タイトル未定 二拾一

入った!少し固いが外皮よりかはマシだ…!

呻き声をあげるこもり声。ナイフにジリジリと力を入れていく。体液もボタボタと垂れ始めてきた。こんなやつ相手に慈悲はない。骨ごと断ち切るからな…!

私を引き離そうと抵抗するこもり声。離されてはならない。リーダーである以上、皆死んでも、倒さなくてはならない。コイツを…!

「うっ!」

こもり声が棘だらけの手で殴打する、というよりはその棘で刺してくる。負けじとさらに力を込めるとこもり声もそれに比例して棘を深く突き刺し抵抗をはかる。

腹を数発殴られ(刺され)白かったブラウスはアイツのYシャツのように赤く染まっていく。タダは意識がないのか仰向けに倒れている。

「切れろ…切れろよお!」

激痛に片膝をつきながらも。全力で刃を入れていく。出る体液の量が多い。柄越しの感触も変わってきた。

(も、もう少し…!)

固い。骨もあるのかコイツ…!しかし…!

ブシャアー…

勢いよく吹き出る体液。こもり声の甲高い呻き声。切断された腕は2、3回転宙を舞い落下。まだ神経が生きているのか手首は動き指先がピクピク痙攣している。

こもり声はとっさに血まみれになったタテナシさんのお腹に蹴りを入れる。蹴り飛ばされたタテナシさんは床をゴロゴロ。

「よくも…よくも…!」

…チカラが…ダメだ。

立ち上がれない。思いの外あの攻撃が効いているらしい。

ここまでか。

こちらにゆっくり向かってくるこもり声はトドメをさしに来る。

ああ、ここまでなのか…くそ…。

(すまない…!)

#小説


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