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人事同士の情報交換より、社員の話を聞くべき、という結論になった話

人事の情報交換の場にいくと疲れる。「意味なくね?」と思ってしまうのだ。行かなければよい。でも、断りにくい場合もあるし!!!意味あるときもある。なので、どういう場なら参加するかを考えた。

人事がたくさん集まっていると疲れる。なぜか?

人事がたくさん集まる場だと疲れる。なぜか。

人数が増えると、自社に都合の悪い話は言わないから。例えば、退職勧奨。これは人事においては重要な情報だが、大勢の人が集まる場のテーマにはならない。私も話すのは躊躇する。少数の人事での情報交換ならあるだろう。

人数が増えると、「話しても意味のない人」の割合が増えるから。うわー!こんなこと書いてる奴は、本当に嫌な奴だな!しかし本音である。情報交換の意義があるかどうかが、「情報の内容」ではなく「人」で決まっているのではないか、という観点から何かを考える。

「自社にとって都合の悪いであろう人事系の話」と「話しても意味のない人」の2つを軸に考える。

自社に都合の悪い人事系の話を他社に公開しない理由。公開のデメリットはわかりやすい。メリットはわかりにくい。

例えば、退職勧奨に関するノウハウがたまってきたとする。非公開にしたい理由としては、競合他社に使ってほしくない場合、そもそも社外に知られることがマイナスになる場合などだ。

「自社に都合の悪い話の公開によって発生したプラスの効果」と、「ただ乗りの競合からくる損害や、自社に都合の悪い話の公開によるマイナス効果」と、どっちが大きいか。ポイントは、「自社に都合の悪い話の情報公開によるメリット」が、「公開することによるデメリット」よりも計測や予測がしにくい点だろう。

※ここの項目は以下の論文を参考にした。「ソフトウェアのオープンソースに関する考察の3部作」といわれているもの。「伽藍とバザール」「ノウアスフィアの開墾」「魔法のおなべ

「自社に都合の悪い人事系の話を公開するのメリット」は、ソフトウェアのオープンソースと同じようにはいかないはず。

ソフトウェアのオープンソース化によるメリットは、第3者からのフィードバックによるソフトウェアの改善だ。しかし、人事系の施策は、単に公開することでフィードバックを得られて改善されるのか?なので、別の観点から「人事系の手法の情報公開のメリット」を考えてみたい。

Googleは人事系の情報を公開している。しかし、他社からフィードバックを得ようとはしていない。

Googleは人事系の情報を公開している。しかし、他社からのフィードバックによって改善をしようとはしていない。

参考:グーグルが自社のマネジメント手法を公開する、3つの理由

気になるところを引用しておく。

そうすること(柴田注:自社のマネジメント手法の公開)で同社が失うものは何もない。なぜなら、これらの慣行のいくつかは基本的で、当たり前のように見えるかもしれないが、実際には、継続的にうまく実行していくのはきわめて難しいからだ。
研究者にとって、実験の結果を他の実験室で再現するのがいかに難しいかを考えてみよう。手法がわずかに違っているだけでも、特定の結果を再現しようという試みは失敗する。マネジメント慣行も同様だ。それを有効にするためには、他のさまざまな慣行と、それらを支える規範を整える必要がある。
この点からすれば、グーグルが「マネジメントのオープンソース化」で被る不都合はなきに等しい。優れたマネジメントを模倣することは非常に困難なため、同社にとってリスクではないのだ。

ちなみに、上の記事には、もうひとつの「公開する理由」として「逆説的だが、簡単に真似できるわけではないこの手法を、きちんと実行できたら効果がでるので公開している」ということも書かれている。

なるほど、これでちょっと「話して意味がある人」の条件がわかってきたぞ。まとめてみよう。

「話して意味がある人」は、こういう人かも!

・組織の「慣行や規範」が違うと、他社の組織マネジメント手法を導入しても同じ成果がでるとは限らない、と認識している。

・自社の「慣行や規範」は、社内にいる自分ですら全部把握しているわけではない。言語化されていない「慣行や規範」が大量に存在する、と認識している。

・上の2つを踏まえて、自分が認識している自社の組織マネジメント手法を公開する場合に、「これが成立する前提条件(自社の慣行や規範)は自分もわかってないんですけど」という話し方になる。

私にとって「意味がある情報交換」とは、他社の事例等を聞いたときに、その発表者すらも認識していないであろう「その会社の慣行や規範」を社外の人として質問することであぶりだし、そこと発表されている事例との関係性を認識することなのだろう。その「発表者も認識していない慣行や規範」と「人事施策」の関係性を理解すればするほど、自社にも応用できると考えているので、そこに集中したい。

これは結果的に、ソフトウェアのオープンソース化によるメリットと似た構造になる。つまり、人事施策の方法を公開することで、他社からのフィードバックによって、自分でも認識していない「慣行や規範」と「人事施策」の関係性があぶりだされ、それによって人事施策の改善につながる可能性がある、というメリットだ。

このあたりが前提になってくると、エンゲージメントを測定するサーベイなどでも、デフォルトで絶対聞かないといけない質問がはいっているものなどを利用しにくくなる。その質問を聞くべきなのか?から考えたくなるので。

じゃあどうすればいいか、を考えた!

以下の3つを満たせると理想。
・自社の言語化されていない「慣行や規範」を知り、自分たちでも認識していなかった運用されている組織マネジメント手法の前提条件を知る
・その前提を踏まえて、運用されている組織マネジメント手法を改善するヒントをもらう
・そのために、不特定多数に知られた場合は自社にデメリットも多い内容まですべて公開する。

案1.他社も知っている中途採用の社員に自社について聞く。

入社すると、前職との違いなどいろいろ違和感があるわけで、そこから聞いていくのが一番手っ取り早そう。自社の社員だからデメリットも少ない。ということで、これが記事のタイトル「人事同士で情報交換するなら、自社の社員の話を聞いた方が良いのではと思った話」になった。

案2.「特定の会社」とだけ、組織マネジメント手法を公開して、互いのレビューを受ける。

例えば、業界が違うけど組織の規模が似ている会社で、担当者レベルで認識する課題感も似ている会社があるとする。そのような会社間であれば、秘密にするメリットよりも、全部公開して相互にフィードバックをもらうことのメリットが上回る可能性がある。

案3.マネジメント手法を公開するのではなく、他社に対して『社外人事部』的にアウトソーシングなどで手伝ってみる。

これは、他社の組織の「慣行や規範(=文化)」を知ることで、自社の言語化されていない「慣行や規範」を把握できるのではないかということ。その上で、自社を変化させるべきかどうかを考えることができそう。

自分たちの手法が他社に適用できるのか、を実施してみるプロセスでそれがわかりそう。会社のほうのブログで書いた「内製化されたサービスが、社外にいる競合のサービスと比較して、優れているのかどうかを検証し続ける方法は何か?」という話と、手法は同じだが目的が異なるということかも。

案4.他社の人事を社内に受け入れ、自社の人事部を手伝ってもらう。

これは案3の逆。中途採用の人に聞くのと似ている。この記事読んだ上で来てもらえれば、ありかなと思った。

ということで、以下を実行していきます!!

・他社も知っている中途採用の社員に自社について聞く。
・「特定の会社」とだけ、組織マネジメント手法を公開して、互いのレビューを受ける。
・マネジメント手法を公開するのではなく、他社に対して『社外人事部』的にアウトソーシングなどで手伝ってみる。
・他社の人事を社内に受け入れ、自社の人事部を手伝ってもらう。


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