見出し画像

Vergesslichkeit

風誘う花きみに
あてた香りひらく
その声たよりに
気付くは誰(た)の心の芽


うつる季節に紡ぐ泡沫は
そらに煌めく
星に見る影はたそかれ
交わす約束伝う
祈りはいつかのあなたに
尋ねる、あかし
かの人、いま何処


花散らす雨不意に
疾る光の裂く声
さあ、
ここにおいで


風誘う花きみに
贈る香りひとつ
その時心に浮かぶは
誰(た)の記憶でしょう


託す生命はめぐる
いつかのあなたのその瞳に
届いて名も失せし
懐かしき人の
夢に息衝く
浮かぶ水面の満月に手向けよう
行方も知らぬ
流れの軌跡に預けて
唯一つきりの
この心をここに

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?