「健康の秘訣って何でしょう？」

暑い日も寒い日も、雨の日も晴れの日も毎日よく働く、健康の代表選手のようなOオンジ81歳に出会った初期に尋ねた。

すると、一瞬動きを止めて、

・動くこと

・言い切ること

・そして……笑うこと！

と即答して急斜面を登っていった。

とにかく動きが早いOオンジ。じっとしていないのは訳があるようで、体と手先指先を常に動かしているのは、ボケ防止なんだと。
「〜しなくてはいけない」も大事なことなんだと。

誰に頼まれたわけでもなく、報酬をもらっているわけでもなく、自分で決めたことをシゴトにしている。

無縁墓周辺の整備を続ける背中に突き動かされるように後を追い、気持ちばかりのお手伝いをしたのが１年半前。

そのOオンジの同級生の二人は元重役さんで、たまにOオンジの活動場にお茶しをしに来る。二人にも同じように尋ねてみた。

すると、

・ストレスをためない

・朗らかにいること　と。

それはそうだろうけど、なんか格好良くまとまりすぎていて、腑に落ちず

「でも、どうしてもストレスたまることってあるでしょう？部下が言うこと聞かなかったり、思うように仕事がはかどらないとか、結果が出ないとか。そういう時、どうしてました？」

大先輩二人は、それぞれに言いたいことがあるらしく、互いの呼吸で順番を決めてくれたようで元自営業H社長が口火を切ってくれました。

「簡単なことだよ。自分でやることだ！」

そしてベンツの君（山にベンツを乗り付けるためそう呼んでいる）は

「期待しないで寝る事だな！」

「自分で全部やるってこと？ストレスためると、眠れなくなりませんか？どうしてましたか？」矢継ぎ早に質問してしまう。

二人そろって、ふっと笑って

「眠れなくなるまで、ストレスをためないようにすることだな」とベンツの君

「でもプロジェクトとか一人でできないこともあったり、ストレスためないように気を付けていても、眠りが浅くなることがあったとしたら？」

と食い下がってみる。

「なんとかなるから、笑うこと！」とH社長が高笑い。

それでは、私が理解できないだろうとベンツの君が付け加えようと、深呼吸する。

私は、聞き逃すまいと息をのむ。

「何でも、前倒しに計画することと、自分がやること、そして

とにかく、とにかく寝る事。

嫌なことがあったら考えないで寝て、リセットすること。貯めないことだな！」

眠れなくなったら、これはマズイ。と

近年では、ストレスでの不眠が健康に大敵と認知されているけれど、団塊世代の重鎮達にそれは基本中の基本だったよう。

そして、それぞれガンや重病をわずらい、歩けなくなった数年前があっての今があることを、笑いながら話してくれる。

単なる笑いではなく、高笑い。

でも、コロナには動きを制限されてしまい、コロナとの戦いだとも語る。

「仕事やめて自由になって、これからなのに退屈で動かなくなって、病院にかかる友達もいっぱいいた。みんな家から病院から出れなくなって、可哀相だけど仕方ねえよな。俺らは、動いてギリギリまで楽しむぜ！でも、コロナで旅行にも行けないからな。」

コロナ中の後期高齢者の健康維持は、筋力維持とメンタルだという。

これはどの世代にも同じだと思うけれど

【孤独は大敵】だと痛感している様子。