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三陸鉄道全線完乗と、石巻・久慈・遠野・花巻①

3月23日に三陸鉄道が全線開通したので、このたび完乗するとともに、石巻・久慈・遠野・花巻を訪ねてきました。急きょ決めたうえに、かなりハードな日程で廻りましたが、得るものは多く、観光振興について、あらためて考えさせられることもありました。

日本各地をくまなく旅してきましたが、東北の人の温かさは日本随一だと、いつも感じます。
臨機応変な心温まる対応が必ずあって、帰るのが惜しくなります。どこも決して観光地や行楽地として大繁栄しているわけではないですが、身の丈に合ったまちづくりを魅力としていて「旅情」という点では、個人的には宮城と岩手は最秀逸だと感じています。

石巻と遠野は、境港との繋がりも濃い町。実際、うちに泊まられた人でも「遠野ユースホステルの大ファン」が2人(ともに40~50代の女性)と、石巻から来てくださった人が一人います。また、久慈は「NHKの朝ドラ」という関連がありますし、花巻も「人物(宮沢賢治)を主とした観光振興」で、参考にできるものがあります。
実際に自分の目でまちを見た印象を大切に、旅人さんを繋いでいければと思います。

最初の目的地は、水木しげるロードをモデルにまちづくりに取り組んだ「石巻」。
3年8か月ぶりですが、過去10回以上訪ねており、震災後だけでも4回目。少しずつ町の様相が変わっており、現在は「石ノ森萬画館」近くの河川の堤防工事が盛大に行われています。また、堤防沿いに「元気いちば」が誕生しました。
急な計画でよく調べずに行ったため「石ノ森萬画館」は、まさかの「月に1度の休館日」。ここは企画展があるので、展示替えなどで休館日が設定されています。ごあいさつできず残念でしたが、施設としては特に大きな変化はないと言われましたので、その分、町並みを楽しむことにしました。

町中にあったお寺の枝垂桜が満開だったので写真を撮っていたら、地元のおばあさんに話し掛けられ、震災後の変化について話を伺いました。未曽有の大災害から少しずつ町に活気が戻る一方で“つくられていく感”に寂しさも覚えるそうです。
また、その直後、3月に水木しげるロード「妖怪ショップゲゲゲ」でお会いした建設会社の男性と、まさかの再会! 世代的には自分より少し年下だと思いますが、水木先生のファンに加え、町並みや工芸、あるいは遊び心のある取り組みなどへの関心が濃い人で、境港駅前のホテルに2泊されていたと記憶しています。
ちょうどその寺の近くで現場仕事があったとのことで、こういう偶然の再会は、本質的な“縁”を感じます。名刺をいただいたので、次回は一緒に食事でもできればと思います。

石巻で少し残念に感じたのは、堤防沿いに市場ができたことで、駅前にあった同様の施設がなくなったこと(取り壊されていました)と、「石ノ森萬画館」まで続く商店街にあったキャラクター像などが減ったこと。特に「駅前が、がらんとした感じになった」のは、寂しいです。
空き地になった場所に何か建てられるのかは分かりませんでしたが、駅は「玄関口」として活況であってほしいです。また、キャラクター像は震災後の道路整備のために一部撤去されているものもあるようですが、商店街自体の“活気”は3年半前よりも少し薄れているように感じました。商店街にあったグッズ販売の施設や展示もなくなったのは残念です。
駅舎などは石ノ森作品で華やかですし、オブジェ類や壁画も駅前には結構あるのですが、萬画館までの“流れ”がない感じ。ただ、来訪者は「車中心」なのと、こちらは記念館がメーン(充実度も高い)なので、致し方ないのかもしれません。

続いて訪ねたのは久慈。
大船渡の旅館に1泊し、盛駅から一気に三陸鉄道を完乗しました(三陸鉄道の話は③で)。

久慈はNHKの朝ドラ「あまちゃん」のロケ地として有名。
放送終了から5年以上たつにもかかわらず、観光としては新しい取り組みが続けられており、活況を呈しています。NHK関連はブームが大きくなる分「2年もたない」とも言われている中、非常に検討していると感じます。今回、全線開通した三陸鉄道さんなど地域一体となった取り組みとバックアップにも恵まれているようですが、細かいイベントが多いのも特徴なうえ「また来たい!」と思わせるリピーター対策が考えられているのを感じます。

久慈へは2014年と15年の夏の2回訪れていて、15年は宿泊もして町並みは存分に楽しんでいたので、今回の目的は、移転して広くなった「あまちゃんハウス」でした。

ところが、ここでもよく調べていなかったのが災いし「水曜日休館」。
石巻に続いて撃沈、特にここが「本命」だったので心が折れましたが、空いた時間を楽しもうと、歩いて10分ほどの場所にある「道の駅くじ やませ土風館」にある「昭和レトロ館」へ。
15年に見学しており、展示内容は分かっているので、本来は行かない予定でしたが、事務所の人に「鳥取から、あまちゃんハウスを目指して来ました。ここは2回目です」と話したら、粋な計らいで特別に開けてくださり、30分ほどですが「貸し切り状態」で見学させていただきました(物販は不可で、一部はビニールシート掛けの状態)。
また、3年半ほど前に訪れたことを僅かながら記憶してくださっており「昭和レトロ館」も無料で見学させていただきました。さらに絵葉書やてぬぐいなどもお土産に頂きました。

久慈については、前回訪ねた時もそうでしたが、とにかく各施設の応対が「非常に親切」。全国各地を旅する際、基本的に「駅もしくは観光拠点の案内所」に必ず立ち寄るのですが、久慈は「全国でもトップクラスの親切さ」です。
休館日を調べずに行ったのは自分の落ち度でしかないわけで、それをわざわざ対応してくださるとは思いもしませんでした。「観光」という「非日常を楽しむ」時間において、こうした“気持ち”での対応があると、まちの満足度は格段に上がります。石巻もそうですが「三陸の魅力」は、ほかの観光地などよりも心の温もりが大きいことにあります。
自分は基本的に「土産は“気持ち”のこもった応対があったところで買う」と決めているので、今回は見学後に少し名産品などを購入して帰りました。

ちなみに、この「昭和レトロ館」の展示も、かなり充実しています。②で記します花巻「昭和の学校」に比べると展示量は少ないですが、フィギュア類が豊富で、先頭の番台に見立てた入り口など、飾り方は良く工夫されています。


また、今回は行けませんでしたが、久慈の見どころとして、震災で全壊したあと駅前で“臨時営業”していた水族館「もぐらんぴあ」が3年ほど前から再開しています。「さかなクン」が応援団長として活躍しており、北限の海女の素潜り実演などを見ることができます(久慈に1泊できれば行きたかったのですが、宿が取れず断念)。
(②につづく)

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