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夜と海月

始まらずして終わることが多々ある。

私は始まりの約束が苦手。

結婚してます 恋人がいます 同棲してます
この言葉に安心する。始まらないはずだから。
始めない理由があるから。

そのくせ
パートナーがいるのに寂しいんだ、この人
って感じると吸い寄せられてしまう。

だらしない人
満たされない人
甘える余白がある人
間違っている人
間違えられる人

そのだらしなさに甘えてしまう。

私は怖いから。
終わりがあることを恐れる人が多いと聞くけど、私は終わらないかもしれないことが何より怖い。

終わりを信じないと始められない。
必ず終わりが見える関係に安心する。

きっと最初から期待しないで済むから。

気が付いたら数センチの距離で見つめられている。ふとまた気が付いた頃には声を思い出せない。

大丈夫、始まってすらないのだから。
私たちは始まらないはずでしょう。
自分にも相手にもそう言い訳している。

まっすぐな告白は心がザワザワして泣きたくなる。どうしてこんなに想ってくれる人を突き放してしまうのだろう。どうして間違った方向ばかり向いてしまうのだろう。

憎しみに変わらない愛なんて存在するのだろうか。

終わらない恋をいつかは始められるのだろうか。

またねが来ないまたねを何度繰り返すのだろう。

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