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アメリカ製保健室 #毎週ショートショートnote

 202X年の日本では、少子化による経営不振で高校が次々と民営化される事となった。多くはアメリカ企業に売却され、保健室の業務も外部委託だ。そこに養護教諭の姿は無く、全てAIが対応。薬などは自動的に用意、届け出れば好きなだけベッドで寝ていてもよく、いつでも冷えたドリンクが飲み放題だ。
「アメリカ製保健室も悪くないね」生徒や親達は好意的に受け止め始めていた。
 だがしばらくして各家庭に届いた請求書は、親達を驚かせた。ベッド使用料1時間あたり1,000円。薬はアメリカ製で高額。飲み放題と思っていたドリンクは1本あたり500円…。親達は慌て、子どもらに保健室通いを止めるよう言い渡した。
 このアメリカ製保健室は、長くは続かなかった。日本の学校保健安全法に適合していない事が国会で追及され、以前の形に戻される事となったのだ。復職を果たした養護教諭は、生徒たちにこう言った。「あなた達、ココアくらいならたまにご馳走してあげるわよ」

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たらはかに様の企画に参加させていただきます。主宰の期待に応えるべく頭を悩ませましたが、「どんでん返し」と言うのは大変難しい…。結果このような作品となりました。


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