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3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart2(2018年6月期まで)

part1はこちら

第7期(2013年6月期)は、「実力値を超えた成果が出てしまった」という実感がありました。しかし停滞期の4年間を経て、少しずつ会社に「実力」が蓄積されていることは感じていました。

・改めて強みが言語化され磨きこまれていったこと
・「暗黙知」の域は出ていないが、技術の伝承は進んだこと
・中途入社メンバーが「ないもの尽くし」のキュービックに徐々に慣れてくれたこと

第11期(2017年6月期)は、その実力に対して成果がしっかり付いてきてくれたという印象です。結果として、この年は13億から26億と2倍成長することができました。

11期+100%成長の要因その1:短期的な利益を捨ててシェアを取りにいった

この時は、事業戦略もハマりました。1つは、利益を捨ててシェアを取りにいくことを選択したことです。

step1:足元でせこく利益を取ることはせず、まずはシェアを取る
step2:そのために原価は惜しまずかけにいく
step3:シェアを伸ばすにつれ高まる価格交渉力を武器にサービス単価もあげにいき、利益は後から回収
※何年かは赤字でもいいと思っていました(銀行にはやめてくれと言われました)。

まず広告部門では、広告露出量を増やしてポジションを取りに行きました。費用対効果を気にして小さく露出するのではなく、大きく面を取ってホットなユーザーのトラフィックをがっつり取る方針です。

これにより、原価率は一時的に上がってしまうのですが、送客ボリュームを増やせるため思惑通り1件あたりの売上を上げることができ、トータルでは利益率は維持できました。

広告部門とコンテンツメディア部門で同一のクライアントを抱えているケースも多く、広告部門は最悪赤字でも、コンテンツメディア部門で取り返せるという算段もありました。

11期+100%成長の要因その2:コンテンツ原価をかけて「品質」で戦うことを選択した

コンテンツメディアの部門では、紙の編集経験を持っている方を積極的に採用し、コンテンツ品質を高めるために原価をしっかりかけにいく方針を取りました。メディア各社がボリューム勝負・回転速度勝負で記事を作り、コンテンツを「消費」していく中、我々は品質で戦ってコンテンツを「ストック」していく戦略を採用。

記事1本あたりのコストは、他のメディア企業の20倍かそれ以上かかっているはずですが、記事1本あたりの収益性は軽く数百倍あると思います。

11期+100%成長の要因その3:ナレッジ汎用化の開始と成功事例創出

もう1つの成功要因として、僕自身が抱え込んでいたナレッジを落とし込むための勉強会が現場主導で連打され、キャッチアップしてくれたメンバーから成功事例が次々出たことが挙げられます。(それまではメディアの重要なコンテンツやストーリーは世一自身が作ることが多かった)

ユーザーへの訴求力が高いメディアやコンテンツを次々に開発することに成功し、現在の主力メディアの多くがここで生まれています。コーポレートミッションに「ヒト・オリエンテッドなデジタルマーケティング」を掲げ、全社でこれを追うことに初めて本気を出して取り組んだ時期です。

この時期まで、僕は本当の意味で現場メンバーの力を信じることはできていなかったかもしれません。ユーザーを動かすコンテンツやメディアがガンガン開発されていくことに、強い感動を覚えました。

11期の勝因と学び
-利益を取らずにシェアを取りにいく期間に位置付けた
(シェア獲得がビジネスドメイン上有効であることは前提)
- 各社が絞る原価率を、むしろ高めて品質の勝負に持ち込んだ
-ナレッジが行き渡り始め現場主導の取り組みが強化された

2018年6月期(第12期)で苦しんだ「2点目標制」

12期は、前期と比べると成長率は落ちましたが、ちゃんと成長できました。+40%成長は悪い数字ではないと思っています。

が、この年は特に上半期に大いに苦しみました(けっこう焦りました)。

目標は海老反り的にテールヘビーになっていた割に、上半期はギリギリでの折り返し。賞与を払うのもギリギリでした。

苦しんだ要因の1つが、経営と現場の戦略コミュニケーションが全くうまくいかなかったこと。

目標を2つに分け、
・目標1:絶対死守ライン(投資計画・メンバーの査定に使う目標)
・目標2:思考のリミッター外しのための高い目標(達成率は問わない)

としたところ、目標1ばかりを見るようになってしまった現場と目線が合わなくなり、全体的にどんどんディフェンシブになっていってしまうという現象が起こりました。

もともと「2点目標制」を敷いた意図は、
・変動の激しいビジネスの特徴を踏まえつつ
・赤字を出さないギリギリまで攻めるため

「足場固め」と「非連続ジャンプ」の両方を取るための仕組みとして考えたものでした。

攻めと守りを同時にこなすことは確かに難しかったのだと思います。中間層もコミュニケーションの取り方にはかなり悩んでいました。

会議体を工夫し、目標1をほぼ全てのモニタリングシートから削除し、コミュニケーションを目標2に絞り、中間層を通じて鼓舞し続けたことが下半期でなんとか機能し、怒涛の巻き返しにつながりました。

12期下半期の巻き返し3つのポイント

12期の成果(特に営業利益)は、下半期で獲得したものがほとんどです。成功要因は主に以下の3つに集約できそうです。

・前期に引き続き売上重視(シェア重視)
・拡大期に採用した中途メンバーの活躍
・現場主導の大玉施策の成功

シェア重視の戦略は継続。まだまだ伸びる余地がありました。また、前期苦しんだ未経験マーケター採用中途組がゴリゴリと音を立てて成果を出し始めてくれた。これも大きかったです。

成果が生まれ始めただけで本当に会社の雰囲気は明るくなっていった。やはり活躍させてナンボだな!と感じたことが、今日の「エンプロイーエクスペリエンス最大化」の思想につながっています。

定量成果が爆発した直接かつ最大の要因は、現場主導の大玉施策(アグレッシブなプロジェクト)4つが2勝1敗1分と勝ち越すことに成功したこと。業績を一気に爆発させてくれました。

この4大プロジェクトのうち2つは世一も定例に入り込んだ上、ボードメンバーをさらにもう1枚ハりました。プロジェクトを成功に導いたのは現場の頑張り以外のナニモノでもないのですが、経営がしっかり本気度を示し全力で支援することは現場の士気に少なからず影響します。早朝MTGはみんなしんどそうでしたが、よく頑張ってくれたなと。

12期の勝因と学び
- 「2点目標」は現場からすると混乱のタネ以外のナニモノでもなく、かなり慎重にコミュニケーションを設計しないと意図通りに機能しない
- そのコミュニケーションは中間層としっかり握れていることが前提で、慎重にウォッチする必要がある
- 大きなプロジェクトは経営の関与度をかなり強める(具体的には、経営者である自分が毎週定例のプロジェクトMTGに参加し、施策出しやモニタリングに入り込みました)
- 現場の力を信じつつ支援を怠らない

13期突入への不安要素

ギリギリだった上半期を巻き返し、過去最高の売上・営利を達成しました。+40%成長。

定量的には悪くない成果ではあったのですが、実はこのタイミングでは既に深刻なミドルマネジメント不足に陥っており、採用・クリエイティブ・ビジネス部門の一部がうまく機能しない状態になってしまっていました。また、12期にジョインしたボード層はまだ本領発揮できるに至っておらず、中期経営計画を作ってはみたものの不安要素もかなりある状態での13期突入になっていきます。

part3に続きます。

3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart1(2016年6月期まで)
3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart2(2018年6月期まで)
3年で業績400%、ハネた理由を振り返るpart3(2019年6月期まで)


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