見出し画像

最後のマスカラ #毎週ショートショートnote

 キャバ嬢のマリは夜の街を歩いていた。ふと街角の占い師に目を止め、その前に座った。
「あたし、店のナンバーワンになれる?」占い師の女は答えた。
「アンタ、いい眼をしてるね。それを活かす事ね」
そう言うと女は、一本のマスカラを取り出した。
「これは『最後のマスカラ』と言ってね、使えばきっといい事があるよ」そう言って強引にマスカラを握らせた。

 翌日からマリは半信半疑で「最後のマスカラ」を使い始めた。すると客の反応はよく、日を追うごとに売り上げが上がっていった。だがマリを不安にさせる事が起こった。「最後のマスカラ」が底をついたのだ。

 マリは繁華街を訪ね、あの占い師を見つけた。『最後のマスカラ』をほしいというマリに、占い師の女は思いがけない事を伝えた。「あれはそこらで買える安物。全てアンタの力さ」

 程なくマリは店のナンバーワンになった。あの占い師に感謝を伝えたい、そう考えて街中を探したが女の姿はもうどこにも見つからなかった。

(410文字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。
 今回のお題、恋愛ネタが多く出されそうですね。オジさんにはマスカラのことがよくわからないです。連れ合いにいろいろ聞いて不審な眼で見られました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?