社会を変える2

「『社会を変える』を仕事にする」駒崎弘樹さん

 
 病気の子どもたちを預かる「病児保育」を中心に展開する認定NPO法人フローレンスの代表理事、駒崎弘樹さん。
 以前からGLOBISの動画などでその熱い語り口に感銘を受け、注目していました。

 この本は駒崎さんの学生時代~今の事業の立ち上げ部分がぶ厚めに書かれており、NPO事業を展開する際の行政とのやり取りなどの生々しさ、また社会問題に立ち向かう駒崎さん自身の熱い思いが描かれていて、熱量をビンビン感じながら読み進めることができました!

 以下、特に刺さったポイントをピックアップしておきます。

 たしかに僕は、一つの社会問題に対してある程度の行動を起こし、評価もされた。
 だけど、僕たちが何気なく歩いているこの社会には、おそらく無数の社会問題が真っ黒な素足のように投げ出され、さっきの僕がしたように見てみぬふりをされている。
 こぼれ落ちながら静かに増殖していく、そんな世の中の問題たちに、手袋をせずに手を突っ込む人間が増えていかなければならない。


奇妙なパラドックスである。補助金をもらうと一見事業は安定するようだが、実は赤字になってしまう。補助金はもらいたい。でも、もらうと成り立たない。


 ソーシャルベンチャーにコミットメント(参画、貢献)してくれる人材は、直接その分野に原体験や興味を持っている人間に限らない。特にスタートアップ時点においては、社会起業家の人柄や想いに惹かれて入ってくる例が多いようだ。社会起業家を目指す人は、どんな人でも自分の力になりうる、という謙虚な姿勢をとるべきだろう。


 「三年でやめる新卒者が四割いる時代。すでに終身雇用は崩れ、寄らば大樹の陰、という環境依存型の生き方をするのは、逆にリスクが高い。自律的に自らのキャリアを選択し、自分がどんな人間になりたいのか、という自己実現と、どんな社会を実現したいのか、という社会実現の双方を重ね合わせた働き方が、最も充実したものをもたらすんだ…って、あれほど言ってたじゃないですか」

 

 そのうちあなたは、目の前で溺れている赤ん坊を助けることに忙しくなり、実は川の上流で、一人の男が赤ん坊を次々と川に投げ込んでいることには、まったく気づかない。
 これは「問題」と「構造」の関係を示した寓話だ。問題はつねに、それを生み出す構造がある、そして、その構造に着手しなければ、真に社会問題を解決することはできないのだ。

 

 社会起業家が行うソーシャルビジネスは、たとえて言うと、砕氷船のようになるべきなのだろう。南極の氷を砕く機会を搭載した、小さな、しかし力強い、機動力のある船。その船がそれまで通れなかったところに航路をつくる。タンカーや豪華客船である国や自治体や参入企業は、そのうしろを通っていって、規模の大きな仕事をすればいい。

 

 だとしたら、民間において、NPOやソーシャルベンチャーが、国や行政が見放した、あるいは手が出せないような領域をカバーしていかなくては、問題は放置されつづけてしまう。

 

 政治家や官僚だけが世の中を変えるのではないのだ。「気づいた個人」が事業を立ち上げ、社会問題を解決できる時代になっているのだ。

 

 沈みかけたタイタニックの船員として、日々船長に文句を言い、船長を代えれば自分たちは溺れはしないのだ、と膝まで水に浸かりながらせせら笑う喜劇の住人たちが、ひとりずつバケツを持って水をかき出し、船体に空いた穴を直しはじめたら。

 

 「あたなが見たいと思う変革に、あなた自身がなりなさい」
   -マハトマ・ガンジー


 僕も自分自身のライフワークである自殺防止の活動を進めるにあたって、非常に参考にさせていただいてます。
 
 ある雑誌のインタビューで駒崎さんが
 「次はフィールドで会いましょう!」
 と言っておれらるのを見て、本当にいつか社会問題というフィールドでお会いしたいと思っています。


 お付き合いくださり、ありがとうございました!

 本はしるし書店へ出品したので、気になった方はぜひ店舗をご覧ください!


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いただいたサポートは大切に、僕のメインである自殺防止の活動(通信費、HP維持費、研修費、保護の際の交通費)に使わせていただきます。 新潟 自殺防止ネットワーク http://life-save.org 代表 池 芳朗