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【台本創作ノウハウ】台本師が依頼を受ける時に気をつけるべきこと

音声作品向けの台本を書く活動をして6年になります。さわなです。

今回は私の体験談を踏まえて、台本執筆依頼(以下、依頼)で、依頼主様とのやり取りで気を付けるべきことをまとめました。
依頼を引き受けてから納品後まで、順序立てて書いています。特に注意すべき点以外に、当たり前なことも含まれていますが、依頼時の確認事項が網羅できるようにしました。

※筆者の経験をもとに書いた内容になっています。すべての方に当てはまる、または有効と言うわけではないのでご理解ください。


依頼~納品までの流れ

依頼から納品までの大まかな流れは以下の通りです。
各章で細かく説明します。

  1. 依頼主様から依頼の連絡がある

  2. 依頼内容を確認する

  3. 台本執筆を開始する前に:依頼主様へのお願い事項を決め、作業開始前に伝えておく

  4. 執筆作業開始

  5. 適宜、経過報告する(下書きを見せて確認をお願いする)

  6. 完成品を確認してもらう

  7. (有償の場合)金額提示と領収書の発行

  8. 納品とアフターフォロー。(有償の場合)金銭のやり取り


大事なのは2、3番。なにごとも段取り八分。最初の仕様確認が大事です!


依頼主様から依頼の連絡がある

DMやメールアドレスに突然依頼の連絡があります。

経験上、以下の3パターンがありました。わたしの対応例を書きます。
(わたしの経験なので、実際はいろんなケースがあるかもしれません)

①依頼内容の詳細不明で「依頼可能ですか?」の連絡

「台本の依頼お願いできますか?」
希望する台本について詳細情報がなく、執筆可能か問い合わせがあるパターン
→依頼内容の詳細と有償依頼か無償依頼か確認する

<所感>
私の場合、女性向け、男性向け、ボイスドラマを書いているので、「何を書くか」わからないと書けない、執筆可能か判断ができません。依頼主様が「何を求めている台本」を一言でもいいので添えて頂けると返答がしやすいです。

②希望する台本の概要を提示され、有償の場合は見積もりを依頼される

「○○(例えば、女性向けヤンデレ)の台本について依頼をしたいのですが、見積もりお願いします」(有償の場合)
→台本執筆の料金(1文字○円とか、○○○○字まで○○○円、リテイク○円などの料金表)と納期予定を提示。(納期は先方から希望日を伝えられる場合があります)
初回のやり取りで依頼内容に不明な点がある場合は確認する。

「○○(例えば、女性向けヤンデレ)の台本について依頼をしたいのですが、可能ですか」(無償の場合)
納期の相談。初回のやり取りで依頼内容に不明な点がある場合は確認する。

③希望する台本の概要を提示され、有償の場合は料金を指定される

「○○(例えば、女性向けヤンデレ)の台本について、1文字○円で台本制作をお願いしたのですが。」
→依頼主から金額提示する場合もある。
初回のやり取りで依頼内容に不明な点がある場合は確認する。


依頼内容を確認する

  • 対象視聴者

    • 台本の内容に関わるため、確認しましょう(最初から明確な場合は不要)

  • 台本の文字数

  • 人物設定やプロットがあるか

    • 依頼主が任せると言った場合でも、雰囲気を掴むために自作の類似作品を質問するとよいでしょう

  • 希望納期

  • 納品形態

    • 台本をどのような形式で提出するのか確認する。(Word,PDF,txt,Googleドキュメントで共有など。Wordを希望される場合もあります)

  • 提出方法の指定有無

    • 台本の提出手段を確認する(メール添付,共有リンク提示,ギガファイルなどファイルダウンロードサービス)

  • 音声の出荷形態と音声頒布・公開予定日

    • 関わった台本が、いつどのようにお披露目されるのか気になる場合は確認する(YouTube,ファンサイト,ダウンロード販売,コミケ物販)

  • 有償依頼かどうか

    • その場合の支払い方法を確認しましょう。銀行振込で金銭を受け取れない場合は、他の手段、例えばAmazonギフトカードなどを提示して、依頼主様が対応可能か確認しましょう


台本執筆を開始する前に:依頼主様へのお願い事項を決め、作業開始前に伝えておく

前章に挙げた確認事項が明確になり、台本執筆を始める環境が整いました!
あとは書くだけ……!

でもちょっと待ってください。また確認が漏れていることがあります。

この章がわたしが一番お伝えしたいこと、事前に取り交わすべきお約束です!


事前確認の大切さ

言わないと相手には伝わりません。
暗黙の了解を過信せず、「言わなくても作者名をクレジットしてくれるだろう」「言わなくても台本使用後に連絡してくれるだろう」と思わずに、依頼主様に自分の希望を伝えましょう。
個人の体験ですが、台本を納品後それっきりで音声が公開されたのかどうかもわからないことが何回かありました。(多くはありませんが、あるにはあります)

納品した台本に関わること、金額や工数が発生することは作業前に依頼主様と確認し、すり合わせておきましょう。
特に納品した台本は我が子のように大事なものですから、台本のその後のことについて、きちんと話し合っておいた方が安心です。
つまり、「自分が書いた台本を大切に扱ってくださいね」と、事前に念押しするんです。


①最も大事な事前確認

  • クレジットの希望と内容

    • 作者名のクレジットを希望する場合は、希望する旨と表記を伝えましょう。

  • 音声頒布・音声公開の連絡有無

    • 連絡が欲しい場合はお願いしましょう。伝えないと台本を納品した以降連絡が無い場合もあります。

  • 台本を使用しなかった場合の約束事

    • 期日までに台本を使用しなかった場合はどうなるのか。例えば、フリー台本化するなど、対応を伝えておきましょう。音声化後の連絡をお願いするとなお良いです。

  • リテイクの回数上限と料金

    • リテイクに何回応じるのか、有償の場合はリテイクの料金を明確にしておきましょう。


②その他、事前に確認しておいた方がよいこと

  • 完成までの流れをすりあわせておく

    • 初稿提出→依頼主の指摘→リテイク→依頼主の指摘→二稿提出→リテイク→先方確認→完成。なのか、

    • プロットの前半まで書く→依頼主が方向性の確認し、コメントをもらう→前半の軌道修正をしながら通しで書き初稿提出→依頼主の指摘→リテイク→二稿提出→依頼主の確認→完成

  • 台本の形式を確認する

    • 依頼主様にとって見やすい形式を確認しましょう。

    • 縦書きか、横書きか、ト書きの書き方。句読点、3点リーダーの使い方…など。

    • 台本の書き方は人それぞれです。自分の台本のサンプルをお見せして、自分の書き方で問題ないか確認しましょう

  • 有償依頼の場合、金額を提示する段階を決めておく

    • 文字数単価で算出する場合は最終稿の文字数で変わりますので、最終原稿ができてから金額確定となります


執筆作業開始

台本を書く作業です。

下書きを共有し、確認をお願いするなどして、適宜進捗報告をすると良いと思います。

わたしの場合、1万字を超える場合は、3割書けたところで、一度見てもらいます。
序盤の書き出し、雰囲気と方向性を確認してもらい、このまま書き進めてもよいか判断してもらいます。その後、8~9割完成のところで精読をお願いし、語尾などの細かいチェックをお願いし、10割に近づけます。依頼主様のチェックで完成10割になると思っているので、私が書き終わっただけでは完成しません。

3000字程度の場合は、プロット、大まかな流れを書き始める前に確認してもらい、書き終わってから確認してもらいます。その後、依頼主様からコメントを仰ぎ、細かい修正をして完成させます。

この作業の中で、執筆→依頼主様の確認→指摘事項修正をおこない、台本を完成品にしていきます。


完成品を確認してもらう

納品できる状態になったら、依頼主様から指定された提出方法で提出します。
有償依頼で金額設定が文字単位の場合、この時点で金額を提示します。


納品

依頼主様の最終確認が終わり、台本の修正がない場合は納品となります。

有償依頼で、依頼主が企業の場合は領収書を求められることがあります。WordやExcelで領収書作成し、PDFファイルにして発行しましょう。
念のため、必要かどうか事前に確認するとよいです。


納品とアフターフォロー

台本を納品して、一段落。ホッと一息つけるところだと思います。

ですが、金銭のやり取り(有償依頼の場合)や音声化を見届けるまでは気を緩めずにいきましょう。
納品後に確認すべきことはふたつです。

  • 有償の場合、報酬は支払われたか?

  • 予定日までに音声頒布または音声公開されたか?または使用後の連絡があったか?

    • まだの場合は依頼主様に状況確認の連絡をする

<わたしの体験談:音声化の確認をしなかったケース>
推しに”自分のためだけのオリジナル音声”を読んでもらうため、台本執筆を依頼されたことがあります。
一般ユーザー向けではなく依頼主様のだけの音声であるため、「音声化したか?」の連絡は控えました。


今後ために『依頼について』明示化しよう

台本執筆依頼では、書き始める前の仕様確認、台本の扱いに関する約束を交わすことが重要だとお話ししてきました。
確認することが多くて大変なので、『依頼について』を明示化しておくと、依頼主様も依頼しやすいかもしれません。(どんな情報を伝えればいいのか明確になる)

  • 依頼を受け付けているか

  • 執筆可能なジャンルや作風

  • 有償依頼の場合、料金体系

  • 無償依頼と有償依頼の条件

  • 依頼の仕方(「台本の内容、希望納期、文字数などの情報を依頼時に教えて欲しい」など)


まとめ

台本を書く側も、依頼する側も気持ちよくやり取りができるように、きめ細かい確認が大事です。

特に台本を書き始める前の仕様確認と台本の扱いについて約束を決めるのが大切で、比重も大きいです。

<最も大事な事前確認事項>

クレジットを希望する場合は、希望と表記する内容を伝える

希望する場合は音声頒布・音声公開の連絡有無をお願いする

台本を使用しなかった場合の約束事を取り交わしておく

あらかじめリテイクの回数上限と料金を提示する

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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