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伝説の安心感 #毎週ショートショートnote

 初めて綾に会ったのは、演劇部の先輩に強引に部室に連れていかれた時。綾に一目惚れした俺は興味のない演劇部に入ることになってしまった。
 それからの俺は綾の気を引くため必死の日々。朝は笑顔で挨拶。昼は自分で作った弁当をアピール。放課後、部室を率先して掃除。いつも、部員の揉め事は進んで仲裁。一年後、後輩が出来ると優しく教え、頼れる先輩を演出。どんな時も心の底では綾に認められる事だけが目的だ。
三年生の秋。「先輩がいるだけで安心感があります!」後輩達にそう言われ臨んだ大会で優勝!綾と抱き合って喜んだあの日を、俺は忘れない。
 演劇部引退の日。後輩達から手渡された色紙には「伝説の安心感 先輩ありがとう」の文字。これで綾も俺の事を認めてくれる。俺は告白を決意した。
 夕暮れ。校門前で待つ俺に気がつくと綾は気配を察し、走りながら叫んだ。
「あぶない、あぶない。まだまだ安心させてあげないよーだ!」
マジかよ…俺は笑顔で綾の後を追った。

(410字)


たらはかに様の企画に参加させていただきます。
410字と言う枠内で青春小説は書けるのか。自分なりにチャレンジしてみたつもりなのですがどうでしょうねぇ。まだまだ修行必要かな。

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