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アイコンのモチーフ

デノテーションとコノテーション

アイコンは記号により機能や意味を想起させます。例えば、フロッピーのアイコンがコンピュータ上で表示されていれば保存機能であることを推測させます。この時、頭の中では二段階の理解をしています。

記号から意味を推測する

上記のアイコンは「フロッピー」の記号ですが、意味的には「保存する」機能を示しています。
この見たままの意味をデノテーションと言い、言外の意味をコノテーションと言います。アイコンを理解する時には、まず何が描かれているか(デノテーション)がわかり、次に何を示しているか(コノテーション)がわかる必要があります。

何が描かれているか(デノテーション) と 何を意味しているか(コノテーション)

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馴染みがなくなったモチーフ**

受話器、フロッピー、カセットテープ、フィルムなど、アイコンのモチーフとなっていたものは時代とともに廃れていっています。下記のアイコンは今でも用いられていますが、実物に触れる機会は少ないです。

触れる機会の少なくなったモチーフ

電話のアイコンは受話器をモチーフにしています。かつては各家庭に固定電話があったものですが、携帯電話の普及により固定電話を見かける機会は減りました。こうなってくると受話器をモチーフに使い続けることは適切なのでしょうか。何が書かれているか分からなければ、何を意味しているかを推測しにくくなります。これはフロッピーやフィルムのアイコンも同じことが言えます。

アイコンの置き代わり

スマートフォンで電話アプリを使う人はどれくらいいるのでしょうか。今ではLINEやFaceTimeなどのメッセージサービスが通話機能に置き替わりつつあります。そのうち電話アプリが無くなる可能性も捨てきれません。メッセージ系のアプリは吹き出しをモチーフに扱っているため、メッセージ系のアプリが電話機能のスタンダードになると、吹き出しアイコンが電話機能を代表するアイコンに置き換わる可能性も考えられます。

メッセージアプリは吹き出しがモチーフ

フロッピーアイコンはどうでしょうか。現在では保存を示すアイコンはフロッピーから形を変えて下記の様なアイコンが見られる様になりました。

右側のアイコンは元々インターネット上のファイルをローカルにダウンロードすることを示していますので、同じ保存でも少し意味合いが異なります。ネットワーク上のデータをローカルに保存するか、データの変更を保存するかの違いです。

保存アイコン=フロッピーディスクの時代は終わった...?

https://goodpatch.com/blog/about-save-icon/

上記の記事では、フロッピーアイコンの必要はないのではないかと書かれています。その一方で、保存はフロッピーのままで良いだろうと意見もあります。

保存アイコンでみえてくるアイコンデザインの勘違い

http://www.yasuhisa.com/could/article/icon-as-idiom/

上記の記事ではフロッピーが何であるかを知らなくても保存機能を示していることが分かれば十分だろうという捉え方です。
モチーフを知らなくてもそれが保存を意味するアイコンだと分かれば役割を満たしていると言えます。

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行為の変化**

もう少し俯瞰した視点で見ると、保存するという行為自体が減って来ています。スマートフォンアプリの多くは自動保存であり、保存のコマンドがありません。保存のアイコンそのものが必要が無いアプリも増えて来ています。


アイコンの解釈の幅

虫眼鏡の例

虫眼鏡アイコンは検索か拡大か

虫眼鏡は対象を拡大して見るためのものですが、虫眼鏡のアイコンは検索の意味で使われることが多くなりました。虫眼鏡のモチーフは複数の意味で用いられることがあるため、「拡大」を示しているのか「検索」を示しているのか迷う場合があります。

複数の意味に解釈できる

虫眼鏡アイコンを単体で見た場合、検索か拡大のどちらを意味しているか伝わりにくいです。実際には下記のように描きわけられていることが多く、意味を推測できます。複数の意味に読み取られやすいアイコンは誤解されないような描きわけが必要です。

描きわけによって誤解を避ける

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アイコンの転用**

○取り出しアイコンの例
下記アイコンは取り出しのアイコンです。もともとはテープメディアから始まったアイコンですが、カセットテープ、ビデオテープに始まり、フロッピーの取り出しに転用されています。それだけでなく、CDの取り出し、ハードディスクマウントの解除、ディスクイメージのマウント解除に使われています。

多様な機能に転用されている

○ゴミ箱アイコンの例
ゴミ箱アイコンはファイルの削除に用いられていましたが、一部のペイントアプリやメモアプリでは作成したものを全削除として使われています。これまで書いて来たものを捨てて白紙からやり直すという意味です。

ゴミ箱アイコンのコノテーションの転用

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まとめ**

アイコンはコノテーションが伝わらなければ意味がありません。しかし、コノテーションは解釈に幅が出やすいです。そのため解釈の幅が出にくい描き方が必要になります。
アイコンは類似する機能に転用することが出来ます。それ故に、アイコンが示す意味は変わってきます。そしてモチーフが廃れると何が描いてあるかが伝わりにくくなります。故に、何を意味しているかが伝わるかどうかを吟味が必要になります。

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