#今日の天気 仄暗い空気をまとったとき

9月の朝。

あれだけ蒸し暑かった朝の気配はすっかり消えて、長袖でも肌寒い。夜明け少し前の薄い灰色の空とつめたさを身体にまとうと不思議と過去に引き戻される。

あれは、私が小学生だったころ。夜が明ける少し前、私は散歩していた。それがどこだったのか思い出せないがたぶん夏休みの旅行先だったと思う。家族と一緒だったはずなのに、引き戻された過去には家族の姿はいない。そして私の周りには誰もいない。

どこかの山付近の宿の周りなんだろう。うっすらと霧がかかり空気がひんやりとしていた。私は爽快感と開放感でいっぱいだった。

どうして一人だったのだろう。私は小学生であり土地勘のない場所を一人で歩くはずがないのだ。記憶の中では私一人だった。

私は家族から開放されたかったのだろうか。
過去に引き戻されるのはそんな願望があるからだろうか。

空を見上げてみた。雨が降るのかもしれない。

私はこの仄暗い朝の空気感が好きだ。
開放されたいと願う罪悪感には、こんな空気感が似合っている。

そして何事も無い一日が始まる。

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今日の投稿は#同じテーマで書いてみよう 」をやってみますの16日(月)「今日の天気」参加作品です。

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