真空管マイクへのあこがれ

 私が録音でメインで使っているのはMXR製のV69というラージダイヤフラムのコンデンサマイクである。このマイクを選んだのは真空管のマイクのなかで当時最も手頃だったからで、サウンドハウスで3万円くらいで買った。同価格帯の製品の中で他にも沢山候補があり悩んだのだが、真空管方式を諦められずこのマイクを選んだ。

 このマイクを使いだして3年ほど経つが、この選択が正解であったのかどうかは、いまだにわからない。他のラージダイアフラムのマイクと聴き比べたこともないし、何よりもちゃんとこのマイクの性能を引き出せる使い方が自分にできているかどうか判断つかないからだ。

 購入時、あくまでも真空管式にこだわったのは他社製の真空管マイクの良い印象が強く残っていたからだ。それはMXRではなく、RODEのNTKだったと思う。4,5年前に、恵比寿だか目黒だかのスタジオノアでボーカルブースを使ったときに借りたら、持ち込んだオーテクのマイクより断然良かった。素人が一発で判断できるほど違いがあるなんて真空管ってほんとにすごいんですねってことで、同じ真空管なら似た傾向だろうといういい加減な考えのもと全く違う会社の全く異なる製品を買ってしまうあたり、我ながら典型的なカモといったところか。

 そもそもMXRはプロとか業者向けというより、アマチュア向けの民生品をメインで展開しているイメージがある。製品の見た目も有名マイクを似せて作られたものも多く、私のようなプロ用機材に憧れるアマチュアの所有欲をいくらか満たしているのだろうか。

 しかしながらマイクは試用機会が少ないし、ある程度使ってみて自分の声や楽器に合った使い方を探る必要もあるので、購入にはどうしても博打要素が含まれるものなのだと言い訳。いつかはプロ用の真空管マイクが欲しい。

 最後にV69のちょっとしたレビュー。
 他のマイクがどうかは上述の通り知らないが、このマイクはインターフェースのpeakランプが光りそうなくらいにバっと大きなレベルで入力したとき、一番独特な音がする。ちょっと潰れたような、でも汚くはない良い音だと思って使っている。

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