ほんのさむね

読むのではなく感じる本。

深澤直人さんのデザインの輪郭という本がある。私は、出版された直後から今まで10年近く、何度も読もうとしたのだけど、全然読めなかった。文字情報としては、頭の中に入ってくるのだけど、なんだか本当の内容が入ってこないような居心地の悪さを感じる本で、今まで読めたと言えなかった本だった。

この本の居心地の悪さは、この本が特別難しかった解りにくい組み方をされてせいではない。むしろシンプルな言葉で、読みやすいレイアウトで、時々は美しい写真が付いて、深澤さん自身の言葉でデザインについて語られてる本である。

そして、2005年の初版から13年、今年に入り、やっと読めた気がする。原因は、まだはっきりわからないのだけど、今の仮の答えとして、この本は「デザインの概念を読む」本ではなく、「デザインの概念を自分の体験とともに感じる」本なのだと思った。

今まで「文字を読めなかった」というより、「文字から感覚を感じとるためのデザインや生活や仕事の経験が足りなかった」というのが正しいのかもしれない。

今回、一応全部、読めた(感じれた)ような気がするのだけど、まだ浅いような気もするし、いくつかの箇所がまだ読めない(感じられない)。デザインの解りやすいデザインが進んでいる今だからこそ、簡単に全部を解った気にさせてくれない、少し意地悪かもしれないこの本はとても魅力的だ。

この本を、本当の意味で全て読める(感じられる)ようになるまで、あと何年かかるかわからないけれど、それまで少しづつ修行していこうという気持ちになれる本だ。

そして、内容だけでなく装丁にも注目だ。美しい本の表紙になっている薄い紙は、本を持ち運んで何処でも読むために機能的かと言うと、全くそうではなくて、読んでいると少し邪魔だし、すぐに破れそうだ。実際、持ち運んで、隙間時間に読もうとしてたら、右上が少し破れてしまった。

これはBADデザインかというと、私は、そうは思わない。私の勝手な深読みかもしれないけれど、もしかしたら、この装丁のデザイン(輪郭)は、筆者が時間を積み重ねて感じることで得てきたデザインの概念をお手軽にすぐに簡単に読まれてたまるか、という感覚を表したユーモアなのかもしれないと、つい妄想してしまう。(だって深澤さんは、生活に馴染むデザインをたくさん作り出してきたのだから、この表紙が生み出す読書の体験は、わざとに違いない。)

もし皆さまが気になって「読んでみようかな?」と思ったらならば、キンドルでスマートにデータで買って読むよりは、リアルなハードカバーの書籍を自分の生活の中において、扱いにくい本の輪郭と自分の輪郭を感じながら、読む(感じる)のがおすすめです。

👉デザインの輪郭 /  深澤 直人 https://www.amazon.co.jp/dp/4887062605/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_nDSwAbB9DX71K @amazonJPさんから



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清水淳子 / @4mimimizu

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