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テレビドラマ「Solliev0」を楽しんじゃってくやしい話

くやしい、たのしかった。
でも別に誰かにオススメしようとは思わない。
この記事もオススメしたくて書いているわけではなく「不完全燃焼で見終えた人が多いだろうな」と感じて、ちゃんと楽しんだ側からのお気持ちを残しておくために書いています。
前提として追記しておきたいのですが、ぼくはどうも「物語を解体して楽しむタイプ」なので、もしかしたら楽しみ方がちょっと変かもしれません。あしからず。

基本的には、いつも通りの日記です。

以下ネタバレを含みますので、ご留意ください。


テレビドラマ「Solliev0」がすげーーー中途半端に終わったと思ったのなら、それは悔しいかな、正しく術中にハマっている証拠なのでむしろ安心してほしいと思うし、なんならそういう感想が出たということは、ドラマ版はドラマ版としてつとめを果たしたんだな…やったじゃねえか…そんな見方をしてる奴のはなしを、すこし聞いてはくれないでしょうか。

ドラマ「Solliev0」は、誰の物語だったのか


そんなの明快です。
あれは「天月冬真の復讐劇」でした。
天月冬真が主人公の、天月冬真の物語。

財閥の長男として不自由なく生まれ育つ資格を持ちながら、母の身勝手で、父の身勝手で、継母の身勝手で、なんやよう知らん悪イケオジの身勝手で、全てを奪われた子どもが全てをめちゃくちゃにして、不自由なく蝶よ花よと育ち、持たざる自分の前に現れた、全てを持った何も知らない異母弟に八つ当たりし、彼から自分を含めたあらゆる全てを奪う物語。

それが、ドラマ「Solliev0」 全6話の本来の物語でした。

嘘じゃないです。
落ち着いて考えたら、彼だけが全ての目的を達成し、逃げ切り一人勝ち、大勝利をおさめているのだから。まだ先のこととはいえ、天月財閥・天月ホールディングスのトップにおさまるんですから。
自分を虐げた継母も死に、助けてくれなかった父親も死に、弟からは家、地位や名誉、両親と友人たちと安息の居場所、それから優しい兄を奪ってみたら、殺す価値さえなくなった。まさに完全勝利です。
RPGの主人公なら「まおう(弟)」を倒した大団円大ハッピーエンド。

でもそう見えなかったのは何故か。

持たざる者・天月冬真、マジで何にも持ってない


マジで持たざる者・天月冬真、ドラマカメラの主導権と本心の告白シーンを最終話まで与えられなかったのです。
全てを持つ者・天月春陽が、それらを持っていたので。

どうしてそんなことを、と思うなかれ。
1話30分全6話・ドラマ「Solliev0」は「天月冬真の復讐劇」という主題を最終話で完成させるために「天月春陽の憂鬱と日常」にカメラを向けることで視聴者の視線さえも逸らして、まっすぐ駆け抜けてきたのだから。

物語が尻切れで中途半端に終わった?とんでもない。
「天月春陽の憂鬱と日常」はめちゃくちゃになったけど「天月冬真の復讐劇」は全6話で描かれきったのです。
見事、見事です。

余談ですが、ぼくの最終話視聴後の第一声は「やったー!!!!」でした。
最悪です。最悪の自覚があるので許されたいです。

舞台「Solliev0」にサブタイトルをつけるなら


そんなわけで、天月冬真の物語にとってみれば、後日譚となる舞台「Solliev0」は蛇足です。見にきてもいいし、見にこなくてもいい。
彼の物語はドラマで終わったのだから。
めちゃくちゃ気になるけど「絶対に見なければいけないもの」ではないんですよね。

舞台が舞台に移って、やっと「天月春陽の物語」です。
というか、皮肉にも何もかもを同じように失って、やっと兄弟二人が同じラインに立ったとも言えるので、ドラマ開始時よりもずっとイーブンスタート、「天月春陽の復讐劇」はここからはじまるわけです。

ドラマ「Solliev0」は、ちゃんと完結しています。
不完全燃焼感があるのは、主人公を取り間違えていたから。
取り間違えるよう、欺かれていたから。
一人の本当の主人公の物語が終わることによって、もうひとつ、別の主人公の話がはじまるだけのことです。
そのもうひとつの別の物語、舞台「Solliev0」に、色んな意味はあれども視聴者の「どうなるのこれ?」っていう気持ちをパスすることもできました。

連動企画のドラマとして、やれること全部やっていったじゃん。
これを、成功といわずしてどうする?
よくやったよ、1話30分全6話で…!!
ニチアサだったら絶対無理だった、絶対終わらなかったよ…えらいよ…。

そんなわけで、ストーリー云々を置いといて(置いとくんだ…)見方を変えたら物語の全容が見えて、めちゃくちゃ楽しんだやつもいましたよ、という日記でした。
舞台「Solliev0」もたのしみですね。



以下余談

このメンツでこの流れだけど、収容人数を減らしてでもこだわりの陣形(戦)を先行チケット予約開始前の、一番初手に提示してきたってことは、その陣形(戦)でなければこの物語はできないと思ってるってことでしょ、そりえぼくん。
何もかも度外視して、やりたいことをフルパワーでやりきる気でいるでしょ、そりえぼくん。


物語どうこうより、その心意気が好きだよ。
がんばれ、そりえぼくん。

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