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オトコは今や皆トランクス派に?、でもクルマのトランス・アクスルは短命だった!?

ご婦人方に尋ねた事は無いのだが、紳士肌着のうちトランクスとブリーフはどちらが好感を持たれるのか?最近男性用肌着のコーナーに赴いてもブリーフ型の下着は、めっきり少なくなりました。確かに夏場の開放感はご婦人方の想像を超える爽やかさをもたらしてくれますが・・・・・ホールド感は今ひとつ。

量産型ミドシップカーの嚆矢、VWポルシェ914というクルマは、どっちつかずの名前が災いしたためか、あまり売れ行きの芳しくなかった914の後継はちゃあんとポルシェの名前を冠したフロント・エンジンの924でした。VWの名前は捨てても、安価にポルシェを提供するべくエンジンはアウディ提供の直列4気筒。ただし、後輪にトラクションをかけ、前後重量配分を適正に近づけるべく、トランスミッションの大きな塊はリア・デフレンシャルギアと一体にして後輪側に置かれました。もちろんリアシートの下はミッションのためのスペースを設けるべく地所の取り合いになりますが、逆にフロント側はトンネルのふくらみが小さくなり、フロントシートを前進させられるゆえ、室内長を稼げることにもなるのでした。

ココに目をつけたのは70年代のアルファ・ロメオ=アルフェッタ1.8

小型乗用車のカテゴリーでの採用は稀なものでした。量販目的の大衆車に採用は英断で現代の日本車を見回してみてもGT-RやLF-Aのような超高性能カーでないとお目にかかれないメカニズムでした。

配置はちょうどポルシェ914のエンジン部分だけをフロントに移動したような形。当然ミッション迄の長いプロペラシャフトを年がら年中エンジンと等速で回さなければなりません。シフトチェンジの時の回転落ちも気になります。

もう10年以上にもわたって現在までトランス・アクスルの GT carを生産している日本車メーカーが日産です。タイトル写真にある、R35 GT=Rのカットモデルを見てみると、おや!プロペラシャフトが二本?ではなくエンジンからトランス・アクスル迄のプロペラ・シャフトと、アクスル内のセンターデフを出て前輪の駆動用に前方に回転を伝えるドライブ・シャフトの二本が見えているのです。

さて、70年代のポルシェに話を戻せば当時は厳しさを増す排気ガス規制にオイルショックが追い打ちをかけ、自慢の空冷エンジン存続は難しいと考えられていました。ポルシェがフロント・フードの下にエンジンを移し、水冷化・大型化で乗り切ろうとしたことが窺えます。その第一歩が924、そして次代を担う役割を果たすべく4人乗り、8気筒エンジン搭載の928を開発します。やはり後輪駆動でミッションはトランス・アクスル。911の命脈ももはや・・・・


と思いきや、触媒コンバーターの登場もあって80年代以降の911は空冷のままもう少し延命できることになりました。
ロールバーの無い完全なオープン・ボディのカブリオレが登場したり、四輪駆動の習作、959を土台に前輪も駆動できるカレラ4という四輪駆動のバージョンが登場したり、911が水冷化で次代にバトンを渡す一方で、トランスアクスルを備えた924(944,968)928のフロント・エンジン車はひっそりと消えていきました。隔世遺伝する形で4ドアの大きなフロントエンジン車=パナメーラやSUV群が登場してもトランス・アクスルのレイアウトが復活する兆しは今のところありません。

アルファの場合はどうだったでしょう?
アルフェッタ1.8がトランスアクスル後輪駆動を採用する傍らで、フラット4エンジンをフロントに置いた前輪駆動モデルをアルファとは異なる企業のために開発していました。イタリア南部に本拠を構えていたのでアルファの南/SUDを付けてアルファ・スッドと呼ばれます。のちにARNAとして生まれ変わり兄弟車=日産パルサーが日産製直4で前輪を駆動しましたが、販売のけん引役だったとは言いかねる・・・・本家・アルファの後輪駆動車はアルフェッタに続き弟分のジュリエッタが登場しますが、以降は次第に前輪駆動化されてゆき、またもトランス・アクスルは大衆から手の届かないところへ遠ざかっていきました。

近年そんなアルファロメオ・新生ジュリアが四半世紀ぶりのアルファ製後輪駆動で復活を遂げたのは先祖返り、と言ってもいいくらいで世界のファンから歓迎されてます。ただ、トランスアクスルではなく、前輪も駆動する四駆の方が主役並みの扱いを受けてはいますが・・・・・

イタリア車では(マセラティ)グランスポーツの存在も貴重なものとなりました。フェラーリ8気筒のエンジンをフロントに積んだトランスアクスル、もう後継者はみあたりません。

R35と同時期にデビューしたレクサスLFーAもやはりフロント・エンジンにトランス・アクスルを組み合わせたスーパー・スポーツでした。夢のトランスアクスルは、ガソリンエンジンやマニュアルトランスミッションと命運を共にして、やがては幻の存在となってしまうのでししょうか?

カーマニアの女子がブリーフやトランスアクスルにどれほどこだわりを見せるのかは未知数ですが、大衆クラスの量産セダンにトランスアクスルを持ち込んだアルファの心意気には、今更ながら拍手を送りたい気持ちです。


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