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キメ友Mとの夏①〜

Mにメールしたら、すぐに返事が返ってきた。
深夜1時に当時住んでた道頓堀沿いのマンションから歩いて2〜3分の千日前、文楽劇場の近くにある国名小劇場の前で待ち合わせの約束をした。

千日前に出て見るとMは先に着いてて、しゃがみこんでうちわをあおぎながら待ってくれてた。
涼しげなワンピースを着てた。

Mとは数日前の夜に知り合ったばかりだった。
若い女の子ばかりのお店、屋根のない店から来た女の子。
2回目には悪い遊びを一緒にした。

「ごはん食べた?」
可愛い顔でにこにこしながら、
「お兄ちゃんが食べるなら行く」

文楽劇場から東向きに歩いたら24時間営業のT&Aって喫茶店がある。
店前にある小便小僧から水が流れてる。

2人でオムライスだったかな、何かを軽く食べた。
店を出て日本橋の方に戻った。
ラブホテルに入った。
クーラーをガンガンにつけて窓をすかした。
千日前の通りを往来する車の音が適度に聞こえて心地いい。

小さな音で有線をかけた。
シャワーをお互いに浴びてからベッドの上でタバコを吸って話してた。
イントネーションが違うMにどこ出身かを聞いた。

16〜17から地元のスナックなんかでバイトしてた。
普通に高校にも通ってた。
友達と卒業したら大阪に行こうって話してた。
テレビなんかで観ると大阪はとっつきやすくて、魅力的な気がしてた。

卒業してすぐに友達と2人で大阪に来た。
予め電話をかけていたお店の面接を受けた。
大阪のキャバで一番大きい求人を掲載してたお店。
有名店だと思った。
お店は思った以上に広くて、びっくりするくらい綺麗でピカピカだった。
友達とお店まで歩いて通える場所にワンルームの部屋を借りた。

大阪ミナミを2人で歩いて回った。
キラキラとしたネオンが眩しかった。
タコ焼きを買って食べた。
美味しかった。
憧れた都会の生活。
その街大阪でキャバ嬢になる。
そんなことしか考えてなかった。

お店に出た。
みんな着飾ってて少し気おくれした。早くあんな風になりたい。
でも自分だっていくらかは、お水の仕事をやってきたし、何人ものお客さんに口説かれてきた。

どうにかなる。

1日目、あちこちの席を回ったけど、最初は地元言葉が出そうであんまり話せなかった。

2日目、お客さん達は優しくしてくれた。
何人かのお客さんが指名をくれた。
やる気が出た。

3日目、4人組のお客さんのテーブルに付いた。
話がはずんだ。
30代ぐらいの遊んでそうな男の人たち。
友達と一緒に働いてるって言ったら、友達も一緒に指名してくれた。
お店に入ってまだ数日だって話した。

「明日同伴してあげる、ごはんでもみんなで行こか?」
次の日に待ち合わせた。

ミナミの繁華街から歩いてすぐの島之内のマンションの近くまで車で迎えに来てくれた。
2台の車。
昨日いなかった人もいた。
3人ぐらいずつ乗ってた。

上手く言われて私達は1人ずつ2台の車に別々に乗せられた。
車の中で男の人達は昨日とは違って無口だった。

待ち合わせは4時、外は全然明るくてなんにも警戒なんてしてなかった。

にゃんこです。猫が書いてます。 にゃんチュールたびたい