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【Meety】2021年振り返り・スタートアップ転職・採用市場についての所感

今年もアドベントカレンダーにどこからも誘ってもらえず、1人寂しくnoteを更新しているMeetyの中村です。

個人的に2021年が人生で一番短く感じられました。それが良いのか悪いのかわかりませんが、このペースで進んでいくと、もしかしたら人生ってすごく短いのでは?と感じています。加齢臭漂う導入ですみません。

表題の通り、2021年の出来事を思い浮かべながら振り返りをしつつ、後半ではカジュアル面談プラットフォーム「Meety」というプロダクトを通じて得た転職・採用市場についての所感を共有させていただきたいと思います。

2021年の振り返り(上半期)

1年前の年末・年始はとても憂鬱でした。あと3ヶ月会社が生き延びられるかどうかの預金残高で正月を迎えていたからです。

プロダクトはリリースしたばかりで、トラクションは微々たるもの。迫り来る期限を感じながら、限られたFactを持って投資家の方との手に汗握る交渉から1年がスタートしました。

今も怪しい会社ではありますが、当時は名実ともに怪しさ満載だったので、アポイントのお断りをされることもしばしば。XTech Ventures古川さんが作成された国内ベンチャーキャピタルリスト((List of VCs in Japan)を眺めながら「国内にはVC250社くらいあるんだから大丈夫、大丈夫。。」と心の中で唱えつつ、精一杯ピッチしていました。

結果、1月末にはMeetyの可能性を信じてくださる心強い投資家の方が現れ、投資のオファーも数社いただくことになるのですが、その中には古くから関係のある方も株主になってくださったり、とても感慨深いラウンドとなりました。もう1年近く経つのに未だに公表できていないので、2022年のどこかで正式に発表します。

某VCの担当者の方からのメッセージ

2月中旬あたりから調達が落ち着き、さぁ事業に集中しよう!となるわけですが、そこから鳴かず飛ばずの半年が待っています。2021年上半期は、サービスの成長速度はとてもゆるやかでした。

1日に何度もRedashの更新ボタンを押しまくるものの、全く数字が更新されない。この時、Meetyに上がってきたコンテンツのほぼ全てに申し込みし、募集者の方に感謝のメッセージをお送りしてたのが懐かしい(暇すぎる)。

そういえば当時のプロダクトは、カジュアル面談を1人1つしか掲載できない仕組みだったりと、ピボットを繰り返した結果、負債が至る所に発生していたため、その修正に時間を取られていました。せっかく信じてくださった株主の方々に、毎月微妙な報告をするのがしんどかったです。

そんな現状を打破するために、足元のプロダクトの改善・サービスを盛り上げるためにできることをやり続けてきたつもりです。

特集コンテンツは合計28本、企業ページ「ウラ凸」は合計83本と、企画は100本以上制作し、その職種・界隈で名の通った方々や、有名スタートアップの方々を巻き込ませていただきながら、サービスを見つけてもらうために必死でした。2022年も継続的に実施していき、量・質共にレベルアップをさせながら、より多くの価値ある出会いを生み出していきたいです。企画にご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。来年も頑張ります!

特集:その領域で著名な方にお声がけし、複数社の中の人をピックアップする形式
ウラ凸:その企業でご活躍のさまざまな職種・ポジションの方のカジュ面をまとめる形式


2021年の振り返り(下半期)

鳴かず飛ばずの状態から、徐々に変化が起き始めます。以下は、Meetyのグロースサイクルの要でもある「カジュアル面談のコンテンツ数/day」の変化です。

バグってると思っていたRedashが正常なことを確認しました

リモートワークによる会話欲求の高まり、日中でもカジュアル面談の予定を気軽に入れやすくなった等のマクロトレンドを下敷きに、上半期から地道に取り組んできた企画、著名な個人・企業の活用事例の大量発生などの着火要因が伴い、8月下旬頃から全KPIが急成長し始めました。詳しくはDIAMOND SIGNALの以下の記事をご覧ください。

Meetyのカジュアル面談の特徴は、必ずしも採用を目的とした面談に限らないところです。プロダクトマネージャーやエンジニアリングマネージャー同士のナレッジの共有の場にもなっていきました。

また、元々Meetyを着想した際「カジュアル面談なのに選考された」等、カジュアル面談に対する不信感がSNS上で度々発信されておりましたが(今尚あります)、Meety経由で面談を申し込みした方がとても良い体験談を発信してくださることが増え、少しづつ手応えを感じ始めていきました。

初期の立ち上げフェーズは、N-1が熱狂しているプロダクトを作れているかどうかが大事と言います。無風の上半期でも信じてこれたのは、こういったユーザーの方々の好意的な口コミが一定数あり、この輪を広げていくことができれば、いずれ大きな価値につながるのでは?と思えたことも大きかったです。

ここで直近3ヶ月平均のKPIを開示すると、以下の通りです(初公開)。

・話したい(応募):3,600以上/月
・マッチング:2,200以上/月
・カジュアル面談公開数:1,000以上/月

すごく大きなメディアではないとは思いますが、決して小さい規模でもなくなってきたかなと思います。あくまで平均ですが、1つのカジュアル面談に対し約3.6件申し込みが入ること、申し込みに対して約6割承諾されマッチングされていることがわかります。

ただ、Meetyがユニークなのはこの定量数字に表れる部分以外にあると思っていて、例えば、上記のマッチングの中には、フットサル・将棋・麻雀・キャッチボールなど趣味に関するマッチングから、投資家と起業家のマッチング、ソフトウェア開発・評価/組織制度に関するナレッジ交換、顧問・副業のマッチング etc… 多岐にわたる出会いが生み出されていること。

そして、会員ユーザーの内訳(初公開)は、

・エンジニア:約20%
・経営・CxO:約15%
・セールス・CS:約12.5%
・PM・ディレクター:約10%
・事業開発:約9.5%
・マーケター:約9%
・デザイナー:約5%

となっており、エンジニアの登録が最も多いこと、第2位のカテゴリが経営・CxOであること、希少職種であるPMが全体の10%あることは、割と異質であると捉えています。

運営として思うことは、ただの採用メディアにはしたくないし、ただの雑談サービスにもしたくはないということ。採用メディアは世の中に先輩サービスが沢山あるので、今更同じようなプロダクトを作っても価値がない。雑談サービスは、ユーザーの深いペインが存在しないので、サービスが長く繁栄しないであろうと考えています(現につながり創出系サービスは栄枯盛衰が激しい)。

2021年は、このバランスが絶妙なところで運営できていたのかなと思うのですが、グロース優先のサービス運営になってしまうと、すぐにこのバランスが崩れていきます。

直近、プロダクトの思想・ビジョンの言語化を行い社内で共有したのですが、2022年以降はコンテンツのガイドラインを定め、ユーザーの皆さんが安心して使い続けていただけるよう、プラットフォーム運営に力を入れていく意思決定をしています。

Meetyだから生み出せる価値を、より多くの方に届けられるよう、体制の強化もしていきます。2021年までは役員2人+業務委託でやってきましたが、事業開発・エンジニア・デザイナーの採用を始める予定です(2022年1月に初の正社員が入社予定)。良い組織を作るために、各社の組織のケースを勉強し始めています。事業としてPMFしたわけではありませんが、朧げながら道筋が描けてきたかなと。その手応えを感じることができた2021年下半期でした。

もし、Meetyというプロダクト・事業に興味がある方いらしたら僕とカジュアル面談しませんか?こちらでお待ちしています笑。


スタートアップ転職・採用市場についての所感

所感といいつつ思いが溢れ、割と情報量の多い内容になってしまいました。。多くの方に読んでいただけると嬉しいですが、特に以下の方はお読みいただくと、面白いと感じていただけるかもしれません。

● 自分が転職活動した時、いやな体験があったなーって思う方
そんな体験をどうやってなくしていこうとしているのか、の話を書いています。

● エンジニア・デザイナー・PdMなどの採用で困っている方 
転職潜在層とのコミュニケーションの取り方についてまとめています。

最近つくづく思うのは、採用活動において、企業の論理ではなく候補者の論理を優先し、候補者にとって最適な情報提供ができる企業が、これからの採用市場で勝者となるのではないか、ということです。

実際にN-1インタビューで出てきたユーザーの声

Meetyの利用ユーザーや直近で転職活動をされた方にN-1インタビューをさせていただくと、エンジニアであれば転職サイトに登録するだけで数日で数十件スカウトが届いたり、ある程度情報発信してる方であれば、TwitterのDMにもお誘いが届いている状況です。そのような方は、キャリアに対して困っていないし、不安もないし、日常的に考えてすらいません。

よって度々こんなことが起こっています。

Meetyを利用しているようなスタートアップ企業が採用したいターゲットは、市場からの評価が高い方が多いと思うのですが、そのような方に対して、直接的なお誘いだけではどうしても限界があります。

候補者に対するコミュニケーションステップ

転職意欲が潜在的な候補者の方と接点を持つときには、上の図のように、段階的なコミュニケーションが重要になります。これは恐らくご自身が候補者視点で考えたら、まぁそうだよね。当たり前じゃん。と感じるような内容かと。

ただ、企業の論理で考えると、

・制作した記事が全然見られない…
・ミートアップやったけど選考に進む人が全然いない…
・応募意思を持ってカジュアル面談に来てくれない…

といった悩み・思いがつい溢れ出してしまって、このような直ぐに成果に結びつきづらいアクションが蔑ろになってしまうことは多いのではないでしょうか?(痛いほど気持ちがわかります)

また、こちらのツイートの画像「最近よく見る転職ジャーニー」にあるように、専門職系の人材は副業人口が増え、言語(Go,Ruby,Rust etc...)やツール(Figma etc...)などのコミュニティ活動が活発で、つながりの中での転職活動が活性化しています。転職サービス外で転職活動が完結する人口が増加しているのです。

参考:@tsuyoshi_osiire さんのツイート

つまり、採用活動は長期化しており、候補者が転職を意識し始める前から認知されたり、接点を取っておかないと検討の土台にすら乗せてもらえない可能性が高まっていそうです。

ここで先ほどのコミュニケーションステップの図に戻り、Meetyで採用がうまくできている企業の使い方を抽象化してみました。

Meetyを上手に使いこなす企業の使い方

Meetyのカジュアル面談には、ピュアな雑談目的のコンテンツもありますが、採用を目的としたコンテンツにも”Meety浅め””Meety深め”と2種類あります(社内的に勝手に使っている分類です)。

”Meety浅め”とは、Meetupや勉強会のテーマになるような「技術・ノウハウのシェア」や「同職種での交流」が内容のコンテンツで、目的は接点や関係をつくること。”Meety深め”とは、会社の情報を織り交ぜた「事業・組織の紹介」や「仕事内容の紹介」などのコンテンツを指しており、目的はファン作り、訴求機会となっています。(ちなみにMeetyでは11月18日に「グループトーク機能」が実装され、少人数の座談会も掲載できるようになったので、”Meety浅め”のコンテンツをより作りやすくなりました。)

このように目的の切り分けがしっかりと出来ていれば、変に気落ちせず接点・関係を作れたからOK、と割り切ることができたり、中長期のアクションも継続しやすくなるのではないでしょうか?

ただ、採用長期化に対することで ”最も大事なこと” は他にあります。それは採用体制です。

長期化に対応した採用体制を3段階に分けてみました

結局のところ、採用担当の方は、採用人数という目標からは逃れられないし、逃れるべきではないとも思います。

よって、短期的・直接的に採用人数に寄与する施策を採用担当の方が中心に運用し、中長期的・間接的に寄与する施策の権限を現場に移譲しながら、経営がムードを作り、黒子としてプロジェクトマネジメントする運用が現実的であると思いますし、うまくいってる企業のお話を聞くとこのやり方が一番多いです。

最近では、現場マネージャーが採用のミッションを負い、社員に外とのつながりを作ったり、発信活動することを奨励する企業も増えてきています。

「会社の採用に協力してほしい」ではなく、副業・コミュニティ活動・発信活動を推奨することで、「個人としての市場価値向上・キャリア形成を後押しする」ことが第一。そこで生まれたつながりの中から、もし自社にマッチする人がいたら採用のお誘いをして、自分たちで働く環境・組織をよくしていこう、という風土・仕組みができる企業もあります。

逆に失敗例としては、人事の方が現場に気を遣ってしまったり、自分が努力することで補えるならそうしたい、という忖度と貢献意識が邪魔をし、力強く経営・現場を巻き込むことができていないパターンです。Meetyは、現場を巻き込んだ採用活動をある種強制するようなプロダクトなので、うまく活用し、時代に合った採用体制に移行していただきたい。

まとめます。現代の候補者は特にキャリアに対して悩みをそこまで持っていないので、企業は候補者の「学びたい・繋がりたい」といったニーズや、「外の環境を知りたい・見たい」といった情報収集ニーズに対応できるかの重要性が高まっており、そこで企業として必要なスタンスは「ファン作り」をするようなコミュニケーションを取ることです。これは経営・採用担当の方の力だけでは実現は不可能です。

この章の内容をまとめた画像です

所感といいつつ、それなりに情報量になってしまったのですが、、そろそろ終わりです。Meetyの今後の方針を共有させていただき、締めさせていただきます。

Meetyは、企業と候補者どちらを優先するかで言うと、候補者を優先します。これから開発する企業に向けた機能もあくまで候補者の体験を良くするために開発し、企業と一緒に最高の候補者体験を作っていくという発想でプロダクトをつくります。

この章の冒頭で、企業の論理ではなく候補者の論理を貫くことができる企業がこれからの採用市場で勝者となる、と述べましたが、プラットフォーマーも同様です。候補者に支持されるサービスであり続けられるかが、事業として長く繁栄できるかにつながると信じています。

2022年、Meetyは事業化に向けた機能をいくつかリリース予定ですが、事業社論理のグロース・マネタイズ至上主義に陥らないよう、ユーザーの皆さまの声を聞き、10年後も使われ続けるプロダクトを目指していきます。

2021年、ユーザーの皆さまのお陰で、挑戦できるチケットは手にできたのかなと思っています。恩を返したいと思っている方の顔が頭にたくさんよぎります。

これまでお世話になった方々にちゃんと恩を返せるように、そして2022年に新しく出会う方々にも価値を届けられるように、がんばっていきます!

少し早いですが、皆さん良いお年をー👋

年末恒例のお取り寄せ大阪海老蔵のちゃんこ鍋


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