「NEVER AGAIN NEVERLAND」で叶った、来栖翔くんと家来(お前たち)の夢【「NEVER AGAIN NEVERLAND」の感想と考察】


まさか、こんなに泣くなんて思わなかった……。

それが、「NEVER AGAIN NEVERLAND」を観終わって(あちらの世界では映像作品なのだろと思っているのであえてこう言わせてください)思ったことでした。
期待をしていなかったわけでも、泣かないだろうと思っていたわけでもありません。ただ、本当に嗚咽を漏らしながら泣いてしまうとは思っていなかったのです。

これは、気が済むまで感想をしたためなくては……。
そう思い、この文章を綴っています。
どのようなスタンス・視点で書くのかはすごく迷ったのですが、今回は
「来栖翔くんの半生を乙女ゲームで見届け続けている、うたプリのオタク」
として書いていこうと思っています。
あの世界の来栖翔くんのオタクとして書くことを考えもしたのですが、やはり感想を書く上で彼の根幹部分に触れなくてはと思うので……。
そんなわけで、「NEVER AGAIN NEVERLAND」の内容に加え、原作乙女ゲームの内容にも多少触れる感想になるかと思いますので、お気をつけくださいませ。

【ピーター・パン役:来栖翔】という事実に涙する

まず初報が来た時、クレジットの一番上に「来栖翔」と書かれていたのを見て泣いてしまいました。
翔ちゃんって、こちらの世界から観測できるお仕事において、あまり主演をすることが無いので嬉しくて……。
シャニライもいれれば主演というものはかなり増えましたが、こんなに大きな作品でというのはかなり感慨深かいです。

それと、【ピーター・パン役を来栖翔がする】ということは、彼にとっても私たちファンにとっても夢なんですよね……。仕事中にこのことに思い至って泣きそうになりました……。

Debutの翔ちゃんルートでピーター・パンのミュージカルのオーディションを彼は受けて、結果としてなっちゃんと藍ちゃんと共にフック船長の手下の海賊役として出演。でも、それは他の二人と一緒に三人セットとしての起用で、彼の実力が真に認められたわけではなかった。

そういう背景を知っているからこそ、彼がまたピーター・パンを題材とした作品に出演して、今度は主演をするということに、大袈裟なくらい喜んで涙を零してしまったのです。

翔ちゃんも主演のお話をされた時、私たちファンと同じような気持ちだったのだろうと発売日のプリツイでそう思いました。

翔ちゃんはいつも、「お前たちがいたから」「お前たちのおかげだ」と言ってくれる。けれど、彼が夢を叶え続けているのは、翔ちゃんの努力の賜物だと私は思っています。
夢を諦めず突っ走って、努力も怠らず、奇跡を起こしながら、自分でその夢を掴んで叶えていく。
その姿はすごく眩しくて、そんな彼だからこそ好きになって応援し続けているのだろうと、そう思いました。
翔ちゃんはいつもいつも、私たちにたくさんの愛と夢と希望と奇跡をくれますね。

きっと、これからもたくさんの夢を叶えて、トップアイドルとして輝き続けてくれるのだろうと、そう改めて感じました。
未だに、クレジットの一番上に彼の名前があることが嬉しくて嬉しくてたまらないです。


翔ちゃんとピーター・パン

翔ちゃんがピーター・パン役だと分かった時、ハマり役だなと思いました。
ディズニーのピーター・パンを子供の頃に観たような……キングダムハーツでストーリー追体験したな……という程度の朧気な記憶と知識しかないのですが、漠然とそう思って……。

「NEVER AGAIN NEVERLAND」のピーター・パンは、私がぼんやりと描いていたピーター・パン像とピッタリ合致していました。
明朗快活で正義感が強くて仲間想い、人を惹きつける魅力がある……こう並べると翔ちゃんとピーターの人物像って共通点が多いなと思います。

ストーリーの序盤は、「こんなハマり役貰ってしかも主演って本当によかったね……。おめでとう……」と言う気持ちで泣いていたんですけど、終盤はは違う意味でずっと泣いていました。

「ピーターは体が小さく、病気がちだったが、勇敢な子だった」
「自分はどんなに苦しくても、笑っているような子だった」

ここの父の台詞を聞いた瞬間、涙が止まらなくなりました。翔ちゃんの病気のこと、小さい頃の翔ちゃんが脳内で重なってしまって……。
ピーターの過去と翔ちゃんの過去が重なって、翔ちゃんにもありえたかもしれない未来を想像してしまいました。
翔ちゃんがこうして、生きてアイドルをしてくれていることは、本当に奇跡なのだと言うことをまざまざと思い知らされました。
翔ちゃんが生きてアイドルをしていることに感謝をしているからこそ、余計にズシリと胸にくるものがありました。

それから、「みんな……、俺を置いていく! いつだっていなくなる!」というピーターの言葉が、幼い頃の翔ちゃんの言葉のようにも感じられました。
多分、翔ちゃんは幼い頃に友達と死別するという経験もしていたのかもしれない。そういう考えが脳裏をよぎって胸がぎゅっとなりました。

いつも周りを気にかけて、励まして元気をくれる。そんな彼らの心の底には、どれだけ寂しい気持ちや悲しい気持ちが沈んでいるのだろうかと思うと、やるせない気持ちになります。
ただ、そういう面をおくびにも出さず、いつも笑顔で元気だからこそ、みんなのアイドル、みんなのヒーローであるのだろうと、そう思いもします。
寂しいとか悲しいとか、そういうことを経験したからこそ、誰かを励ましたり、誰かに寄り添ったりできるのだろうと思います。

翔ちゃんのピーターの演技はなんだか、ディズニーキャラクターのようだなと感じる部分が強くて、きっと予習でディズニー版観たのかなぁと感じました。
終盤の子供らしいところも、「大人は殺さなくちゃいけない」というあの怖い声も、素晴らしくて……。
翔ちゃんに限った話ではないのですが、演技が上手いなぁと月並みな感想を抱いています。


ロビンに共鳴する

ロビンくんは、私に近い考えや性格をしていて、彼が話す度に彼に共鳴して涙が止まりませんでした。内向的な性格の方は、彼の気持ちと同じような気持ちを抱いたことがある方も多いのではないかなぁと思います。

「大人になれない大人」「ドッチツカズ」
未だに大人になれていないのではないかと思っている身としては、あらすじが公開されてからずっと心に残っている言葉です。
二十歳を超えれば大人になれると思っていたのですが、実際はまだまだ未熟だと思わされることばかりで……。
大人になることから逃げたかった、夢を見続けていたかった時期もありました。
だからこそ、ドッチツカズだというロビンくんに共鳴した部分が多かったのかもしれません。

ただ、大人(と自称して良いのか未だに分かりませんが)になった今、夢を見続けることは生きていく中ですごく大事なことだと思っています。なので、【ネバーランドから現実の世界に戻る】という選択をしつつも、パイロットをこころざし、【空を飛ぶ】という夢を叶えていくロビンくんはきっとまた素敵な夢をたくさん叶えていくのかなと、そう物語を観終えた時に思いました。

内向的な人間にとって、カイトくんやピーターのような、色んな人に囲まれていてみんなに優しい人ってすごく眩しいんです。
だからこそ、憧れてしまうし、特別だと言って貰えると嬉しくもなる。けれど、色んな人に囲まれている人だから、「私がいなくなっても平気かもしれない」「相手に必要とされていない人間だ」という想いも抱いてしまう……。
でも、そうではないと、必要とされていると信じたい自分がどこかにいるのも事実で……。終盤で「必要とされたかったんだよね」とピーターに語るロビンくんもそうなのでしょう。
だから、ピーターの言う『特別』を心から信じられたロビンくんは、物語の中で成長したのだろうと、そう思います。

ロビンくんのように強くなりたいなぁと観終わってからずっと思っています。

ピーターとロビンの成長譚

この「NEVER AGAIN NEVERLAND」は、ピーターとロビンの冒険譚であり成長譚でもあるなと思います。

ロビンくんの成長は、物語を通してすごくわかりやすく描かれているなぁと思います。
「ネバーランドに連れて行って!」と勇気を振り絞った時から、彼の成長は始まっていて……。
ピーターの言葉と行動に勇気をたくさん貰って、その中で元来あった強さが花開いていく。
ネバーランドでの色んな出会いを通して、大人への階段をのぼっていく……。そして、「帰らなければ」と家に帰ることを選択する。
途中まではロビンくんが主役なのではと思えるほど、彼の成長はわかりやすく描写されていたなと、そう思いました。

一方のピーターは、物語終盤で一気に成長しなという印象でした。
まず、嫌っていた【ズル・卑怯】をして、フック船長に勝利する。恐らく、ロビンを喪ったと思っていること、追い詰められたことなどもあり、必要に迫られて知らず知らずにという感じだとは思うのですが……。
『特別』なロビンくんが帰ると言った時、子供らしく繋ぎ止めようとしたり、大人だと告げられて殺そうとするも出来なくて気持ちが溢れてしまったり……。ピーターは気持ちを揺らしながらも、ロビンくんを想ってそっと手を離す。
そしてロンドンでカイトくんと会って、自分の居場所はちゃんとあったこと、今でも愛されているということを知って、そこで色々と憑き物が落ちたことで精神がまたひとつ大人へと近づいて行ったのではないのかなと……。
そして多分、このことがきっかけで精神が大人になったピーターは、数年後にあの時計台の上に、ロビンくんの前に現れたのではないかなぁと思います。(この辺りは次のトピックでじっくり書きます)


「ネバーランド」という場所の考察

「NEVER AGAIN NEVERLAND」におけるネバーランドという場所は、死後の世界(常世)ではないのかというのが行き着いた答えでした。
カイトくんと父の話から、ピーターは【ネバーランドに神隠しのように消えてしまった】と言うより、【天寿を全うした】のだろうと思いました。

恐らく、最初にネバーランドにピーターが行った時は、三途の川を渡る手前みたいな状態だったのだろうと思います。だから、一度現世に意識が戻るチャンスがあった時、父や母にネバーランドでの冒険譚を話したのだろうと思います。
そして、いつでも帰れると安心し、もう一度自由で楽しかったネバーランド(常世)にいってしまい、次に現世に帰ってきた時(自分のベッドにカイトが寝ていた時)には彼は……ということなのでしょう。

ピーターが【死への恐怖がない】のも、思い出せない記憶の奥底に現世で経験した死を持っているからなのかなぁと思いました。一度経験しているから死は怖くないと言いますか……。

ロビンくんは【ネバーランドへの神隠し】という感じだったのだろうと思います。恐らく、今までピーターが連れてきた子供たちもそうだったのでしょう。
そして多分、戻るという選択をしなかった場合、【失踪→死亡扱い】となっていたのかなぁと思います。そして、ピーターのように永遠の子供としてネバーランドで生活していくのでしょう。

【ネバーランドでの死】は、恐らく現世へと生まれ変わるということだろうと思います。
最後にロビンくんの前に現れたピーターは、

・奇跡が起きたことによって、彼に見えないはずのピーターがまた見えるようになった
・精神が大人へと成長したピーターは、ネバーランドでの死を迎え、現世へと転生した

というどちらにも取れる描写だなと思っていて、ただ、翔ちゃんの台本書き込みの解釈としては後者の方かなぁと思っています。

ネバーランドにいるほかの子供たちも、もしかしたらピーターと同じような存在なのかもしれないですね。生死の境をさまよって、ネバーランドにいってしまった……。

そして、この「NEVER AGAIN NEVERLAND」自体が、語り手──父が綴った物語で、ネバーランドは空想上の存在なのだとも思います。
ピーターという我が子の夢の中の話、空想の中のネバーランドを物語として書いて残したのでしょう。
空想の中だけでも、元気でヒーローでいて欲しいという、父の愛と願いの籠ったお話。
きっと、そんな父のピーターへの愛をカイトくんが近くで見ていたことを思うと、胸がギュッとなりますね……。

ネバーランドは本当にあったとも、ネバーランドは空想上のものだとも、どちらとも取れるそういう構造のお話になっているなとまとめながら思っています。

その他、残しておきたい感想。

ここからは箇条書きで残しておきたいことをザーーっと書いていきます……!

・フック船長の大人の立場からのセリフ、刺さりまくりました……。耳が痛い……。

・トキヤティンク、ハマり役かつ可愛かったですね……。

・ティンカー・ベルは、ピーターの母親のような存在で、もしかしたら父が見守り役として物語に登場させたのかもしれないですね……。

・真斗様の演技力が相変わらずすごい……。特に語り手→スミーの転換のところ大好きすぎる……。

・タイガー・リリーの部族の長としての立ち居振る舞いは、セシルちゃんの未来の姿とも重なってとても良かった……。やはり、彼は上に立つものの器がある。

・カイト役や父は、このお話のオリジナルの部分なのでかなり役作りも大変だったのではないかなぁと思う。二人で色々相談しながら役をつめていったのかなぁ。

・うたプリの宛書きぽいところ、好きです……。

ピーター・パン役をする翔ちゃんを見届けられてよかった

総括すると、この感想につきます。
来栖翔担として、彼が夢を叶えていく瞬間を見ることができるのは本当に嬉しいです。
そして本当に、こんなに素敵なお話で主演をする翔ちゃんを見届けられてよかった。
「うたの☆プリンスさまっ♪」の作品性質上、また主演の機会があるとしても随分先になるのだろうと思っていて……。だからこそ余計に、同じ時を生きる今、彼の主演を見届けられてよかったなとも思います。

上手く締められていないし、きっとまだ言葉にできていない感想もたくさんあるんですけれど……とにかく、もう良かった……! これに尽きます。

以下、テーマソングや劇中歌の感想です。
お付き合いいただける方はぜひ……!

テーマソング「ネバーランドの奇跡」

テーマソングで号泣してしまって、自分でもびっくりしました……。
テーマソングへの気持ちのリンクがすさまじく……。

試聴の段階で、爽やかさの中に少しの切なさを感じるファンタジーソングという印象が強かったです。
ただ、まさかイントロがあんな感じで幻想的に始まっていくとは思っていなくて、イントロの時点で鳥肌が止まりませんでした。
「だったらネバーランドへ」のトキヤのロングトーンと共に冒険の幕が上がるように音が広がっていく……。このテーマソングで、ネバーランドに誘ってくれているとこの部分で強く感じました。

Aメロパートは、一番も二番もフック船長とタイガー・リリーの対比のようにも感じられる歌詞になっているなぁと思いました。
「現実」と書いて「きょうふ」、「未来」と書いて「ゆめ」……。すごくしっくりきました。
現実は怖いことも多いけれど、未来の楽しみ、未来に夢見て前を向けば怖くないこともすごく多いなと感じるので……。
今のモチベーションはこの作品の展示と、ASSMUと、八月のST☆RISH単独です……! 何がなんでも元気で生きます!

『「時間を戻せるなら」と
一度は誰もが想う
大人にはなりたくはないから
自由を願うを』

ここ、かつて子供だった全ての人は、胸がキュッてなったんじゃないかなと思います。
時間を戻したいと思ったことはたくさんあるし、「早く大人になりたい」と思っていたのに「大人にはなりたくない」といつからか思っていたりして……。
このお話全編に言えることですが、すごく自分の子供時代というか、未熟な面が多かった時のことを思い出しました。

『子供の頃に忘れてきた
奇跡の灯し方
ねえ…一緒なら見つかるよ
さあ手を取って』

奇跡の灯し方をST☆RISHは何度私たちに教えてくれるのでしょうか……。
何度奇跡を起こしてくれるんでしょうか……。
好きです。

『「会える」と信じることが
一番の大事なこと
お互いが想っているなら
道は見えるよ』

この部分、ロビンくんとカイトくんのことでもあり、カイトくんとピーターのことでもあり、ピーターとロビンくんのことでもあるということが全て観た後にわかるという……。二重に泣かさないでくれ……。(そんなことを言いながら最初に聞いた時に泣いた人)
あと、実際に「また会える」と信じ続けてその通りになった経験がありまして……。それもあってここの部分爆泣きでした……。

『そしてネバーランドの歌は
君が望むたびに
そう…胸の中その心音(おと)と
生き続けるさ』

「心音」を「おと」と読ませるのやめてください……。翔ちゃんの心音を思って、私の心音が止まるので……。
この部分、全て観終わって聴くと、父(語り手)の残した物語が生き続けるって意味なのだろうなぁと思うと……本当に……。

劇中歌「夢の国ネバーランドへ」

劇中歌全てに言えますが、曲への入り方がミュージカルのそれでとても興奮しました……。

この曲で特に好きなのはティンクのパートの
『小さな体に大きな心 大胆なドッチツカズ』
『大きな体に小さな心 繊細なトッチツカズ』
二ヶ所
こういうメインパートとは違うメロディで被せながら歌うってミュージカルの醍醐味だなと思っていて……。

歌の上手い二人に引っ張られてか、翔ちゃんも気持ちいつもより声が伸びやかだなぁと感じました。
とくに後半の『子供だけの永遠の世界  終わらない夢』のところ……。

前半の各キャラクターの性格がよくわかるパートも大好き過ぎますね……。
「君の信じる力さ」と語るピーター
「君が手を引いてくれたから」と語るロビン
「私の粉のおかげ!」と少しプンスコしてるティンク

物語の幕開けとして明るく始まって、物語の素敵な夢を願い穏やかになってまたパッと明るくなっていく曲調もとても好きです。


劇中歌「一騎打ち」

前半の全く違う曲調と拍子で、韻を踏んでラップぽい感じと言葉遊びしているところがすごく好きで……。音楽バトルのようで……。こういうの大好きなんですよね……。
ちなみに、フック船長パートの曲調が大好きです……。

曲調と拍子がコロコロ変わって、すごく楽しい……でも歌いこなすの大変だろうなぁなんて思いもします。

後半の同じメロディで全く違う歌詞を歌うというのもミュージカルあるあるで……大好きです……。

劇中歌「愛の歌」

これ、皆さんそうだと思うんですが、試聴の時は友愛の歌だと思っていて……。まさか家族愛の歌だったなんて……。
この曲に関しては感想をいうのはすごく野暮な気がするのですが……。ミュージカルの劇中歌で一番有名になるタイプの曲だよなぁと感じましたとだけ……。


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