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病気とつきあう(4)入院生活その2 リハビリの日々

3年半前の冬、脳出血で約半年入院、退院して3年経った。そこから始まった心身の変化がいまの生活や行動、思考に大きな影響を及ぼしている。3年ひと区切りで、病を得て何を感じ何を思ったか、何が変わったか、セルフドキュメントとして、少しずつ書くことにした。闘病記ではなく誰かの役にたつものではないし、楽しい話ではない。興味のある方はお付き合いを。今回は入院生活中のリハビリの話を。


回復期リハビリ病棟


入院は急性期病棟だったが、2020年の年が明けて2週間ほどで回復期リハビリ病棟に移り本格的なリハビリが始まった。ぎりぎり50代の自分が回復期リハビリ病棟では最年少の若造と思えるくらいまわりは高齢者ばかりだった。
1単位ほぼ40分のリハビリが土日を含めほぼ毎日3単位ある。リハビリは3分野あり担当技師も3つの職種に分かれる。言語聴覚士による食べること・しゃべることのリハ、作業療法士による手や指を使う日常生活に直結する上肢のリハ、理学療法士による立って歩くことをめざすリハだ。
幸い食事や会話で困ることはなかったので、後日言語療法士のリハを減らし、理学療法士のリハを増やしてもらった。

リハビリの愉しみ


毎日のリハビリはそこそこ楽しかった。わずかであっても昨日の自分より進歩している実感は得られたし、毎日入れ替わる技師との会話はストレス解消に大いに役立った。自分の好きなラーメン屋や飲食店の話や「新型コロナはこれからどうなる」という旬の時事ネタもあり、話題には事欠かなかった。どうでもいい会話が気晴らしになり頭の体操になった。病棟でもリハビリ室でもまわりの患者は自分より年長者だが、軽口をたたき文句をいいながらも必死にリハビリに取り組む姿には励まされた。

ただ立つ・歩くことの難しさを実感


リハビリ技師は患者の姿勢のゆがみや運動の弱点を瞬時に見抜き、的確なアドバイスをくれて弱点を修正・補強する訓練を提案し施行してくれる。あるときは即興で。本当にプロ、匠の技だと思った。ただ立ち、歩く、病気前なら無意識に、当たり前にできていたことを意識的にするのがとても難しい。手足の重さ(比喩でなく物理的な)を実感する毎日だった。また個々の技師によってリハビリのやり方がずいぶん異なることも知った。

感覚障害は厄介だ


毎日張り切ってリハビリに取り組んでも思いどおりには回復しない。自分の場合は感覚障害が強いことが大きな要因だった。左手のしびれと張りが取れないし、左足が突っ張り地面を踏みしめている感覚、体重がかかっている感覚が弱いためふらつき、うまく足が運ばない。「感覚障害は治りにくいんです」リハビリ専門医には早い時期にはっきりいわれた。脳卒中というと麻痺や運動障害をまず考えていたが、感覚神経の障害がこれほど厄介だとは思ってなかった。当事者になって知ったことだ。


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