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行程を「追加する」旅

先日、中部地方から一人旅の女性が来られました。
「境港に1泊のみ」の予定で、昼過ぎに到着され、荷物を置いて観光に出掛けました。平日で休業の店も多かったですが、半日かけて満喫できたようです。時間に余裕があるので、夜も「妖怪ショップゲゲゲ」での手づくり体験を楽しまれました(ちなみに「初ゲストハウス」でした)。

「水木しげるロードの観光以外は特に決めていない」ということでしたが、ご到着が早かったのもあり、初日だけである程度満足されました(コアなファン以外の水木しげるロードでの観光滞在時間は概ね4時間くらい)。
そこで「翌日のプラン」の話になった際、関心を示したのは建造物や神社仏閣などでしたので、「コミュニティバスで美保神社2時間コース」を提案。翌朝から出掛けられました。
さらに「なかなか来られる場所でもないし、出雲でもう1泊して、出雲大社に行く」と言われたので、大社周辺の案内に加え、松江城や日御碕などを提案しました。

女性の一人旅は年代にかかわらず「主要な目的地以外は、現地で決める人」が結構いるのが特徴的です。「公共交通機関」を使っている人が主ですので、ゆったり予定を組んでいて、「プラスアルファの情報」を望まれます。
特に「『明日は出雲大社』『明日は鳥取砂丘』『でも、ほかは決めていない』」という人が多め。好みに合わせて、島根エリアだと松江城や八重垣神社、玉造温泉、日御碕、島根ワイナリー、旧大社駅――など、鳥取エリアだと大山周辺、由良(青山剛昌ふるさと館)、倉吉、東郷温泉、白兎神社――などを提示する感じです。
2人以上のグループになると「行程は事前にきっちり決めている傾向」があり、男性客は「公共交通機関の利用者は“鉄道マニア系”が主で、自分で調べた情報を基に行動する傾向」が強く、こういった「プランニング系の話題」にはなりません。飲食店などの地域情報は聞かれますが「旅」としての情報は必要とされない感じです。

あと、女性客は「公共交通機関を使っている割には、時刻表の活用やタイムテーブルの組み合わせ方などが、あまり得意ではない」と感じます。「応用力」は「旅慣れているか」次第でもあるのですが、情報が「簡単に調べられるようになった」一方で「見つかった情報だけを信じ込んでしまうこと」があるように思います。

うちの宿は「公共交通機関を効率よく使った旅のプランニング」には絶対の自信を持っており、フリー切符の活用はもちろん「JRとバスなどを組み合わせる方法」「米子空港連絡バスを使った“裏技”」「コミュニティバスの活用」――などを具体的に提案しています(「境港―松江」間のバスでさえ、意外と知られていません)。
それでいて、ガチガチに決めた提示はせず、複数の案を示して「最善プラン」をご自身で決めていただいたり、連泊して戻られる場合などは「出発時刻と、最終の時刻以外は幅を持たせて案内」しています。
今は「乗換案内」「時刻表検索」が便利ではありますが「組み合わせ技が利かない」という難点があり、そのあたりを伝授することで、目的地を追加できたり、時間や費用を抑えることができます。
自分自身が「公共交通機関を“データ的”に活用する」タイプなので、この分野に関しては、知識だけでなく「実体験に基づいた感覚も加えた情報提示」はできていると思っています。

宿には「鳥取砂丘周辺、倉吉周辺、米子・大山エリア、松江、出雲、石見銀山」あたりの観光資料を一通りそろえていますし、自分が20年かけて集めてきた観光冊子類も膨大です(引っ越しの際、段ボール10箱以上使いましたが、納めきれず、かなりの量を捨てました)。
一人旅の女性客は、これらを「活用」してくださることが多く、近隣だけでなく倉敷や広島・宮島、山口県エリア(長門・仙崎、萩、秋吉台、下関、角島など)の資料や案内も好評をいただいています。
「旅の情報提供と拡大」には力を入れていますので、もっともっと生かせればと思います。

ちなみに、来られてから「延泊」してくださった人が、現時点で10組います。女性の一人旅が8人、男性の一人旅が1人、ご家族が1組。「1泊→2泊」が6組、「2泊→3泊」が2人、「3泊→4泊」と「6泊→7泊」が各1人です。

女性の一人旅8人は、20代前半~50代まで、年代はバラバラ。仕事を辞めたのを機に旅している人や、リゾートバイトで繋いでいるようなタイプが多いですが、「子どもの手が離れたから」という「40~50代の既婚者」もいます。学生は「水木しげるロードだけ2泊で満喫」みたいな人は結構いるのですが、「旅人タイプ」は意外とハードスケジュール型です。
うち2人は「3日間有効の『縁結びパーフェクトチケット』を活用し、2泊→3泊に変更」。ともに「貧乏旅タイプ」でした。移動時間のロスは多少ありますが、米子からの夜行バスや米子空港便を利用される人だと、移動して松江や出雲と分けて泊まるよりも、費用が抑えられます。
ほかは、3人が「宿内での資料を参考にして、ゆっくり周辺観光」で、「3泊→4泊」の人は隠岐へ行ってから戻った際も泊まってくださったので「計6泊」でした。残り2人は「卒論調査を延長した中国人留学生」と「急病で予定変更せざるを得なかった人」です。
ご家族は「子どもが帰りたくないと言ったから」で、男性の一人はバイク旅で「雨」が理由でした。

このほか「予約を受けた後、詳細案内を送って旅の相談を受けるうちに1泊追加された」のが、60代女性1人、ご家族1組、2人組女性の計3組います(ご家族のみ「2泊→3泊」に変更)。皆「境港を拠点に、ゆっくり周辺観光」でした。

また、この計13組、1人を除いて「公式ホームページか電話での予約」。ホームページでさまざまなプランを提示しているのを、じっくり見てくださっている人だとも言えます。ちなみに連泊者も公式ホームページから予約される人のほうが圧倒的に多いです。

自分自身は、2泊や3泊の場合は大抵「同じ宿に連泊」します。最初に「拠点を決める」ので、基本的に「出発日と帰宅日は決めてあり、メーンの目的地に応じて宿は事前に抑える」ため、現地で延泊はめったにしません。
「片道2時間以内で行ける距離」でしたら、大抵の場合「拠点から往復したほうが、総合的な費用が抑えられる」ものです。特に「フリー切符などの利用」が有効になります。
また、余分なものは宿に置いて出られますし、コインロッカー代のような「無機質なもの」にお金を使うのが嫌。常に資料類を集めるので、荷物が重くなるため「なるべく身軽に動きたい」です。

定職に就きながらだと、なかなか「宿泊を追加」とはいかないものですが、「情報」に重点を置くことで「もっと楽しもう」と思っていただけることは「旅宿冥利」に尽きます。
このようなケースから、親交がある大山や出雲の宿を紹介することも多々ありますし(実際、境港は決して「拠点にしやすい場所」ではないので、うちに延泊するよりは、近隣エリアでの宿泊を追加される人が多いです)、「旅」としての繋がりを生かしていくうえでも、尽力していきます。

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