良いデザイン組織とはどんな状態なのか?

年末にBNNさんより「デザイン組織のつくりかた」という書籍をご恵贈頂いた。こちら、とても読み応えがある本だった。現在amazon Web開発部門でベストセラー1位になってるようだ。事業会社のマネジメント層も現場のデザイナー、両軸で、いろいろな人たちに広く読まれる本になったらという願いを込めて書評を書いてみる。

※コイニーのデザインストラテジストの久下さんも今日、この書籍の書評書いてました。こちらもおすすめ!デザイン組織のつくりかた / 久下玄 @kugehajime 書評👉https://note.mu/kugehajime/n/naf828893f1bf

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なぜデザインを組織化するのか?

デザインというと昔は、1人の目が行き届く範囲でひとつのデザインを仕上げる仕事の方が主流だった。しかし近年は、1人の目では観測しきれない巨大なテクノロジーやビジネス環境の中でデザインする仕事が急速に増えてきた。そうなってくると、どんなに優れたデザイナーでも1人でドライブするのは不可能になる。そこで、複数人の組織化したデザインチームが必要になってくる訳なのだが、事業会社のマネジメント層も現場のデザイナー思うことはひとつ。

組織化したデザインチームって?どんな姿?どうやるの?

本書では、このような疑問と不安に、2002年に設立されたUXデザイン/サービスデザイン専門のデザインコンサルティングエージェンシー Adaptive Pathの創業者の2人が丁寧に答えてくれる。

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Adaptive Pathってどんな会社?

彼らの作った Adaptive Pathという会社は、世界的に超有名なデザイン会社だ。なぜ有名になったかというと、2014年10月にアメリカの大手銀行グループであるCapital Oneに買収されたことがきっかけだ。

つまり「美しいデザインそのもの」によって知られたのではなく、「買収=経営にデザインされたデザイン組織が有効であるとビジネス側の人々が認めた」その出来事でデザイン会社としての評価が高まったのだ。これは、デザイナー視点では複雑な心境かもしれないが、デザイン業界にとっては新たな時代の幕開けとも感じられるエポックメイキングとなったように思う。デザイン組織はデザインされてこそ効果を発揮するという事実が世界に広がったのだ。

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巨大な事業会社の中で働くデザイナーが思うこと。

複雑化した組織の中で、1人でデザインを周りに正しく伝えて、良いサイクルを生み出していくことは一筋縄ではいかない。デザインスクールで習得したデザインスキルだけでは乗り越えられない謎の壁が社会には溢れている。

きっと巨大な事業会社の中で働く多くのデザイナーは(私も)こう考えている。「デザイナーの仕事は言われた通りに、見た目を良くするだけではない」だけど、一体どのように仕事をしたら、理想とするデザインワークができるのか?良いデザインをどうしたら世の中に送り出せるのか? そんな時にこの本を読んでほしい。この本には、デザイナーが思い描くデザインの理想に近くための理想論ではない現実的なノウハウがギュッと詰まっている。

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デザインは単独では存在してない。製品開発のライフスタイル全体に取り入れてこそ、最大の効果を発揮する。

これが本書の大前提。製品開発のライフスタイル全体にデザインを取り入れるためのノウハウが、4つのパート、10個の章で書かれている。どの章も内容が濃く必読なのだが、忙しかったら第3章だけでも読んでほしいと書かれていた。

注目の第3章/優れたデザイン組織の12の強みとは?

12の強みは、さらに3つに分けられる、基盤、成果、マネージメント。

A◼︎基盤
チームの行動を左右し、存在意義を説明する核となるコンセプト
B◼︎成果
チームが質の良いものをつくるのに必要な特徴
C◼︎マネージメント
実際のチーム運営のオペレーション

ここの12の強みはしっかりと自分で理解するためにも、グラフィックにてサマリーを書いてみた。ここの軸を意識しておくことがまずは大事なのだと思う。

A◼︎基盤

チームの行動を左右し、存在意義を説明する核となるコンセプト。

B◼︎成果

チームが質の良いものをつくるのに必要な特徴

C◼︎マネージメント

実際のチーム運営のオペレーション

本書は、残りの章で、この12の強みを持った組織はどのように作っていくべきかを教えてくれます。

経営に都合が良い組織 = デザイナーにとっての幸せ?

読んでみて一番思ったのは、デザイナーにとって幸せな環境と、経営者にとって都合がよい組織って、油断するとすぐに釣り合わなくなる。本書が魅力的なのは、経営の従順なツールと成り下がることでデザインの居場所を作るのではなく、しっかりとデザイナーのアイデンティティを確保した上で、継続的なコラボレーションをしようと試みているからなのかもしれない。

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ちなみにこちらの本、章ごとのデザインは超ミニマムなシンプルなものになっているので、私のようなビジュアルシンカーな人たちにとって読むのが少し大変かも。(あまり色とか絵がないよ;;) ただノートのような余白がたくさんあるので、自分で色をつけながら読んでしまうのもひとつの手かもしれない。私は読む前に、12の章の区分に付箋をつけて、表紙と同じ黄緑で、重要キーワードや関連事項に大胆に色をつけながら汚しながら読んでみた。この読み方、結構オススメです。

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デザイン@4mimimizu

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コメント3件

コメントお気軽にどうぞ◎
すげーわかりやすいレビューでした。全然デザイン関連の仕事をしていませんが、内容的に現場と組織のより良い関係性の本という捉え方かなぁと思いました。視点はデザインであって。これが出来てる会社は現場も強く、良い物が作れる環境にあって成果や収益も伸びてる会社だろうなと思います。
コメントありがとうございます。まさに関係性をどうデザインするか?という部分を描いた本かもしれません。こちらの書籍の内容が、なかやまさんのお仕事の役にたったらとても嬉しいです◎
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