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スーパーカブでレース 中編

さてさて、レース車両の準備は整いましたが、いきなりぶっつけ本番というわけにもいかないので、サーキットで練習走行をすることに。
場所は「堺カートランド」。名前の通りカート用のサーキットですが、日によってミニバイク(150㏄以下)の練習もできます。料金は朝9時から夕方の17時まで走り放題で5,500円、タイム計測器(トランスポンダー)は500円でレンタル出来ます。

息子は2シーズン、カブレースに参戦しているのでサーキット走行には慣れていますが、今回一緒にレースに出る友達のA君はまったくの初心者。しかもスーパーカブはATでありながらクラッチ操作なしで1~3速のギアチェンジができる遠心クラッチという仕組みのバイクなので少々慣れが必要なのです。

レース本番まで2回、堺カートランドで練習したのですが、2回目の練習を終えて息子からLINEが。

「A、速すぎておもろい」
「練習2回目で膝するのえぐい」

なんとレース初心者のA君、2回目の練習走行ですでに膝を擦るほど上達した模様。話を聞くと休憩もそこそこに2人で200周以上走ったとか。若いねぇ。
これはもしや入賞か??残るライダーのH君は遠方に住んでいるため練習走行には参加できませんがバイク歴が長く同じ遠心クラッチのホンダシャリーに乗っていたこともあるので大丈夫でしょう。

ところが練習走行時に気になることが判明。コーナー進入時にシフトダウンすると、マフラーから盛大に白煙が吹くというのです。4ストロークエンジンのバイクでは通常マフラーから白煙が出ることはないので、これはオイル上がり、もしくはオイル下りの可能性があります。ちなみにピストンリングの摩耗から、燃焼室にオイルが入ってしまうことをオイル上がり、バルブステムシールの劣化でオイルが燃焼室に入ってしまうことをオイル下りといいます。

今回の症状はシフトダウン時に白煙が出るのでバルブステムシールの劣化によるオイル下りの可能性が濃厚です。さっそくエンジンのオーバーホールに取り掛かります。交換するのはピストンリング、バルブステムシール、そして各種ガスケットです。本当はカムチェーンも交換した方が良いのですが、カムチェーンを交換するには多くの工程を経なければいけないのでレースまでの期間を考えると今回はパスしておきます。まぁ、めんどくさいというのが本心ですが(笑)

ピストンは異常なし
エンジン内部にゴミが入らないようウエスを詰めておきます。これをサボると腰下を割る羽目に
シリンダー内部もキレイ

シリンダーヘッド、シリンダーを外すとピストンが出てきます。ピストンの状態は悪くなさそうですが、ピストンリングは消耗品なのでついでに交換しておきます。キャブレターのカブのエンジンは何度も開けているのですがFIのエンジンは初めてさわります。シリンダーヘッドの形状がすでに違っています。累計生産台数1億台のベストセラー、スーパーカブですがまだまだ進化し続けているのがわかります。タペットの調整などはキャブ車よりもやりやすくなっていますね。

バルブにビッシリ堆積したカーボン

ヘッドを外したのでついでにバルブのカーボンを除去しておきます。堆積したカーボン(煤)が噛みこむことによってエンジンのパワーダウンや最悪の場合、エンジンがかからなくなってしまうのです。特に排気側のバルブのカーボンが酷く、バルブシートも荒れています。バルブの縁にメタルコンパウンドを薄く塗りバルブとシートを擦り合わせていきます。

元通りにエンジンを組み立て、タペットの調整をすればオーバーホールは完了です。恐る恐るエンジンを始動します。この瞬間はいつも緊張しますが、さすがカブ、あっけないくらい簡単にエンジンがかかりました。これで白煙の症状は治まるでしょう。チェーンがキンクしているようなので、これも新品に取り換えてレースの準備は全て完了です。あと、私からのプレゼントとしてAmazonでアクションカムを買いました。GoProは高いので中国製の1万円台で買えるのにしましたが、なかなか造りはしっかりしてますね。

いちおう防水ケースも付属してます。

さぁ、つぎはいよいよレース本番です!

つづく




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