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マスタ管理の基本理解

はじめに

今の会社に入って、全社のDX推進担当となりました。その中でデータこそ最重要であると訴えていたら全社データマネジメント企画が立ち上がった。

必要となるルールや役割、体制を試行錯誤しながら構築しながら認知度を上げるなどさまざまな担当をしています。おかげさまで認知度は徐々に上がってきて、最近はマスターデータ管理(MDM)の導入検討を始めています。

これから書くように考えるのが良いというものではなく、「こんな考えもあるんだ」くらいで見てもらえたらと思います。

マスタ管理は「実体の管理」と「関係の管理」

マスタデータには「実体の管理」と「関係の管理」がある。マスタデータ管理は、企業のリソースを正しく管理することを目指す重要なプロセスです。企業が持つデータはその最も貴重な資産の一つであり、それを適切に管理することで、効率的な業務遂行や戦略的な意思決定が可能となります。

実体の管理

実体の管理とは、実体の識別とその実体に関連付けられた個々の情報を管理することです。例えば、顧客の識別しと顧客の氏名、住所、電話番号などの情報を管理することが該当します。実体の管理では、企業のリソースを正確かつ完全に管理し、それを最大限に活用します。これにより、データに基づいた意思決定やビジネスプロセスの最適化が可能となります。

関係の管理

関係の管理とは、実体と実体の関連や依存関係を管理することです。例えば、顧客とその購買履歴、製品とその在庫情報などがそれに該当します。関係の管理により、企業はデータを総合的に活用し、ビジネス上の関係性やパターンを把握し、戦略的な意思決定を行うことができます。これにより、企業のリソースが最大限に活用され、競争力の強化につながります。

全社共通で管理と領域別管理

マスタデータの管理方法には、全社共通で管理した方が良いものと、事業や業務、国・地域ごとに管理した方が良いものがあります。企業のリソースを最適化するためには、適切な管理方法を選択し、データの一貫性と柔軟性を両立させることが重要です。これにより、企業はリソースを効果的に活用し、競争力を維持・向上させることができます。

マスタデータ管理の重要性と目的

マスタデータ管理は、ビジネスにおける重要な要素であり、以下の理由から取り組む価値があります。

データの一貫性と信頼性の確保

マスタデータ管理により、企業は異なる部門やシステム間でデータの一貫性を確保し、信頼性の高い情報を提供することができます。具体的には、顧客データや製品データなどのマスタデータを中心に、データの正確性や統一性を確保する取り組みが重要です。

業務効率化と生産性向上

正確で信頼性の高いマスタデータを活用することで、業務プロセスが効率化され、生産性が向上します。例えば、顧客データを正確に管理することで、顧客対応の迅速化やターゲティングの精度向上が可能となります。

意思決定の基盤となる情報提供:マスタデータ管理は、組織の意思決定の基盤となる重要な情報を提供します。正確な顧客情報や製品情報などのマスタデータを活用することで、戦略的な意思決定が可能となります。例えば、マーケティング戦略の立案や新製品の開発において、正確なデータが重要な役割を果たします。

マスタデータ管理の要素

マスタデータ管理の要素を理解するには、次の3つの重要な要素があります。

  • データ構造の統制

  • メタデータの統制

  • 値の統制

これらの要素が効果的に統制されることで、マスタデータの品質が向上し、組織がデータ駆動型の意思決定を行うための基盤が整います。

データ構造の統制

データ構造の統制は、企業全体のデータの在処や流れを把握し、管理することを意味します。これには、事業、業務(場合によっては国や地域)毎にどのようなデータが存在するか、または発生するかなど、データの所在地や移動経路を明確に把握することが含まれます。データの流れやデータストレージの構造を把握することで、データの整合性や効率的な利用を確保します。

メタデータの統制

メタデータとは、データに関する情報のことであり、データの属性や意味を記述します。マスタデータ管理では、メタデータの統制が重要です。つまり、どのデータがどのような意味を持ち、どのような属性を持っているかを明確に定義し、統制する必要があります。例えば、顧客データの属性や製品データのカテゴリー分類に関するメタデータを定義し、管理することで、データの理解や利用が容易になります。

値の統制

値の統制は、データの値が特定の規則や定義に従って生成され、管理されることを指します。具体的には、コードの規則や採番ルールを定義し、データ値の生成がその定義に従って行われることを確保します。これにより、データ値の整合性や一貫性が確保され、データの品質が向上します。

よく聞かれた質問(「実体の管理」と「関係の管理」)

ここまでに書いた社内で説明した際に「実体と関係って何?」「全部同じだろ?」などのコメントが多かったので、例えで答えていた内容を念のため書いておく。
経験としては「実体の管理部門」と「関係の管理部門」が分かれていることが多かったので分けて管理した方が良いと思っている(もちろん同じ部門がやっている場合もある)

有料指定ですが、大した内容ではないのでお小遣いをくれる方のみお願いします。

顧客データ管理

実体の管理
顧客を識別する情報(顧客番号など)と基本情報(氏名、住所、連絡先など)など、企業全体で共有されるデータを管理する。

関係の管理
顧客との関係性や営業活動に関連するデータなど、各営業担当者や顧客サポートチームが管理するデータ。
顧客との商談履歴や契約情報など、営業活動に関連するデータ。
顧客からの問い合わせやクレーム履歴など、顧客対応に関連するデータ。

製品データの管理

実体の管理
製品の識別情報(品番など)と基本情報(製品名、仕様、価格など)など、企業全体で共通の製品情報。

関係の管理
製品の製造(M-BOM)や販売(S-BOM)に関連するデータなど、各製造部門や販売チームが管理するデータ。
製品の生産計画や生産ラインの稼働状況など、生産活動に関連するデータ。
製品の在庫状況や出庫履歴など、物流管理に関連するデータ。

組織データ管理

実体の管理
組織の識別情報(部門コードなど)と基本情報(部門名、部門略称名、職掌など)など、企業全体で共通の組織情報。

関係の管理
部門間の階層関係に関するデータなど、部門間の役割や上下関係を明確にするデータ。
部門と従業員の関係に関するデータなど、所属に関するデータ。

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