見出し画像

【YAMAHAのギター語り】Pacifica912J -最初のPacifica-

結構な期間放置してしまいました…。すみません。

以前ヤマハのギターが好きという話を書きましたが、その中でも好きな機種が2つあります。
それが「Pacificaシリーズ」と「MGシリーズ」です。
MGはB'zの松本孝弘さんモデルの「MG-Mシリーズ」が有名ですね。
またPacificaシリーズは現行品の評判がよく、絶賛するコメントをいろんなところで目にすることも多いかと思います。


ここではそんなギター達の情報を書いていこうかと思っています。
意外と90年代のPacificaとかMGの情報ってないんですよね…。

第1回目は「Pacifica 912J」について書こうかと。
日本では1991年3月に販売開始された「最初のPacifica」です。
(ピックアップ配列違いで921J、メイプル指板の912Mというバリエーションがあります)


まずは外観から。

画像1パっと見はストラト亜種ですが、現行のPacificaシリーズにはない
フロイドローズ型(以下FR型)のブリッジとロックナットが搭載
されています。
元々はハードロック志向のギターだったようで。
ブリッジやナット、ペグ等のハードウェアはシルバーで統一されています。

画像2

独特なピックアップのマウント方法が目を引きます。
(フロントとセンターはピックガードでマウント、リアのみエスカッションマウント)
Pacificaのトレードマークと言ってもいいんじゃないでしょうか。
このマウント方法は現行の112Vまで受け継がれてます。
更にリアピックアップのボビンが黒く、エスカッションと色を合わせてるっぽいところも特記すべき点かと。
(現行品はボビンが白、エスカッションが黒)
初期Pacificaならではの仕様ですね。個人的にはこっちのほうが収まりがいいように思います。
ピックアップ自体はYAMAHA独自の品番ですが、中身はDiMarzioです。
(フロントとセンターがHS-2、リアがPAF Proだったかと)
ボディの材質は確かスワンプアッシュだったと思います。
またボリューム/トーンのノブがストラトタイプなのも特徴です。

画像3

ザグリは現行品と異なる独自の形状です。
またネックのジョイント部分は独特な形状のプレート2枚を挟んでボルトオンされています。

画像4

キャビティにはきちんと導電塗料が塗られています。ちょっと荒いですが。
ボリューム/トーンのポットはどちらも通常サイズでなく小型のものでした。

画像5

実は912Jとそれ以降の機種でボディの形状が異なります。(912Jのほうが幅広で薄い)
現行品の112Vと並べてみました。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ピックガードの形状も微妙に違いますね。

画像6

FR型のブリッジは「Rockin’Magic Pro2」というYAMAHA独自開発のライセンス品です。シルバーのRockin’Magic Pro2は意外とレアなので補修用部品を探すのに苦労します…。

画像7

FR型ブリッジなのに弦は裏通しです。
イナーシャブロックの薄さは賛否両論ありそうですね。

画像8

ローズウッド指板が貼られたネックは現行品よりも薄いです。
ボディとは厚みのあるアルミ板を挟んで接続されます。
(バラさないと見えないので写真ありませんけども)

画像9

ロックナットもYAMAHA独自開発のライセンス品。
ナットスクリューの軸径は4㎜なのでフロイドローズ純正品は使えず、互換品もほぼ存在しません。ナットキャップも同じく4mm穴で、キャップ自体もフロイドローズ純正品よりちょっと小さいです。
下側に埋まってるイモネジを調整することでナットの高さを調整できるのは
面白いですね。

画像10

ネックは確かワーモス製で、シリアルNo.はヘッド裏に刻印されています。
(この写真だと見えにくいですが…)

後年発売されたUSA2という機種のワーモス製ネックはよく波打つとかねじれるとかいう話を聞きましたが、912Jではそういう話はあまり聞かないですね。
ペグにはYAMAHAの刻印が入ってますが中身はゴトーのシャーラータイプ。ビス止めが必要なタイプでロック機能はありません。


YAMAHAのギターのわりには汎用品というかサードパーティ製の部品が多用されていますが、これはアメリカのYGDという開発拠点で開発されたことに起因してるような気がします。
このへん追っかけていくと結構面白いのでそのうち書きますね。

当時の定価は178000円。
いま同じ値段じゃ作れないですよね多分…。
作りもいいのであまり中古相場に流れてこない印象です。
たまに見つけてもかなり使い込まれた個体だったりするので、中古で買う前には直接コンディションを確認したいところ。
あとナットキャップが欠品してるケースも多いので要注意です。


現行の612Vあたりと比べると使いどころを選ぶギターかもとは思いますが、状態のいい個体が見つかったら即ゲットしてもいいくらい良いギターですよ。


追記:
販売前から国内外のモニター契約してたミュージシャンの皆様に提供されていたようです。
特にTM NETWORKのサポートギタリストを務めた葛城哲哉さんには市販品のほかに開発初期のプロトタイプも提供されていた模様。(ネックジョイント方式やピックアップカバーが異なる個体がありました)
当時のライブ「RHYTHM REDツアー」のリハーサルにプロトタイプが投入されており、1991年3月まで行われたツアー全般で使用されていることから、RHYTHM REDツアーがPacificaの開発テスト環境かつ大規模ツアーデビュー戦だったと言えるかもしれませんね。

https://www.youtube.com/watch?v=KeVB9swqWpE


よろしければサポートお願いします! 記事の元ネタ作るための活動資金にさせていただきます。