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美髪の才能

美髪。わたしは美容ライターとか美容系というものに憧れている身でありながら、これをビカミと読むのかミカミと呼ぶのか、あるいはビハツと読むのかすらわかっていない。しかし意味だけは大体わかる。美しい御髪である。

ミカミだったらゴーストスイーパーじゃんね、と思ったけど挟まずにおいた。しかしここに追記しちゃってる時点で歳がバレるというものである。まあわたしリアタイじゃないんですけどね!サンデーうぇぶりで読んでるし!現代っ子だし!

髪というのは、いやそれ以外ももちろんそうなのであるが、それが美しいかどうかはかなりなところ、いやほとんどの部分、「生まれ持った性質」に依拠しているのである。滅多なことではこれは変わらない。課金しない限りは。

そう、課金しない限りは、である。課金したら変わるの。課金するでしょ?そしたらそれは変わる、もうめちゃ変わる。ほんと変わる。しかも髪っていうのは顔貌や体型と違って、わたしが課金したら課金した分だけ、わたしが努力したらその努力した時間の分だけ、効果が出るのである。理想の姿に近づくのである。半端ねえよお前。

カラーもパーマもしたことないし、生まれつき細くて柔らかくて真っ直ぐでツヤツヤな黒髪で、バージンヘアで物心ついたときから毎日メリットです、って人間でも課金したらレベチなるから。これほんとマジだから。わたしはマジで喋っている。この目を見ろ、ふざけているように見えるか?

三百円のシャンプーと三千円のシャンプーは違うし、三千円のドライヤーと三万円のドライヤーも違う。もちろん六万円のドライヤーも違う。は?と思った奴は一回ちょっとだけいい美容室へいってヘアビューロンの4D体験してこい、悪いこと言わないからいってこい、ほんとレベチだから。

ほんっと課金した分だけ理想の髪になるんだよ、ヘアケアってのは。こんなにもやりがいのある自分磨きもないね。ほんと課金額が物を言う。もちろん地がいいやつは軽課金でいいし、外れクジを引いたやつはもうちょっと課金しなけりゃいけないんだけど、それでもこんだけ目に見えて効果が出たら課金のしがいがあるってものである。

まあこれを書いてるわたしはイオコタのシャントリの9とヘアビューロン(2Dだが)を使った上で毛先がビビりにビビってるハイブリーチのハイダメージであるので、あんまり説得力がない文章であることは確かだ。信憑性ゼロ。ウケる。手軽にできる範囲の軽課金はほぼ手を出してる。ウケる。

美髪に必要なのは、なんたって才能である。天賦の才能があるやつもいれば、おんなじくらい美しくても重課金に廃課金を重ねた叩き上げもいる。でもまあマジで本気になって金と時間と手をかければ、そのへんのラッキーサラブレッドエリート美髪のやつらは余裕でブチ抜ける。ウケる。

でもね、結局のところ天賦の才ってのがやっぱりあるわけで、そしたらそれが羨ましいわけですよ。月に一回サロントリートメントして、週に一回ホームケアして、そんでヘアビューロンやルーブルドーやリファで巻くだけでとぅるんとぅるんのピカピカつやつや美髪になるやつらが。

いやわたしのように固くて太くてしかも多くて、ほんと頑丈なのだけが取り柄の髪の毛にも利点はあるんだよ?一応。めちゃくちゃ硬いからどんだけ傷んでても滅多なことじゃ千切れないし抜けないし、イルミナにするくらいで半年もしたら髪質復活してくるしね(これは髪の代謝もある)。

ただね、やっぱツヤツヤでサラサラの細い髪って羨ましいんですよ。風に靡く細い黒髪、カラスの濡れ羽色の毛先、わたしの親指くらいしかないポニーテールの根本、そのほかそれに付随するあれとかそれとかあらゆるものすべて。羨ましいよ、心底、わたしは。

ちなみにホーム写真は一年以上前の、ロングヘアの頃のワイ氏である。このときすでに三回〜四回ほど全頭ブリーチをブチかましているのであるが、ワイ氏の髪は太くて固くて多いため、頑丈なのだけが取り柄であるから案外元気である。太くても長けりゃ相対比でいい感じに見えるしね。滅多なことでは千切れないから人より早く伸びるし、伸ばしやすい髪であった。

ちなみにロングヘアの頃は、半年に一回ほど耐えきれずに「毛先十センチ買ってください!傷みすぎて扱いきれん!!」って美容室に駆け込んでいた。代謝されるべき傷んだ毛先でも、わたしの驚異的な髪の太さと硬さによって千切れることができないために、マジで冗談じゃなくハンパねえくらいボギボギのバリバリに傷んだ状態でもくっついててハンパなく汚くなってくるのだ。

半年に一回十センチ切って、さらに隔月で「毛量半分にしてください!!!」と駆け込み寺のごとく美容室に通っていたけど、二年でショートボブから胸が隠れる高さのロングになった。いかにわたしの髪の代謝が遅いかがよくわかる。抜けねえし千切れねえから根元が伸びた分だけぜんぶ髪が長くなっていたのである。

ちなみに成人式も後撮りも終えてロングヘアの呪縛から解き放たれたいま、二年分の鬱屈を晴らすべくブリーチしまくっていたら半年で限界がきてしまって毛先がビビりにビビっているわたしである。担当してくれる美容師さんには「来月には毛先ぜんぶ千切れてるからな!!(意訳)」と言われたぐらい無理やりブリーチしてもらったので、まあまだくっついてるだけ及第点である。

いやしかし、顔周りの毛先五センチがビビったのみに収まっているのは脅威である。このへんは多分あれだ、毎日アイロン当てるとこだからよく傷んでんだろうな。それに顔周りは三月に赤毛にしたときの色残りを強めにブリーチしてもらってるから、傷みも他より強いんだと思う。ウケる。

酒飲みながら文章を紡いでいると、世の中の大体すべてのことがウケるから困る。超ウケる。メンヘラはメンヘラでもダウナーよりアッパーの方が生きやすいんだろう、わたしはラッキーな(元)メンヘラである。

美髪、その才能を持ち合わせた天才たちを羨むよ、わたしは。羨ましいよ、絹のようになめらかで細くしなやかな艶のある髪が。でもね、知ってるよ、なめらかな髪や細い髪や艶のある髪にもそれぞれ苦悩があることを。ボリュームが出なかったり、薄毛に見えたり、夕方にはベタベタじっとりしてきてしまうことを、知ってるよ、でもわたしは羨ましいよ。

持ち合わせていないから、羨ましいのだろう。持ち得ぬから、焦がれるのだろう。これは髪だけにとどまることではないのだろう。わたしはきっと永遠に、誰かの何かが羨ましいのであろう。

美髪の才能、それは確かに存在するのであろう。わたしはそれを羨みながら、たぶん今日もイオコタで洗いながらシュワルツコフの口コミを調べ、ヘアビューロンで乾かしながらルーヴルドーのHPを開き、TOKIOアウトカラミを擦り込みながらオッジイオットの通販ページを探しているのである。

たぶん明日もわたしはおんなじことを繰り返す。手に入らないものに焦がれる性質は治らないのであろう。才能、才能、髪以外もである。あなたとあなた以外の人の、わたしが持ってない才能や能力のすべてが羨ましいのである、きっと。

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