吉岡里帆は性格が悪くあってほしかった。

吉岡里帆さんが苦手だ。こわい。顔が良いのがこわい。どんなに悪意を持って見ても顔が良い。かわいい。度数上げまくったすべての景色が蜃気楼になる老眼鏡かけて見ても顔が良い。おおよそ全ての人間が醜く見える斜め下からのアングルで見ても顔が良い。嘘みたいに良い。
普通にかわいい人なんてテレビの中には溢れてるものだけど、こんなに怖いのは吉岡里帆さんだけ。
大きな丸を描くやさしげな瞳、1ミリの歪みもない鼻、キュッと上がった口角、艶のある肌……こんな整った「世の中の可愛い総決算」を見ると私のようなモブモブの実を食べたモブ人間は細胞中の劣等感が刺激されて悲鳴を上げるのだ。

見た目が敵わないなら性格だ。
美人は性格が悪いと相場が決まっている。

どうか性格最悪であってくれ──!

清純そうな顔して喫煙者であれ!マネージャーの手のひらを灰皿代わりに使っていてくれ!汚部屋に住んでいてくれ!大五郎の4リットルボトルが部屋を覆いつくしていてくれ!Twitterの裏アカで政治的に偏った発言しまくっててくれ!カメラ回ってないところでファンの手紙読まずに捨ててる自慢しててくれ!元ヤンであってくれ!スタッフに高圧的であってくれ!

強く思い込めばだんだんそれが真実なような気がしてくる。そうだ…吉岡里帆は顔は可愛いけど性格は悪い…絶対そうだ……。

祈るように開いた吉岡里帆のWikipediaは私に厳しい現実を突きつけた。

【自他ともに認める生真面目な性格。ドラマでもバラエティ番組でも実直に作品に取り組み、作り手の要求に全力で応え、制作現場のプロたちに対し全力で向き合うことをモットーとしている。
視聴者が共感しにくい役柄を演じることで吉岡自身が批判に晒されることもあるが、「そもそも自分の中に嫌われる要素がある」ことを認め、「それでもみなさんに真剣に作品を届けたい」と語る】

──プロ意識の高さ


【テレビも映画も東京制作が主体であることから「やっぱり東京いかないとだめだな」と思い、東京の養成所に通い、京都の大学で演劇をしながら東京の養成所でレッスンを受けるという、京都と東京の往復する生活を送る。
京都から東京に通う費用は居酒屋やカフェ、歯科助手など多い時で4つのアルバイトを掛け持ちして捻出した。大学が終わった後に作品作りをしてアルバイトへ行き、夜行バスで上京して漫画喫茶でシャワーを浴びオーディションを受けるなどして再び夜行バスで京都に戻る日々を5年ほど続ける】

──夢のためにひた走れるバイタリティー


【「ここの看板女優になるから、お願いだから私を今すぐここの事務所に入れて下さい」「めちゃくちゃ働くから、仕事をください」と社長に直談判して2012年末に事務所に所属】

──自分を売り込める心の強さ

はーーーーーーいお手上げ無理でーーす!!!!!!!!すごすぎない???無理じゃん私みたいな家帰って2秒で全裸になって布団で5時間スマホいじって何となく寝る生活してる奴が劣等感覚えるなんておこがましい。
もうさー、顔で勝てない女が次にすがり付くのが「性格」なんだよ。小学生の頃から女子って「○○ちゃんって性格悪そう」とかって可愛い子いじめるじゃん。もう自分の性格の悪さが確定してることは棚に上げて、「性格悪そう」の一点突破で可愛い子をハブるんだよ。
そういう劣等感と僻みと妬みと嫉みを30年熟成させたワインで脳みそ漬け込んでるのが私なわけだけど、吉岡里帆は一切の隙なし。私が付け入る弱点なんか1つもない。爪の先っちょすら入らない鉄壁。

どんなにネットで探しても週刊誌の飛ばし記事程度の悪評すら出てこない。出てくるのは私と同じ思考のモブ女どもが吐き出す同じような僻み妬み嫉み。悪意ある週刊誌すらテキトウぶっこけないほど完璧な美女、それが吉岡里帆。

いや、薄々わかってたよ。なんかの音楽番組で椎名林檎ちゃんの生パフォーマンス見た吉岡里帆さんが涙目になりながら「最高!!!!」って叫んでて、でもそのあと「泣きません。今は仕事中だから」ってきっぱり言い切ってて、その凛々しい姿でわかってたよ。可愛いだけじゃない高いプロ意識を持つ強い女性なんだってこと。可愛さで闘っていきたい人ならあの場面でここぞとばかりに泣くよ。好きなアーティストの新曲パフォーマンス見れたらだいたい泣くよ。その高ぶる感情を抑えて仕事を全うした吉岡里帆さんが性格悪いわけないんだよ。仕事テキトウにこなしてるわけないんだよ。

顔が良い。スタイルが良い。性格が良い。仕事は真面目。字が綺麗。猫が好き。家族に恵まれている。


・・・・・・・非の打ち所がない。

今日色々調べて、吉岡里帆さんが素晴らしい女優なのだと解った。
解った上で、これからも恐れていきたい。あの可愛い顔を見るたび発狂して首元掻きむしっていこう。私が持ち合わせない総てを持っている女性に対し、劣等感が消えることはないのだ。持つことがおこがましくても、劣等感は永遠に不滅です。唯一心の拠り所だった架空の欠点はもう無いので、今後は純粋に劣等感で死のうと思う。


はぁーーーーーーーーーーあ(クソデカため息)

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