Remixワーク

 6月に BYLOWEのHPや僕のTwitterでお知らせしてたんですが、モンスターストライク ボス戦BGM 超絶 咎 の「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」で、自分が応募したRemixが次点選出されたんです。感謝。

https://www.barks.jp/news/?id=1000168533

 残念ながら受賞枠には入れず音源はリリースされなかったので、個人的にサンクラで公開したいなって思っていたんだけど、色々権利関係の都合で公開は控えることに。

作業を振り返ってみる

 今までRemixってほとんどやったことなかったし、何せ今回の課題曲(原曲)「超絶 咎 」はクラシック的な要素が強くて「自分の力量ではちょっと難しいかな」とか思ってた。んなもんで、応募締切(5月13日)が近くなるまで特に触ってなかったんだけど、なぜか締切の4日前になって謎のやる気が出てきた。さっそくコンテストの公式サイトから対象のアカペラデータ(wav)をダウンロード。必死こいて作り始めた。

楽曲の公開やリンク無しで制作工程を書いていきます

 こんな記事ってなかなか見たことない気がするけど(笑)、音なしで工程のみ書いていきます。(PCでビートメイクする人でHowTo動画好きな方は工程を想像しながら是非読んで見てください) 工程は締切までの4日間。

1日目:原曲コピー(コードのみ)

 最初にやったのは、やっぱり原曲のコード進行のコピー。今回のコンテストではアカペラ音源を元に自由に作ってokとのルールだったので、コピー必須という訳ではなかったんだけど、後で役に立つと思ってコピーした。(ちなみに、スピードを重視しなければならない時とか既にアイデアがあるときは、コードを拾わないこともある。これはコードを拾っている間にアイデアの鮮度を失うことを避けるため)

 とりあえずひと通り把握したら、原曲通りのコードをDAW(Cubaseというソフト)へ打ち込んで行く。(画像は2日目のアレンジ後のイントロのコード。コード解析が好きな方は原曲と照合すると面白いかも?)

 Cubaseのコードトラックという機能で打ち込んだんですが、慣れない作業だったので打込み終えた時にはもう結構クタクタ。1日目はこれにて終了。

2日目:アレンジ(コード)

 原曲の声ネタをCubaseに貼り付け。序盤の声データを丸々使いました。1日目に打ち込んだコードを鳴らしながら案を考える。次に、ギターでもコードを弾いてみる。ここでやっと声ネタのメロディをギターでコピー。コードとの関係性をざっくりと把握。次はギターの指板を見ながら代替できるコードを探し、打ち込んだMidiデータをいじっていく。超地道な作業。原曲からガラっと変えたコードにより、作品の雰囲気が見えてくる。段々とremixっぽくなってきた。これでおおまかなコード進行が確定。

 今回、原曲の中でBPM60(イントロ)と74(本編)の切り替わりがあって、前者のみ踏襲し、Remix本編はブレイクビーツにしたかったのでBPM104とすることにした。なのでCubaseのテンポトラックという機能で設定しておく。更にCubaseのWARP機能を使って、声データ引き伸ばして徐々に遅くしてからテンポが104に切り替わるようにしておく(rit, とかリタルダンドっていうんですかね)。引き伸ばし区間にもっと間が欲しくなったので、わざと4分の5拍子を入れ込んでみたり。めっちゃ無理矢理(笑)。......と、キリが良いので2日目はこれにて終了。

 締切まで後2日。残り2日でドラムとベースの打ち込みや細かなサウンドFXの散布、ミキシングまでやらなければいけない。ああ。。。「間に合うかな」不安になったが一旦ビールを1缶空けて寝る。

3日目:アレンジ(ドラム、ベース、歌メロ、楽曲構成確定)

 ドラムを打ち込んでいく。初めに、Native Instruments Battery4 のライブラリからブレイクビーツっぽいプリセット『Dee  Em Tee  kit』を選んで、オートクオンタイズしつつリアルタイムで手打ちドラムを入力していく。

 これだけだと面白みに欠けるので、キックを差し替えていく。ブレイクビーツだからと言って往年のサウンドだけ再現していても自分は面白くない。そこで、Trapサウンドを作る時に僕がよく使っているPRIME LOOPSのFree Starter Pack(ユーザ登録者に無償配布されています)の『Bpm59_Db_Yell_Kicks_And_Snares』をCubase純正『GrooveAgent SE』へ取り込み&AutoSliceでチョップ。キックを抽出。スネアもチョップされているので、元のBattery 4のスネアは表拍、チョップのスネアはパーカッション的に裏打ちに使う。(ビートが締まります。且つブレイクビーツなのにTrapっぽい印象を与えるのに使えます)

 ベースは、Cubase純正のRetrologue 2で、プリセット『Doom  Bass』で。サクッと打ち込み。前述のWebでの吉村史のコメントによると、意外とベースフレーズが高評価でした。(聴かせられないのが残念...)

 サクッと次いきましょう。声。BPM74の本編の声データは、自分が考えたコード進行に対してメロが合わないところがあったので、切り刻んで言葉ごとに音程を変えて使うことにした。

 GrooveAgent SEに声データを取り込み、パッドを叩いてメロディを再構築するだけ(と言っても、一番時間かかったのはこのメロ再構築なんですけどね....)。むっちゃ悩んだが、ヤマを越えたらサクッとできてしまった。結局原曲のメロディに近い形にした。また、声の音程を無理矢理引き上げた箇所については声が上ずっているので、原キーのままで鳴っている声と質感の差異が出てしまう。そこで、原キーを含めて上ずった声に変えるため、Cubase純正『Pitchcorrect』を使う。設定値は以下。(画像中央のExternal MIDI-Scale は何故設定したのか思い出せません) 

 これで力技(?)な音処理によってメロが決まったので、曲構成を決める。ドラムやベース、コード楽器(今回はKontakt5のエレピとストリングスにした)と少量のサウンドFXを散りばめるなど施してエンディングまで完成。また、ギターソロ用の間奏を設けてあるので、最終日に録音することに。(結構ギリギリ、大丈夫か)

 この時点で、5/13 AM4時くらいだったと思う。少し寝る。

4日目:ギター録音、ミキシング、応募

 7時半くらいに起きて食事を済ませたらすぐに作業を再開する。眠い....!!イントロに単音のミュートギターを入れ、間奏にギターソロを入れる。フレーズは一瞬苦戦したがサクッといけた。僕はギターに関して「何でも弾ける」というテクニカル系なタイプではなく、弾けることが限られているのでガシガシ弾きながらフレーズを決めていくことが多いです。事前に頭で考えても弾けない可能性があるから、弾いて試しながら考えるのが一番やりやすい。

 弾き終えたので、ついに全体のミックス。とはいってもミキシングには計2日以上かけることが多い自分には、残り数時間でできる事は限られているので、できる限りの事だけ済ませて何とか終わら背、マスタリング的な音圧上げの処理を施して完了。

 パラアウトしたドラムを含めて計28トラックくらい。自分は元々音を詰め込みまくるタイプでもないし、自ずとシンプルな感じになりました。

 「ふう....。」締切30分前。Webの応募フォームを開き、必要事項を入力。

 音源の応募が完了。この時、締切5分前。危なかった。

おしまい

   以上、文章でも面白がって読んでもらえてたら幸いです。本当は動画でこういうHowTo作れたら面白いんだけど、自分は動画は無知なので、まぁそれは今後やる気が出たらやろうかな、ってレベルです。Cubaseを使ったhowto動画で、今回の工程に絡んだ部分をやってる動画があれば是非教えてもらいたいっす。

今回は文章で書いて4日間で制作はできたけど、ミックスが満足にいかなかったわけだから、次回このコンテストやるときは5日間で仕上げれるようにはなっておきたいですね。

以上、読んでくれた皆さん、ありがとうございました。


4hou$eの制作費に当てますので、よければサポートをお願いいたします。制作中に行き詰まった時に飲むジュース代になるかもしれませんが。。。