実際知らんて、そんなこと

いくつもの朝が通り過ぎていく。
街にさす光は憂いを抱えたサラリーマンたちの頭上を通り過ぎていく。
慣れ始めた感傷と、馴れ合いの喧騒が僕たちの日常を拘束していく。

高速道路を走り始めた彼のGTRはタンクローリーの事故現場まであと少し。
もう詰りあいがそこまで聞こえてくる。
爆発するまであと少し。

気づいたら電話ボックスで、バブルの時代に電話をかける
「ツーツーツーツーツーツー」
きりぎりすの冬はもう通り過ぎたみたいだ。
あたり一面が菜の花で覆いつくされ、賽の河原など遠い昔のお話となる。

いつまでもここにいるわけじゃない。
でも自分という箱からは出れるわけじゃない。
浮遊したいジレンマを抱えて、前だけ歩いて進むには、
もう少しだけ勇気がいるのかもしれない。

ありがとう、サンバイザーよ。
見るものすべてが疎ましく見えるから。
あなたがくれたアーモンドチョコ。
一粒舐めて、もう一粒はあなたにあげる。

明日もまた空を眺めて飛ぶ夢を見る。

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