風邪について

 天気予報のお姉さんが「今週は冬と春が同居する一週間です」と今朝言ってましたが、そうだとすればその二人暮らしは波乱に満ちているようですね。

 ビル風で傘の骨を折られて、濡れそぼりながら駅へ向かう道すがら、生暖かい風に比して飛び交う雨粒は妙に冷たい気がした。冬と春の夫婦喧嘩なのかしら、あんな嵐じゃ犬も逃げ出すでしょうね。

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 さて小生の話ですが、諸事情により喉がつぶれて声がまともに出ません。諸事情というか先日、仕事でイベントに参加して一日中ホール内で声を張り上げたせいなのですが。一応はボーカルなので喉には気を使っていたものの、夕方にはあえなく陥落。上野のアメ横のおじさん達の声のしゃがれ具合に敬意の念が湧きました。

 まあバンドが停滞気味のため、ライブ予定も何も無くてよかった(良くない)。

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 気だるさ等の症状はないので風邪ではなさそうですが、感覚的には喉風邪に近いものがあります。個人的に、喉風邪は嫌いです。歌えなくなるからというのもあるけど、喉が痛い・咳が止まらないというのは、症状の辛さのわりにはなんだか地味で華がない。

 鼻風邪もできれば避けたいところ。ズルズル鼻を鳴らしているのはどうあがいても不恰好で、同じく華がない。鼻風邪だけに(意味もなくダジャレ)。

 その点、熱が出たり全身がダルくなるようないわゆる風邪は、かかりたくはないけれど、どこか蠱惑的な個性を持ってますね。ちょっとだけドラマチックというか、画になる感じがする。なんとなく、喉や鼻の風邪のそれよりも、もっと儚くて艶かしいイメージ。

 実際、ドラマや漫画でも、主役やヒロインが熱風邪で寝込んで、それを介助する的な王道パターンがありますね。

 身体が熱っぽくなって瞳が潤んで……という見栄えの点でも色気が出るんでしょうが、それ以上に、風邪っぴきの人独特の「か弱さ」をストーリーの中で活かしやすいんでしょうね。いわば熱風邪の精神性に宿る魅力、とでも言うべきか。

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 まあ熱風邪に限らず、病気は身体だけでなく心にも強く影響を及ぼしますね。

 だから心がダルければ身体もダルくなるし、身体がもたれるなら心ももたれる。「病は気から」って言説には科学的な根拠もあるらしいけど、別に理屈めいた証明を待たずとも、そもそも病気は「心と身体」両方でかかるものだと思います。

 風邪をひいたときは咳が出たり頭が重かったり寒気がしたりするだけじゃなくて、心も気だるかったり気弱になったりする。気持ちが晴れないときに身体が爽快ってこともないし、全身が気だるいときにファイト一発な気分ってこともない。いつだって「心と身体」の全体として、ぼくは在る。

 風邪をひいたときの心には、いわく言い難い「熱に浮かされた」感があって、その感覚自体は、好きとは言わないけど、そこに一種の魅力があることは否定しがたい。

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 そんなことを書いてたら本当に風邪をひいたような気分になってきてしまった。実際に風邪を引くと精神性もなにもあったもんじゃなく、ただ「厄介だなあ」という気持ちが先に立つんだけどね。ああ生活者のつまらなさ、そして健気さよ。今夜は早く寝よう。

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Text:コラム・徒然雑文

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