L'Arc〜en〜Cielアドベントカレンダー17日目「and She Said」

L'Arc〜en〜Ciel Advent Calendar 2017 17日目。慣れてきた頃にはもう終盤なんだなぁ。

アルバム「heavenly」収録 ビデオシングル

歌詞っこ

これは完全にタイトル勝ちな気がする。ミスチルの「& I LOVE YOU」も好きだし。

直訳すると「そして彼女は言った」なんて、中学生どころか今時の小学生でもわかるような英語なんだけれども、「そして」の前に何があったのかめっちゃ気になる。

曲的に非常にひねくれた感じの曲だし、ラルクの王道からは結構離れた感じのように聴こえるが、実はこれ、シングル曲である。

シングル曲といっても「ビデオシングル」であり、CD音源としてはアルバム「heavenly」に収録されているので、アルバム曲という印象の方が強いことだと思う。

当時のL'Arc〜en〜Cielはカテゴライズ的に「ヴィジュアル系」とされるところに入れられがちで、アイドル的な扱いをしており、メンバーのヴィジュアルを中心に売り出すという戦略を取っていた。

それに対して、音楽性で勝負したいメンバーの反発も大いにあったようではあるが、メジャーデビュー間もないこともあってスタッフの意向に沿わなければならない時期があったようで、メジャーデビュー曲もCDシングルではなく、アルバム「tierra」に収録されている「眠りによせて」だったりする。

今の世代の人であれば、YouTubeのレーベル公式チャンネルがあれば、そのレーベルのアーティストの映像付き音源を見ることができるので「ビデオシングル」という立ち位置を理解するのはたやすいかもしれないが、僕らの世代においては、CD音源ではないデビューシングルというのはかなり特異的な感じだったし、やはりメンバー的にも良しとできるものではなかったようで、この後、メンバーとスタッフとの話し合いにより、heavenlyに至る路線が作られていったらしい。

結果としては決して悪いセールス結果というわけではなかったとのことだが、ビデオシングルとしてリリースされていたということを知ってる人はそんなたくさんはいないと思う。

さらに蛇足を重ねるが、L'Arc〜en〜Cielのディスコグラフィーにおける初期というのはちょっと混乱しやすいところで、メジャーデビュー曲は「眠りに寄せて」、ファーストアルバムが「tierra」、その後に初のシングルCDとして「Blurry Eyes」が発売されている。

「Blurry Eyes」が事実上メジャーデビュー後の最初のシングルCDではあるが、「デビュー曲ではない」というところの時系列がちょっとややこしい。この曲はアルバムからのシングルカットなのである。

まぁそういう裏話はさておき、and she saidに戻ろう。

耳心地のいい曲が選ばれがちなCDシングルに対し、こういうひねくれた曲をサラっと突っ込んでくるあたりは抜け目ないなぁと。あと、インディーズ時代の感覚から抜けきったような感じのサウンドになっているのも注目したいところだ。アルバム「DUNE」のいくつかの曲を聴いた後この曲を聴いてみると、どことなく重い感じのあったインディーズ時代のサウンドからものすごく進化してるのがすぐにわかると思う。ヌケがいいというか、音楽用語とかそこらへんあんまり詳しくないのであくまで感覚的なものではあるけれども。

ちなみに、L'Arc〜en〜Cielにしてはかなり珍しいボーカルとコーラスの分離がはっきりしてる曲でもあったりするので、そういう視点で聴いてみるのも一興ではないかと思う。あと、歌詞が「デスマス」調というのもかなり珍しい。

かなりラルク的には変則的な感じの曲調ではあるが、地味に結構hyde節を思わせるところも多く、難解に難解を重ねた歌詞、現実か夢なのかわからないような世界観など、ちょっと穿った見方をすれば、ray収録の「sell my soul」の原型に近く感じられるかもしれない。そう感じてるの僕だけかもしれないが。


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