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君がエリック・シュミットだったらAdsを生み出せるか

Googleは検索エンジンの会社として知られている。しかしあなたは1日で何度検索エンジンを使うだろうか。おそらく1、2回。実は日本のインターネット普及率は90%を超えていても検索エンジンを日常的に使う人は70%に止まっている。つまりGoogleは検索エンジンで世界を支配したわけではない。

Googleが成長したのは検索が優れていたからではない。ユーザーのデータをもとに広告を表示するターゲッティング広告(Ads)が優れていたからだ。え、それって検索がなければできないのではと思うだろう。しかし例えばChromeがGoogleと別会社でAdsを思いついていたら検索エンジンがなくてもかなりの収益を上げたと思う。その証拠にFacebookは検索エンジンがなくても収益を上げてきた。Googleの発明は検索エンジンではなくAdsだ。

Googleの立役者は創業者ではなく雇われ社長のエリック・シュミットだ。

Power and Commerce in the Internet Age, 25 November 2013 cht.hm/1ixrhmP

Firefoxがエリック・シュミットを雇ってAdsをすすめていればFirefoxが、Appleがエリック・シュミットを雇っていれば、Twitterがエリック・シュミットを雇っていれば、どの会社でもGoogleになり、今のGoogleは存在しなかった。

エリック・シュミットはGoogle創業者の二人にCEOとして雇われた*1。しかし今でも彼こそがAdsの立役者であり、逆に言えば彼なしではGoogleはここまで大きくなれなかった。

シュミットは大金を投じてChromeを作り無料でばらまいた。それまではソフトをインストールして使う形が一般的だったのがブラウザを開けばインストールなしでソフトが動くようになった。しかも無料で。そしてW3Cなどの団体と連携しエコシステムに積極的に貢献することで誰もが無料で良質なインターネットを体験できるようにした。

こうなれば他の企業もブラウザを作らざるを得ない。IEはもとより、Firefox、Operaなどがこぞってブラウザを開発した。ブラウザはどんどん使いやすくなり多くの人がブラウザの前で時間を過ごすようになった。そしてそこに表示されるのはGoogleが発明したAdsだった。

こうして歴史を見てみるとGoogleはインターネットに投資をして成功した。テクノロジーで世界を変えたのは確かだし、検索エンジンは便利だ。しかしなんといってもAdsなしで、インターネットなしではGoogleは成功しなかった。無料でChromeを配ったのも、Gmailを配ったのも、GoogleMapsを配ったのも、すべてインターネットに対する投資、より多くの人がより多くの時間をブラウザの前で過ごすことで広告をクリックする確率を増やす*2。

20代の創業者に雇われてCEOになり、いきなりAdsとChromeを作り出すことができるだろうか。

*1 名だたる候補がいたがスティーブ・ジョブズと二人に絞られてジョブズがアップルを選んだため次点でCEOに就いた。

*2 それからしばらくしてAppleはiPhoneのアプリを無料で配り始める。人々の時間はブラウザからアプリへと映る。Adsの売り上げは侵食される。

🐈❤️