ヒロアカ:トゥワイス:くちばしにチェリー

「囀ったら真っ逆さま」って歌詞がこんなに似合ってしまうキャラもそんな居ない。
一瞬、コンマ1秒、神様がうっかりクシャミをしたその時、彼の人生の転落が決まった。
住み込みで雇ってくれた会社の、お得意さんを轢いた。向こうが有責だけどそんなこと主張しても誰も守ってくれやしない。住処を追い出されて、お金も無くて、元々決して多幸でない人生から「幸」が失せた。

こういう話って他人事であり、明日は我が身だからこわい。トゥワイスの怖くて悲しいところは出生が殊更に不幸だとか、めちゃくちゃ重い傷だらけの過去があるとかじゃなく、今まさに自分に降り掛かって来そうなどこにでもある話で深い穴へ落っこちたってことだ。
きっと現実世界にもごろごろ転がってる「よくある話」。今日の夕方には、新たなトゥワイスがこの世に誕生している可能性すらあるのだ。
一寸先は闇。

そんな不幸の連鎖のなか、ホークスを信じてあげようとした優しさを持ち合わせ、最後まで仲間を守ろうとした彼の人となりに心を打たれる。
自分を一番信じられなかったから、仲間だと思った人のことを信じてあげたかったんだな…。
敵連合のメンバーでは人間らしい部類に入ると思ってる。
トゥワイスがいるだけで場が明るくなるし、トラウマを乗り越えたサッドマンズパレードは賑やかで文字通り「パレード」だった。

優しく、明るく、心の弱い彼だからこそ、トガちゃんに抱きとめられながら迎えた最期がトゥワイス──分倍河原仁にとって最高の瞬間であったことを願わずにはいられない。

余談だけど、「仁」って名前、「二人」の漢字なのでよく考えられたネーミングだよね。

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