証明写真

私は今年の4月に仕事を辞めた。
入職したときから辞めるまで一日も辞めたくないと思ったことがないくらい仕事が嫌だった。
それでも3年は頑張った。
実習期間の2週間ですら嫌で嫌で、体調を崩したり、それで単位がとれなかったり、学校を辞めようとまでしていた私が、3年間も仕事できたのは奇跡だと思う。
ずっと辞める辞めると言ってきたが、本当に辞めるとは周りの人たちも思っていなかっただろう。
正直、私自身もあの時、辞めるとよく言えたなと思う。

現在、私は無職だ。
ここ3か月思い思いに生きてきた。
朝起きて、ご飯を食べ、夕食の支度をして、夜になったら寝る。
人間らしい生活を送ってきた。
働いていた3年間は夜勤もしていた。
夜勤の日は昼まで寝て、ご飯を食べ、ギリギリまで寝て出勤するスタイルだった。
寝ているときは色々考えて休まらなかった。
そうした生活から解放され、何も考えずに眠れることのありがたさ、夜に眠れることの素晴らしさを感じている。

仕事を探すとなった今、夜勤のある看護師では正直厳しいように感じている。
正直、看護師に向いていないと思う。
でも、この仕事しかしたことがない私は、お金を稼いで生活するためにはこの仕事しかないのだ。
しかし、看護師として働く自信がもうない。
なので、保健師として働けるところを探している。

保健師の求人はとても少ない。
看護師の転職サイトにも登録しているが、ほとんどないと言われた。
妥協はしたくない。
保健師として働けるところを探そうとハローワークに行った。
保健師としての経験がない私が採用してもらえるか分からないが、気になるところを見つけた。
それから重い腰を上げ、履歴書を書き、証明写真を撮った。

3年ぶりに撮った証明写真。
梅雨でじめじめしている中、長袖のシャツとスーツを着る。
鏡に映る自分の姿を見ながら、3年前より老けたな…と思いながら表情を作る。
鏡の中の私は本当に私なのか、自分はなぜこんなところで写真を撮っているのかと思いながらも鏡の中の自分と目を合わせながら表情を作った。
よし、ここだ!と思って撮れたものをみたら自分の思っていた表情と違いすぎて困惑した。
肩も上がっているし、表情も硬かった。
1回目だけでは納得できず、2回撮影した。
1800円の出費である。
最後は妥協してしまったが、最初よりも上手くとれたと思う。
きっと面接官は写真なんて1秒ぐらいしかみないだろう。
面接官は私がどんな思いで証明写真を撮ったかなんて分からないだろう。
就職活動の孤独さを感じている。

仕事を探すのも、仕事をするのも、仕事を辞めるのにもとてつもない労力がいる。
労働自体向いていない私が、こうやって仕事に就くために動いている。
私にしては頑張っている。
自分を褒めつつ、少しずつやってみる。
明日、履歴書を持ってハローワークへ行ってみようと思う。

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