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3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart3(2019年6月期まで)

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前期12期(2018年6月期)の着地は悪いものではなかったのですが、

・深刻なミドルマネジメント不足
・採用・クリエイティブ・ビジネス部門の一部がうまく機能しない
・新規加入のボード層がまだ本領発揮できず
・内容に不安の多い中期経営計画

こんな状態で13期に突入していきます。13期は振り返ると大きく4つの困難がありましたが、突入の時点で既に予兆がありました(今思えば、ですが)。

困難1:目標を通じたコミュニケーションの失敗(2年連続、2度目)

1つ目は目標を通じたコミュニケーションの失敗。13期上半期は、12期とは真逆の形で「2点目標制」が機能しないということが起こりました(汗)。

「絶対に死守しなければならない」目標1に対し、目標2は「思考のリミッター外し」が重要なポイント。しかし、現場では特に目立ったプロセスチェンジは起こっていませんでした。

・プロセスチェンジを起こさずに力押しで高い目標に向かう
・現場の状況に気づいていないため、経験値やスキルの高い層がその支援をしていない

結果として現場が疲弊していく、なんなら目標や経営に対する不満に変わっていくという悪循環。目線が下がりまくってしまった12期とは真逆の現象です。(2点目標制、うまくハマればうまく行くと思ってるんですけどね。。今度また別途これをテーマにnote書いてみます。)

僕らはつい現場を鼓舞して達成や成長に駆り立てたくなるものです。「気合と根性」「ノリと勢い」が成果創出に最も重要なファクターであればそれも機能するのでしょうが、そうではない事業であれば、過剰なそれは悲劇の火種となります。

特にジュニアなメンバーが多い組織であれば、鼓舞する以上はhowとセット。少なくとも現場で一緒に汗を流さなければ、彼らの気持ちを繋ぐことは相当難しくなります。

困難2:組織コンディションの悪化(過去最悪レベル)

13期の2つ目の困難は、組織のコンディション悪化。以前のnoteにも書いたのですが、現場と経営や部門間での衝突、階層間の意思疎通困難など、信頼関係そのもののダメージを伺わせるような課題がいくつも発生しました。

ボードの関係値と連動しているかにも見える形で、2018年半ばからは全社の組織状態がどんどん悪化していきました。リンクアンドモチベーションさんのモチベーションクラウドサーベイ(MCS)では、全体のスコアは過去最悪。個別項目では「階層間の意思疎通」はだいぶ酷い点数となってしまいましたし、ずっと強いスコアが出ていた「経営陣への信頼」までガクッと落ち込みました。

中期経営計画最初の1年ということもあり、変化を起こしにいくためだいぶ突っ込み気味に入ったことも大きな原因だったようです。

・クレド変更(ポップなテイストの9つからシュっとした4つへ変更)
・コーポレートサイト変更(ここもポップな感じからシャープな感じに)
・オフィス移転(採用計画に耐えられるよう2倍に増床)

CI(Corporate Identity)に関わる重要な変更が続いたことから、会社が大きく舵を切っていくことを感じ取りつつ、自身が取り残されてしまうのではないか・これまで大事にしてきたことを捨てて変化しようとしているのではないかという「恐れ」を抱いたメンバーが多かったように思います。

ガンガン行くぞ!経営もチャレンジしているよ!というポジティブなメッセージのつもりでしたが、少しスベりました。メンバーのことまだまだわかってないんだなと反省。

2018年末〜2019年始の数ヶ月は最悪で、年末の総会はとても重たい気持ちで臨んだことを覚えています(前日に倒れて点滴を打ちました)。

困難3:クライアントの広告予算上限問題

3つ目は、クライアントである広告主企業から送客件数を制限されるケースが増えたことです。

獲得だけであればもっと伸ばせるのに、広告予算の上限でこれ以上は送客できない、また経済条件を維持するにはユーザーの質の改善が求められる、など。新規顧客獲得コストの上昇に、広告主企業が疲弊しつつあるようにも見えました。

「広告主の予算」の確保なんて当然やるべきことだと今となっては思うのですが、これまでにないレベルでのニーズの変化を感じました。クライアント企業内でのトラッキング精度が急激に高まったことにより、「量」から「質」へとニーズが一気に変化したようにも感じました。

困難4:メガプラットフォーマーの変化

そして4つ目は、外部環境(特にメガプラットフォーマー)の大きな変化です。コンテンツメディア領域では2018年8月・9月、そして2019年3月・6月と、Googleアルゴリズムの大きなアップデートが相次ぎ、業績が大きく揺さぶられました。

また、Yahoo!広告審査基準変更にもギョっとさせられました。広告ポリシー変更系はいつも心臓に悪いのです。

13期に直面した困難まとめ
- 目標コミュニケーションの失敗
- アグレッシブな目標に対し、プロセスチェンジを前提とした意図が伝わらずすれ違い
- 広告主企業の予算上限問題
- 外部環境の変化(プラットフォームの地殻変動)

困難を跳ねのけ、+60%成長を実現できた4つのポイント

12期と同じかそれ以上に多くの課題を抱えた13期でしたが、業績面・組織面ともに回復・成長を遂げられたポイントを振り返ると、以下のようにまとめられると考えています。

ポイント1:スベることを恐れず打ち手を打ち続けた

モニタリングが機能せず、「現象」は見えても「本質」が見えない。真因がわからないから、芯を食った打ち手を打てる自信を持てず怖ろしい。こんなことも多かったのですが、それでも事業・組織共に、全方位的に打ち手を打ち続けました。

実際、笑っちゃうほどたくさんの空振りをしました。それでも、空振りがあったからこそ真因に近づけるという経験もしました。また、諦めずに不器用に動き続けたことを感じ取ってくれた現場が、再度奮起してくれたような場面もありました。

考え抜くことは前提ですが、考えるだけでなくきちんと打ち手を打ち続けることそのものの重要性を感じました。

ポイント2:打ち手の「軸」を大きくブラさずやり抜いた

特に事業面においては、社の基幹技術を押さえることや中期の注力ポイントに向かうことを忘れず、強みの磨き込みを進めることができました。

どんな業務もそうかもしれませんが、デジタルマーケティングには「やったほうがいいこと」「やってみたら効果がありそうなこと」が大量にあります。無数にあるこれらから「やらないこと」を決め、「本当にやるべきこと」を抽出して取り組みを続けるということは非常に困難です。

そんな中、もちろん現場は様々な創意工夫をしたことと思いますが、小手先の打ち手に拘泥せず、基幹技術であるマーケティングフレーム「CUEM」の磨き込みをしっかり行ってくれました。1年を通じて磨き込まれた取り組みを見て、また会社は強くなると感じることができました。

ポイント3:クライアントから改善努力を認めていただいた

決してクライアントが望むペースでPDCAを回せたわけではありませんが、真摯な姿勢やいくばくかの改善成果を評価していただくことができました。結果として経済条件の改善ないしは維持に成功した局面がいくつもありました。

弊社キュービックが定義しているクライアント提供価値には、獲得の先の事業成長を支援し、信頼されるパートナーになるという言葉があります。

デジタルメディア企業の中には、顧客貢献の発想のない会社も多く存在するのは事実です。

13期に大きく成果を出した・成長したメディアは、クライアントとの関係構築を粘り強くやってきたメディアばかりです。

ポイント4:成果を出し続けるチームはとにかくヒトや組織が崩れない

業績を牽引してくれたエース級人材やチームは、苦しみながらも通年で組織状態を悪化させることはほぼありませんでした。とにかく頼もしく思いました。

「組織づくりのための組織づくり」に陥るのは本末転倒ですが、シューティングに追われるとついそうなりがちです。そもそも正しく顧客に向かい事業成果を生み出すためにチーム一丸となることの重要性を、多くのチームの1年を振り返って思います。

13期の挽回・再成長を生み出した要因
- スベることを恐れず打ち手を打ち続けた
- 打ち手の「軸」を大きくブラさずやり抜いた
- クライアントから改善努力を認められ、新たな信頼の獲得につながり、経済条件の維持もしくは改善に繋がった
- 成果を出し続けるチームはとにかくヒトや組織が崩れない

なぜ成長しないといけないのか?

こんなしんどい思いをしてまで頑張る理由ってあるのか?とわからなくなったこともあります。特に13期は、自分はいいけどメンバーを見ててさすがに辛くなりました。総会前日、点滴を打ちながら結構考えました。

インターネット上のコンテンツや広告に満足・納得しているユーザーってどのぐらいいるんでしょうか。
本当に困った時ほどインターネットって役に立たないって、ユーザーは気づいてるんじゃないでしょうか。
有料コンテンツや課金メディア、オンラインサロンなどが伸びてるのは、広告で運営されるデジタルメディアのコンテンツに対するユーザーの諦めだと取ることもできるんじゃないでしょうか。

デジタルメディアのスタンダードを引き上げ、ユーザーが触れるコンテンツの品質を高めていく。インターネットに対するユーザーの諦めをもう一度期待に変える。メディアのポテンシャルを最大化する。そしてユーザーの課題解決体験をより豊かにスムーズなものに変えていく。

僕らキュービックがコンテンツや広告の品質を磨き続けることが、少しずつでも着実に「世直し」に繋がっていくはず。僕らが成長しなければいけない理由はここにあります。メンバーにもしつこく伝え続けたいと思っています。

大小20個ほどのメディアを運営するキュービックですが、13期の業績を牽引したのはこのうちのほんのわずか。環境変化もあったとはいえ、1年を通じて伸ばすことのできなかったメディアも多くあります。+60%成長の結果も、全方位的に死角なしとはいかず、大きく課題を残した1年となりました。

もっとも、僕らはベンチャーなので一点突破上等です。さすがに13期はでき過ぎました。実力値以上の成果だったということを忘れずに、地に足をつけ頑張っていきます。

キュービックのビジネスドメインは、新しいマーケットを開拓するものではなく、成長するマーケットの中で改善を繰り返しながら進んでいくタイプのものです。戦略も戦術もなく、ただ頑張るだけで・人よりちょっとうまくやるだけで伸びるステージがあると思います。キュービックの場合は第7期ぐらいまでがそれでした。

その次は、採用・育成などの組織開発にイシューが変わっていきます。おそらく13期までがそのステージでした。また、機能する事業戦略も問われ始めます。ここ数年は上手にハマった実感があります。

が、ここから先は全方面的な経営力が求められるように感じています。「一時期頑張ってたメディアの会社あったね」で終わるか、成長を続けて社会になくてはならない会社になれるか。今考えていることを、またそのうちnoteに書けたらと思います。

気づけば3部作の長編になってしまいました。お付き合いありがとうございました!お会いできたときに感想聞けると嬉しいです。

3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart1(2016年6月期まで)
3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart2(2018年6月期まで)
3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart3(2019年6月期まで)


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