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シャニアニ感想

おそらく製作陣が伝えたかったのは
1、櫻木真乃はアイドルであること
2、ファンの成長

1、櫻木真乃がアイドルであること。

全編を通して見ると

「プロデューサー、君はそんなに真乃をアイドルにしたいのか?」

という気持ちになった。

真乃がアイドルになってもらうために世界全体が動き、彼女が疑問点を抱かないようにしているように見える。

たぶん大事なのは真乃にはヒーローではなくアイドルになってもらうことだからである。

ヒーローとは逆境や運命に抗う者で、アイドルとはファンという第三者の期待の担い手だからであり、我々はこの二つを混同しがちである。

なので真乃本人も含めて、親やクラスメイト、名物ファンなど彼女に対して重い感情を持つキャラクターが登場しないのかなと思う。

人は何かに抗いたい時強い感情を持つので、それをしてしまうとアイドル櫻木真乃が表現できなくなってしまうからである。

だからイルミネの初ライブの時、真乃の歌声が小さかったんじゃ無いかと思う。

激情こそがヒーローの証明であり、それはファンがいなくても成立するものなのでヒーロー性を排除してるように感じる。

だからか今までのアニマスはヒーロー的な伝説のライブばかりなのに、イルミネの2つのライブはアイドル的な伝説のライブで、特に合同ライブは練習したことしかできないはずの真乃が、ちゃんとした受け答えのMCをするというリアルのアイドルっぽい奇跡だった。

これが櫻木真乃がアイドルであることの根拠である。

2、ファンの成長

2話から5話を見ると
2話 アンティーカがファンへのメッセージとしてMVを制作する。
3話 アルストロメリアが子供のファンとの交流を経てライブ。
4話 放課後クライマックスガールズがファンとの交流を経てライブをして、ライブの中でプロデューサーまで身体を張って、子供達にアイドルのライブはどう盛り上げ楽しむべきか教える。
5話 イルミネーションスターズが練習を積んだ後、指揮者のようにサイリウムを振る大勢の観客の前でライブを行う。

アイドルからファンへ、ファンからアイドルへの流れになっている。
さらに最後のライブはセットリストを見ると、イルミネ、アルスト、方クラ、アンティーカと 2話から5話の流れが逆流し、ファンからアイドルへ、アイドルからファンへの流れになっている。
さらに最後のMCは、アルスト、方クラ、アンティーカ、イルミネの順番でアイドルからファンへの流れで、最後にその勢いのままイルミネがMCをしている。

興味深いのは3話、4話でアイドル達が交流したファンはそれぞれ子供と大勢の子供であり、これはファンの成長を現すためで無いかと思われる。
さらに4話の最後に、放課後クライマックスガールズ達の手に羽が降ってくる描写があるが、これは全ての準備が整ったことを示しているのではないか? ということである。

まとめるとシャニアニとは、ヒーローらしい激情を持たない櫻木真乃という少女が先輩達とプロデューサーが育んだファン達と共にアイドルとして成長する物語となる。

ただこれの問題点は、15人の先輩と3人の裏方という18人の仲間と無数のファンという、大勢のヒーローに囲まれたアイドルという構図になってしまうことである。

人を助けたい、応援したいという気持ちを持ち、実際に行動出来る人はヒーローであり、それを行うのに他人は必ずしも必要ないからである。

「真乃ちゃーん!!」とガヤで愛を叫ぶのが、ヒーローでなくてなんだと言うのだ。

とにかく真乃はイメージ力はあるにしろヒーロー性に乏しい普通の女の子だから、賛否両論なのではないかと思う。

せめてクラスメイトをライブへ誘うくらいして欲しかったと思う。

それでも真乃をセンターにしたからライブをキッチリやるという奇跡が出来たのだとしたら、それはプロデューサーの英断だったと感じる。

アイドルは変に伝説のライブなんてやらずに、楽しい時を作ればそれで良いのである。

櫻木真乃はアイドルの本分を立派に果たしたのである。

それなのにどうしてモヤモヤするんだろう。

ライブをキッチリやるくらいの奇跡は許されても良いはずなの本当に不思議だ。

きっとそれは私が幸運なアイドルではなく、逆境に強いトラブルメーカーのヒーローを望んでいるからかもしれない。

シャニアニは1年目ではなく6年目の彼女達が劇中劇として演じているようにあまりにもスムーズなのだ。

アニメだとリアルのように本当に何が起こるか分からない代わりに漫画的な紆余曲折、例えばサザエさんやちびまる子ちゃんみたいな事件を起こすけど人格的に問題が無い彼女達の特に櫻木真乃の日常はこんなものなのかもしれない。

プレイヤーの介入が無ければ真乃はクラスメイトをライブへ誘うこともないのかもしれない。

そういえばこれと同じような現象をウマ娘で味わったことがある。

アニメではスペシャルウィークはものすごくギャグ要員の主人公なのに、ソシャゲの育成シナリオだと普通の良い子なのである。

櫻木真乃は才能のある普通の女の子だから。

なるべく素のアイドル達とそれを取り巻く人を表現しようとした結果がシャニアニなのかもしれない。


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