ポートフォリオはサイゼリヤのメニューブックに学べ

インターネットで最もしてはいけないワードは何だと思いますか。

そうです。「○○ 方法」です。

何だかインチキジャーナリストとかメンタリストとかみたいな導入を使ってしまって自分への嫌悪感が凄い。いや、これは自分への戒めとして言っているんです。



かつてのインターネットは「そんなものを見るな」「引用に使うな」と言われた程、情報に偏りがありました。「インターネット利用者しか情報をかきこまない」のだから、それはそうです。ですが今この2019年において、「情報を最速で得る手段は何ですか?」と聞かれて「本屋」「図書館」「新聞紙」と言う人はまずまずいないでしょう。

さて、それほどまでに利用者に広がりを見せたインターネットにより、私達は知識人の知恵を簡単に得る事ができるようになりました。いや…本当にそうだろうか?



WEBがアウトサイダーな人らの水浴び場(失礼)から一般に普及し、「Web業界」なんて名前が付いて商売のツールとして使われるようになった今、はっきりいって「○○の方法」なんて検索の仕方はいいカモです。PV数稼ぎには欠かせない文言なのですから。そこに、「元○○専門家が教える」だの「最強○○を作る簡単な方法!」って付いたら胡散臭くても「まあ目くらいは通すか」という気持ちになってしまう。これは頂けませんね!

「てだて。特に、ある目的を達成する為の、計画的な操作」とあるように、それはPV(ページビュー)数稼ぎの方法であって、実際の所、あなたの為の方法ではない。いわば、ねずみ取りの上のチーズみたいなもんです。

そんなの2000年代にインターネットやっていた人からすれば「エロサイトの無料で見れるページを開いたと思ったらいつの間にかご登録ありがとうございましたとなっていた」みたいなものです。



上述したような事を、我々はすっかり忘れがちになってしまう。特に「病気の治し方」「転職活動の仕方」「異性からの好かれ方」など、『千差万別のやり方がある方法』『知識人でも断言しきれない方法』の真理がインターネットで「○○ 方法」で検索した中に落ちているはずがないんです。これ自戒ですからね。

「MAC 立ち上がらない 方法」とか「重曹 汚れ落としやすくする 方法」とかならいいんじゃないでしょうか。


また、『言葉が正しいかよりも、言葉が(自分にとって)誠実か』によって情報を見分ける事が大切だと思います。結局インターネットに情報を流しているのは人なのですから。



やっと本題 〜前置き長過ぎ説〜


さてここまでの900文字の長過ぎる前置きは「インターネットは情報弱者を泳がす釣り堀だ」という事に加えて、「今から言う内容はあくまで戯れ言です」という保身の目的と、「本題が薄いから伸ばしたいな」という目的があります。

またなにより、最大の目的は「ポートフォリオが作りたくないよう」という逃げの時間づくりです。


絶賛転職活動中のワテクシは『ポートフォリオの壁』にぶつかっております。

ポートフォリオを必要としない学科の方々は一体どうやって転職活動をするのか皆目見当もつきません。またきっと、向こうもこちらの悩みなど皆目見当がつかないのでしょう。「クリエイター系の仕事は手に職があって羨ましい」なんて言われる度ションボリします。手に職の業界では、実力や業績をごまかせないし、どこまでいっても現場でのやりようが物をいう仕事です。それこそ貴方達、非クリの人は弁が立てば転職が楽なのでは?なんて偏見を抱いてしまいます。ごめん。


さてそんな自分は、学生時代からポートフォリオをいくばか作らされてきたり、また他人のポートフォリオを見たりしてきました。どちらも大した冊数ではありません。絶対に自分よりマトモな人間の方が多くの冊数を見ているでしょう。

ですが、学生~社会人にかけて無駄の多いポートフォリオを作ってきた、「底辺クリエイター」の自分なりに思う事があります。


『ポートフォリオは作品集じゃない』

『メニューブックであるべきだ!!!』


ポートフォリオが『作品集』なのだとしたら、名前書いたら受かるような大学出で、ろくにコンペにも出さず普段も作品らしい作品を作っていない写真映えしない、そんな自分から出てきたクズ達をどうひねくり回したって「作品」だなんて胸を張って言えず、TOYSTORY4のフォーキーよろしく「ご〜みだ〜〜!」と叫んでゴミ箱にブチ入りたくなってしまうものです。


そもそも作品が圧倒的に少ない。どうしよう。ページ数が稼げない。だからまず「作品の水増しの方法」を考えます。そして同時に、「作品をよく見せる手軽で簡単な方法」をさがします。出た。二回も方法を探してしまっていますね。検索結果に出てくるのはこんな文言でしょう。

「30分で出来る作品の作り方」「最強レイアウト」

あなたにとって、とても魅力的な言葉です!なんでこんなに耳心地の良い言葉が出てくるのか!答えは簡単、PVを稼ぐためです。こんなのは無駄です。あなたや私の作品よりも遥かにウンコなサイトのウンコPV稼ぎ用ウンコアドバイスです。面接の相手はプロなので、メッキではすぐにボロが出るでしょう。メッキっていうかウンコだし、塗ってるの。


悩むのはよくありません。急がば回れ、焦りを無くす為に、まずは外にでかけましょう。今は何時ですか?お昼ですか、夜ですか?お腹が空きませんか?今日は外食にしちゃいましょう。


安い飲食店に入って食べたいものを探しましょう。今日の気分はイタリアンですか?定食?丼?…

安い飲食店のメニューブックほど秀逸なものはありません。

なぜならメニューを選ぶ段階で、お客さんが大いに迷ったり・値段やカロリーが分からず店員に確認したり、といった事が起きるとホール(配膳)業務に支障が起き、仕事が回らなくなるからです。つまり、あの数ページの冊子は「料理をおいしく魅せながら」「精査した情報を適切に載せてある」のです。秀逸と言わずになんという。

パスタをよく見せようとするあまり、ひとつひとつのパスタに使われる材料への深いこだわりをまとめたページが挟まってしまったら?例えそれを深く深ぁく読み込んで読んでくれたとして、ホールの現場はどうなってしまうでしょう。


気づきませんでしょうか、我々が頭を抱えているポートフォリオに本当に必要な事は、この気配りです。


レイアウト方法も作品の水増しも「目的」が無くては小手先意外の何物でもありません。それはたとえば極論をいえば、コマ割りのパターンを沢山把握さえしていれば漫画が入賞するのかという話にもなります。必要なのは「決めてもらう事」であって「作品をありったけかき集める事」でも「それを読みやすく並べる事」でもありません。

ちゃんとそこをわかっているサイトには、「コンセプトがなによりも重要」と書いてあります。作品のではなく、『ポートフォリオのコンセプト』です。バラバラの作品にも、「あなたが作った」「あなたが関わった」という繋がりがあります。

ですから、1個1個の作品の出来が安っぽかろうが、あなたの長所が的確に伝わり、あなたと・あなたみたいな人を望む会社がマッチさえすればそれでいいんです。長所が伝わらないまま落とされるほど勿体無い事はありません。


ですので、自分はレイアウトや写真の美しさを二の次に、先ず「自分が何が出来る人間なのか」をひたすらメモにピックアップします。または、「どういう部分が『いいね!』って言ってもらえたか」など。

自分の場合「手が早い」「アイデアマン」という特徴があります。これを主軸に「ポートフォリオではなくメニューブック」を作っていきます。ウィークポイントの方が多い人は逆転の発想で良い言葉に変換しましょう。自分の「手が早い」とかも「その分仕上げが雑」と言われていますしね。


目立つメニュー(ネームバリューのある仕事や自信作)をドドンと配置。その作品を作るプロセスと掛かった時間を必ず記載。これ、作品に自信がない人ほど絶対にやるべき所です。作品というと「手数」や「洗練度合」が重要に思われますが「行程」と「時間」はかなり重要ポイントです。

「この作品を作る為にイタリアから一本2000円するパステルを取寄。総製作時間300時間です。」

そりゃあいい作品ができるでしょうが、「仕事としていいセンス」かと言われると面接官は困るでしょう。というか用途不明フォルダにポイされますね。

自分は1つ目の会社で、1つの製品を作るのに対して専任行程と分担行程があったのでその事をきちんと明記し、行程ごとに「図面製作 2時間」「3D製作 ○○時間」「組立(分担) 1ヶ月」などと記載。そうすると、例えば「え、この程度の図面製作に2時間は掛かりすぎ!」と思う会社はハネてくれますよね。こちらとしても「入ってからオーバーワークでぶっ倒れる」事が無くなり、助かります。


また「アイデアマン」の部分に関しては、アイデアの引用先を記載する事で伝えます。そうでないと信憑性も落ちますし。「学生時代に子どもの工作教室でバイトしていたので、年齢に応じて簡単な工作キット作れます」「A4一枚でできる遊び考えるの得意です」とか。それらにも勿論製作時間を書き込みます。発案にかかる時間も記載。その派生から、2社目で「パッケージの企画製作」を職歴に残すことが出来たのですから、書いてみるもんです。


それらページを作ったら、メニューブックを参考に、ページの前後を考え直ししてみましょう。…おすすめメニューは先頭に。メインディッシュは真ん中に。デザート(趣味程度だが生かして貰えるかもしれないもの)は後ろの方に。経験した業務・業界についての補足などは端の方にレイアウトすると見やすいでしょう。メニューブックも産地がどうこうってウンチクが端の方に書いてありますよね。「へえーマスカルポーネってこうなんだー」って思いながらパスタの写真を見た方が何となくおいしそうに見えるからです。過度に良く見せようとするよりも、適度に興味を持ってもらうように。



とにかく、会社に自分を売り込みにいくのが「ポートフォリオ」の役割なのですから、「自分こんな作品を作ってきました!」では言葉が足りないのです。そして、面接官も、「では、その経験を生かして弊社で何ができますか?」なんて聞くのが飽きに飽きているのです。なんなら、そんな事に無駄な時間を省いてる暇がないから、ポートフォリオを見て落とすのです。そこを、バシッと、「私これが得意で、これくらいの材料・時間でご提供できます。どうですか?」まで言って初めて「具体的な話」に持ち込めるってモンです。これこそあなたが真に求める『方法』だと思いませんか。



余談ですがnoteで小金を稼ぎたいからといって何でもかんでも「それではその具体的な方法をお教えしましょう。」を最後に以下有償にするやり方、稼ぎ方として効率よくないなと思っています。

noteなんてキャラクター商売みたいな側面が圧倒的に強いじゃないですか。ですので、自分のキャラクターを理解している人へ、自分のファンへ、投げ銭を募るようなやり方がいちばんいいのだと思っているんですよね。それにはまず、キャラが立たなくては。擦られに擦られた文言に今更便乗してうまい汁が吸える程、ユーザーは馬鹿ではないと思うのです。そして何より、キャラクター商売の最重要事項は「誠実である事」です。



話が逸れてしまいましたが、私流ポートフォリオ製作術はいかがだったでしょうか?参考画像が一切なくて申し訳ねえ。なによりまだ新しいポートフォリオ作ってないからな。これからだから。やりたくねえ〜〜〜〜めっちゃやりたくねえよお〜〜〜〜〜


よかったら参考にしてみてください。


おわり。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?