃げる

          誰一人として私を知らない街を歩く。そこら中の飲み屋が賑わっている。私はそこを、ただ一人で歩くだけ。このまま完全に陽が沈んで夜になって、私をさらってくれたらどれだけ幸せか。ただ待つだけで幸せになれる、そんな話が羨ましかった。努力をしている人間も、努力をやめた人間も、ただ待つだけの人間も、平等に幸せになれる最低な世界を祈った。 頑張らずに幸せになりたい。ドラマのような展開は希望しないから。今すぐに私を連れ出してほしい。美しいものだけを見て美しいものだけを聴いて生きていたい。この世

          見つけられない

          私はどうしたって夜が好きで、朝が嫌いだ。夜の風は緩やかに私を包む。だんだん空が高くなってくる。星はもう手の届かないところまで行ってしまった。もうすぐ、何を着ても寒いと凍える季節がやってくる。

          見つけられない

          8月31日、夏

          八月が終わり、九月が始まることが許せなかった。終わるならついでに世界も終わってほしかった。苦しいと悲鳴を上げ続けるしかなかった。それでも逃げ出すことはできなかった。何かが終わり、何かが始まる度に、世界が爆発すればいいのにと思った。そんな十代を過ごしていた。 九月は始まったけれど、夏はまだ終わる気配を見せず、今からが本番だと言わんばかりに嵐を巻き起こしている。そんな気候なんて無視をして、秋一色になっているのがショッピングモール。芋栗南京、長袖、暖色。まるでもう夏はいないと言わ

          8月31日、夏

          HappyBirthday!

          8月25日の今日。また一つ歳をとりました。ありがとうございます。不思議ですね、誕生日って。実感なんてないのに、22年前の今日、私は産まれたんだなあと思うとなんだかくすぐったくて、私はそれだけで幸せな気持ちになります。勝手ですが、皆さんもそうであってほしいです。そうでない人も、いつかそうなってほしいです。 毎年誕生日に思うことは、私は一人で産まれて生きてきたわけではないということ。母はよく言うけれど、親が勝手に産んだわけではなくて、私が産まれたいと望んで産まれてきたということ

          HappyBirthday!

          誰にでも訪れる平等〜「やがて海へと届く」を読んで〜

          不意に窓の外をぼうっと眺めた。青い空に引き寄せられるように立ち上がり、近づく。下校する小学生たちの声。爽やかな香りのする風を思いっきり吸い込む。先日までのようなじめじめとした空気はもうどこにも見当たらず、からっとした、陽射しが痛い季節がやって来ていた。夏だった。大きな黒い雲に目が行き、夕立がくる、と思った。蝉が鳴いていた。 今日の朝は、誰かがいなくなった次の日の朝で、そんなことは何一つ感じないまま、私の世界は何も変わらないまま、私だけの朝が来る。誰かが絶望して乗り越えられな

          誰にでも訪れる平等〜「やがて海へと届く」を読んで〜

          優しくしたくて

          一ヶ月、いや、もっと前から私の心は同じ温度でいる。同じ感情を繰り返している。 どうせこうなるだろうと思っていた3月。遅すぎる選択は何も生まないと感じた4月。一瞬の淡い期待を抱いた5月。遅れてやってきた五月病と戦う6月。やっぱりこうなった、期待しなくてよかったと思った7月。どこにも行けないのは苦痛じゃない。誰かと会えないのも苦痛じゃない。いつまで経っても、生きづらさが拭えなくて優しくなれないことが苦痛だった。 世の中に普通の幸せがある限り、考えてしまう。普通に結婚して、普通の

          優しくしたくて

          どうでもいいことを書いて、自分の人生なんてどうでもよくて、死に様とか生き様とかマジでどうでもいい。どうせ生きて死ぬなら好きなように生きさせてくれ。俺は努力もしたくないし夢もみたくない。ただ平和にぬるいお湯の中で一生を終わりたいだけだ。

          どうでもいいことを書いて、自分の人生なんてどうでもよくて、死に様とか生き様とかマジでどうでもいい。どうせ生きて死ぬなら好きなように生きさせてくれ。俺は努力もしたくないし夢もみたくない。ただ平和にぬるいお湯の中で一生を終わりたいだけだ。

          6月7日

          未来のことを考えながら今を生きる。当たり前のこと。正しいこと。死んだら何もかも終わりだということは、知っていても全然わからない。自分で発した言葉が自分のものではないと気がついた時には遅かった。嘘を書く度、嘘を言う度、少しずつ死んでいくような気がしていた。周りに合わせる度、わたしは少しずつ、死んでいった。田舎の町は今日も平和で、優しくて、ぬるい。