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LATCH 5つの情報整理方法

リチャード・ソール・ワーマンは情報の整理方法としてLocation、Alphabet、Time、Category、Hierarchyの5つを挙げています。これら5つの情報分類は頭文字を取ってLATCHと呼ばれています。

LATCH5つの分類

Location:場所

Locationは地図、路線図、座席表など位置に倣った情報の並べ方です。

Location

Alphabet:あいうえお順

Alphabetは50音順、アルファベット順など辞書やレコード屋さんなどの並べ方です。

Alphabet

Time:時間順

Timeはテレビ番組表、スケジュール表、年表、時刻表などの時間に沿った並べ方です。

Time

Category:種類別

Categoryは音楽ジャンルなら邦楽、洋楽、ロック、ポップなどの括り方です。種類ごとに分類されます。

Category

Hierarchy:階層化

Hierarchyは背の順、番号順、重さ順などの並べ方です。もともとはContinuum(連続量)とされていましたがゴロを良くするために、Hierarchyに置き換えられました。連続量に従い順番に並べるものとなるとHierarchyより、Continuumの方がしっくりくるのですが…。

Hierarchy


1.情報を整理する効果

そもそも情報を整理するのは何故でしょうか。情報の量が少ない場合は、探すことが容易なため整理する必要性は低いです。しかし、情報の量が増えて来ると目的の情報を探す労力が増して効率的に探せなくなります。そのため検索効率を上げるために、情報を並べたり余分な情報をフィルタリングし整理することが必要になります。

1)並べることによる効果

情報が並んでいると目的の情報まで探索をスキップすることができます。あいうえお順に本が並んでいれば、一冊一冊の本を探さなくても該当の本の近くまでスキップすることができます。

一つ一つタイトルを探索する必要がなくなる

2)分類することによる効果

情報を分類することにより不要な情報は見る必要がなくなります。該当する分類のみ探すだけでよくなりますので効率良く探すことができます。

特定のカテゴリだけ探せば良くなる


2.情報の並べ方

1)居住地選択の例

Webアンケートなどで居住地を選択することがあります。この時、多くのアンケートでは北から順番に都道府県の選択肢が並べられます。これはLocationに従い並べられています。Webアンケートでよくある選択肢ですが、並び順が違うと探しにくくなります。

どちらが探しやすいですか?

では都内の住所選択ではどうでしょう。市区町村を北から並べるのはいまいちです。他にはあいうえお順に並べる方法もありますし、23区と市区町村で分けるケースもあります。市区町村に分ける方法はcategoryの分類になります。

どちらが探しやすいですか?

さらに細分化して中野区内ではどうでしょうか。ここまで来るとあいうえお順で並んでいることが多いです。これはAlphabetの分類方法です。

2)LocationとCategoryは経験の影響が強い整理方法

都道府県の並び順はLocationによる並べ方がされていましたが、Locationによる探し方は探す人の経験による影響が大きそうです。日本の地理を知らない人は北から並んでいても探しにくいでしょう。このことから、Locationの分類は経験や知識に影響することがわかります。

経験の影響が強い分類

他にもCategoryも経験や知識に影響します。市区町村の例で言えば、東京の場合は23区と23区外は知っていなければ探しにくいです。音楽ジャンルも知識がなければ自分が探しているアーティストがどこに分類されるか判断しにくくなります。

厳密に言えばAlphabet順はAlphabetの知識が必要となります。アルファベットの並び順を知らなければ探しやすくないでしょう。

3)序列により並べられる整理法

経験の適用が必要ない分類

Alphabet、Time、Hierarchyは全ての情報を一つのルールで順番に並べることが出来ます。(序列)
しかし、序列だけでは情報量が多い場合検索効率が悪くなります。そこで分類などにより、情報のフィルタリングをします。

4)分類によるフィルタリング

分類によるフィルタリング

Categoryは不要な情報をフィルタリングするのに役立ちます。レコード屋でROCK、CLASSIC、JAZZ、HIPHOP、POPが全て一カテゴリに分類されていますが、これらを一つにまとめAlphabet順に並べる場合、検索効率が悪くなります。そこでCategoryによる分類をしてフィルタリングを行える様にしています。

5)分類の入れ子構造

例えば、レコード屋では邦楽、洋楽などのジャンル別に分類しているのを見かけます。これはCategoryの分類方法です。邦楽の中ではあいうえお順にアーティストが並べられています。

レコード屋の棚

例の様にCategoryの中にAlphabet順に並べられています。情報の分類方法は入れ子になって用いられることがあります。

分類が入れ子になっている

6)Categoryの重複(こうもり問題)

Categoryによるフィルタリングは効果的ですが、どっちつかずの厳密に分けられない情報が出てきます。POPを探していたが、ROCKに分類されていたということはよくあります。この様にCategoryの分類はどっちつかずの問題をはらんでいます。在庫と店内スペースに余裕があれば両方のカテゴリーに置く方法も考えられますが、管理が煩雑になる面もあります。

7)こうもり問題を解決するタグ

Categoryはコンピュータ上に置き換えるとフォルダ分けの行為と同じです。フォルダ分けにはどっちつかずの問題が必ず付いて回ります。そこで、タグという考え方を使います。タグは情報の分類は重複するものだという考え方に基づいています。タグの考え方は項目をフォルダに入れるのではなく、項目にラベルをつける考え方です。
ROCKにもPOPにも分類されるものには、両方のタグを付けます。ただし、タグによる分類はコンピュータの中でしかできません。


3.文脈により分類を変える

1)イベント情報の例

コンサート、ライブなどのイベント情報はどの様に整理すれば良いでしょうか。LocationでもTimeでもCategoryでも並べられそうです。さてどの並び順にすべきでしょうか。
適切な並び順は情報を探す文脈によって変わりそうです。いくつか例を考えてみたいと思います。
例えば今夜これからのイベントを探したい場合はどうでしょうか。

時間によって情報を並べる

日付で今日を探し、夜の時間を探します。この様な探し方の場合はTimeが良いでしょう。
では、明日以降のイベントがないか探すときはどうでしょう。Timeで探すことも有効ですが、時間的な制約は先ほどの例より弱まります。日付よりも自分が見たいイベントが重視されるのでCategoryでも良いでしょう。

興味のあるジャンルで分類する

移動を伴う場合、地域的な制約がある場合などはLocationが都合が良くなります。

地域によって情報を分類する

上記3つのケースから考えると文脈によって探し方を変えることが必要になります。

2)困ったときのシーン別

イエローページは職業別電話帳のことで、店舗や企業を探したいときに、電話番号を探すことができるものです。あいうえお順ではなく、困った時のシーン別に電話番号を記載する方法を取っています。この整理方法は今や当たり前ですが、当時は画期的だったそうです。
多くの自治体のウェブページは困った時のシーン別にリンクが整理されています。LATCHに当てはめればCategoryの整理方法です。

余談:時間地図(杉浦康平氏の作品)

少し話が飛びますが、情報構造を杉浦康平氏の時間地図があります。通常、地図はLocationによって配置されるものですが、このLocationの情報をTimeの情報によって再配置しています。

https://www.amazon.co.jp/時間のヒダ、空間のシワ…-時間地図-の試み-杉浦康平のダイアグラム・コレクション-杉浦/dp/4306046060


まとめ

情報の並び替えや分類は探しやすさのために行い、LATCHの分類方法を使い整理することができます。この分類方法をうまく変えれば、探しやすさだけでなく、新しい物の見方のためにもなります。情報整理方法を応用することによりこれまでに無かった視点が期待できます。

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