十兵衛屋敷温故録小

04.明智光秀公の一番古い出自の文献

『淡海温故録』は、貞享年間(1684-88)に 江州白頭翁により書かれ、彦根井伊公へ献上された文献です。1582年が本能寺の変なので約100年後という事になりますが、明智光秀の代表的な伝記 高柳光寿『明智光秀』(1958)が 出自について採用した『綿考輯録(細川家記)』は、更に90年以上後の安永7年(1778)編さんされた文献なのだそうです。

『淡海温故録』の内容の特徴としては、郡別村別の記載形式で 地誌の体裁を取りながら、それぞれの地域における中世の土豪・地頭の家系、特に六角氏と関係が深い武将についての記述は詳しく、信頼性も高いと評価されています。何と言っても、彦根藩のお殿様に献上されたもので、光秀公と同じ時代を生きた初代彦根藩主 井伊直政の曾孫の代にはなっているが、いくら何でも根拠もないウソを 命をかけて書く必要が思いつかない。

とはいうものの、『淡海温故録』の光秀公出自に関する佐目の記述は、滋賀県教育委員会の井上氏によると、同書の唯一の翻刻刊行物である『淡海温故録について』石川正知著に 木村重要著『江侍伝聞録』と内容が近似しており『淡海温故録』も同じ木村重要が担当し、更に内容を詳しく書いたのではないかと紹介してます。この木村重要という人物は、以前の神崎郡(現東近江市)の人なので、六角氏の家臣の家柄かもと推測でき、この事が文献に及ぼす影響が少しはあったかもは、思われます。

徳川幕府における井伊家は、既に大老職につくポジションを得ており、明智光秀が近江佐目の出身であり六角氏が手を貸したと書く事が、少なくともマイナス要素ではなかったと推測できます。

『江侍伝聞録』は、寛文12年(1672)に成立しているので、更に古い 最古の出自の文献とも言えます。井上氏は、悪書と言われている『明智軍記』を元に伝承されている文献についても説明しておられますが、今回はスルーします。

実は『江侍伝聞録』も、著者木村重要氏もネットの検索では、なかなか情報が上がって来ません。『江侍伝聞録』の写本と前述の石川正知が活字化された著書が滋賀県立図書館にあるようですが、貸出持出禁止のようなので ここに書いておきます。

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『江侍伝聞録』抜粋
 佐目之里二明智十左衛門卜云侍濃州ヲ退二三代居ス、息十兵衛光秀越前義景エ弐百石ノ約ニテ越ス道に川流之大黒天ヲ拾ケル、籾至一乗之谷テ諸士二是ヲ語見ケル諸士之日、大黒ハ千人之頭卜云コトニ川流ヲ猶尊信シ利益二叶卜云フ、光秀曰ク吾千人之大将ヲシ非本望トテ捨ケルト云、果テ万士之大将卜成暫モ天下ヲ知事、生付テヨリ度盛広事如斯、元江州生国故山崎表合戦節当国衆多ク与力シテ皆世ニヲチケルト
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『淡海温故録』は、この文章を更に詳しく補完したものです。
滋賀県多賀町佐目にある「明智十兵衛光秀公 口伝の地 十兵衛屋敷跡」は、何せ降ってわいたような6番目の出身地として名をあげたばかりで
「何もない」所から、最近は「看板しかない」まで、バージョンアップしていますが(笑) 上記の画像のように ひとまず『淡海温故録』の写本の原文と現代語訳の説明書きを現地に設置する予定です。
又、十兵衛茶屋(!)を 佐目十兵衛会(これも、2019年5月に正式に発足したばかり)有志が、おもてなししなければと建てる計画をしています。
時々 Webサイトをチェックして頂いて ぜひ 完成のあかつきには お越し頂ければ幸いです。

因みに『江侍伝聞録』が書かれた時は徳川綱吉(1646-1709)の時代でwikipediaに出てくる「川流れの大黒天」の話は、儒学者 山鹿素行(1622-1685)『山鹿語類』に書かれているとありますが、木村重要によって書かれた『江侍伝聞録』の話と どちらが先なのかというのを考察するのもなかなか面白いかもしれません。

又、『江侍伝聞録』には一乗之谷とありますが、詳しく書いている『淡海温故録』にはなく、越前朝倉となっています。

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三銀蔵

三銀蔵の片付けから、先祖が「表は坊人、裏が忍者」と言われる多賀大社の今はなき「坊人(ぼうにん)」だとわかり、「明智光秀が近江・多賀の佐目」出身だとてう資料に目が留まり、地元の口伝と一致する事から、通説とは違う角度から調べはじめた事を中心に書いていきます。

明智光秀 多賀出身説

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