星野_ファミリービジネス

「星野佳路と考える ファミリービジネスマネジメント」を読んで


言わずと知れた「星野リゾート」代表、星野佳路さん。NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の記念すべき第1回目放送の人物で、リゾート、旅館、ホテルの再生請負人として今や大注目を集めていますよね。

この本は星野さんが考えるファミリービジネス(同族経営)の、特に継承について書かれた本です。

国内の全企業数の99.7%が中小企業と言われ、その5割以上が同族内で事業承継を行っているといいます。今回はそんな「事業継承」「世襲」について学んだので、特に気になったポイントなどメモしておきたいと思います。


ファミリービジネスの経営判断においては、優先順位に決定的な差があることを感じる。それは、会社を伸ばすことも大事であるが、それよりも会社が次の世代に生き残ることを優先する経営だということだ。
言ってみれば、駅伝のランナーの気持ちなのである。順位を上げるために全力で走るのだが、順位よりもたすきをつなぐことのほうを大切にしている。つなぎさえすれば、次のランナーが順位を上げてくれるかもしれない―。そういう気持ちなのである。


そんなとき、私の答えは「継ぐべきだ」である。
(中略)
アントレプレナーとして事業を新たに立ち上げるのは、ビジネスパーソンとして究極の自己表現かもしれない。しかし現実には、大半の新規事業は長続きせずに終わっている。これは経営手法が間違っていたというだけではなく、そもそも新規事業を軌道に乗せることは難易度が高いからだ。
(中略)
これに対して、ファミリービジネスは、起業する時のサバイバルリスクを完璧にヘッジしている。現状では全く成長していないかもしれない。かっこ悪いかもしれない。市場のニーズとずれているかもしれない。長期的には衰退ビジネスに見えるかもしれない。それでも長い間サバイバルしてきたことは事実であり、おそらく今後もしばらくはサバイバルしていくことは予想できる。「サバイバルするリスクをヘッジしている起業」と考えたときに、これほど恵まれた機会はない。


後継者がファミリービジネスを継がないときには、他の会社で働くことになる。しかし、他の会社の仕事が「ずっとやりたいこと」だったとしても、それは「あなた」でなくてもできる仕事かもしれない。
一方、家業に戻ってそれを継ぐことは、ファミリービジネスの後継者として生まれた「あなた」にしかできない。他の人が「あなた」と同じ役割を果たすことは不可能だ。


ファミリービジネスで多いのは、親から子への事業継承だ。親子間で引き継ぐことは、そのまま20~30年ほどの年齢差を越えて経営権が移行することを意味する。一方、非ファミリー企業の場合、社長を引き継ぐのは副社長や専務などの幹部であることがほとんどで、年齢差はおおむね10歳以内となっている。世代を超えて事業を引き継ぐのはファミリービジネスならではの特徴であり、そのダイナミックさを生かせるかどうかは後継者の意識にかかっている。


大事なのは、「後継者は遊んでいてはいけない」ということです。
ファミリー出身の後継者はともすれば、周囲から「ちやほやされる」と誤解されがちです。しかし、実際には全然違います。むしろ、「社長の息子だから今の地位にいるのだ」「能力がないのにどうして経営者になるのか」といった厳しい声がどんどん聞こえてきます。



この動画では「特に娘婿への事業継承が一番業績が上がるという結果が出ている!」と力説されています(笑)


ともかく、以前からいろんな場面で、星野さんは世襲については良いという捉え方を話されています。
理由は2つで、

① 同族内で次の世代へ事業継承された場合、社長は約30年の長期スパンで経営を考えることができる。一方、非同族の場合、社長として3年や5年、長くても10年の間に結果を出すことを求められ、短期的な思考に陥りやすい。

② 子供は大抵は親のやり方に不満を持つので、その分、事業継承の際に大きなイノベーションが起こりやすい。一方、非同族への継承の場合、社長は自分と価値観が似ている人を後継者に指名しがち。その結果、大きなイノベーションが生まれにくい。


ということを挙げておられます。

僕自身、星野さんから学ぶまでは、世襲ということについてはマイナスなイメージが強かったので、この星野さんの指摘は非常に目からウロコでした。

というわけで、事業の継承、世襲などを考える際に、星野さんの視点は非常に勉強になりました。


今回もお付き合いいただいて、ありがとうございました🙏
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