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鳥獣戯画ノリ #毎週ショートショートnote

 大手食品メーカー大林屋の商品本部に所属する堺は、自宅のリビングで夜のニュース番組を眺めていた。そこでは国立博物館で行われた国宝鳥獣戯画展が最大3時間待ちの人気となっている事を伝えていた。「これだ!」堺に一つのイメージが天啓のごとく降りてきた。
 堺の提案により、大林屋の技術力を集めて商品化された「鳥獣戯画海苔アート」は、瞬く間にヒット商品となった。「ご飯の上で、鳥獣戯画が再現された!」SNSには画像と共に称賛の声が多くよせられた。
 ヒットを受け、古典の名作絵画をモチーフに続々と商品が企画された。俵屋宗達、伊藤若冲などの商品は人気を集めたが、それでも売り上げは右肩下がり。そこでよりアダルト向け商品として浮世絵の春画をモチーフとした商品が開発されたが売り上げは惨憺たるものとなった。
「悪ノリが過ぎたようだな」
堺は社長に叱責されたが、その目は既に次に向けられていた。
「次はおにぎり海苔で、草間彌生のかぼちゃの再現だ!」

(410文字)



たらはかに様の企画に参加させていただきます。
海苔アートは、パンダやネコ、電車などの人気商品があるようです。Jリーグをモチーフとした結構複雑な形のものもありますね。
今回のお題は鳥獣戯画ノリという事で、海苔の話を考えました。他の方で発想を同じくする作品が出てくる可能性大ですね。その際は悪しからず。
皆様の作品を楽しみにしております。

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