Circle JerksのTシャツを着た小柄な女の子。最近やたらとライブハウスでよく見るなぁと思っていたが、聞くところによるとどうやらまだ高校生らしい。神奈川県の綾瀬から電車で2時間程かけて道中はずっと音楽を聴きながら連日都内のライブハウスに通う高校生。誰か仲間とワイワイしてるわけでもなく、ひとりで黙々とライブを見ては時折満足そうな顔をして足早に帰っていく姿をよく見かけた。なんだかんだで顔見知りになったその子が初めて行ったライブハウスである下北沢THREEにてこの度個人企画を行う。企画者もそうだが、出演者も若く、それでいて熱い支持を集め始めているバンドばかり。この子はどんなこと考えてライブハウスという空間とその時間を楽しんでいるのか。好奇心とこれからまた小さなおもしろいことが起こる予感に突き動かされ、話を聞いてみた。世代も時代も自分とは違う彼女がアクションを起こし始めたその思いとは。

かいばらさんの同級生とかに好きな音楽の話をしてもきっとみんなあんまりわからない部分が多いんじゃないかなと思うんだけど。

か：はい、そうですね。

だよね。今聴いているようなバンドを聴くようになったきっかけはどこからなのか教えてほしいです。

か：小１の時にディスクユニオンの下北沢店にお父さんに連れていってもらった時に、ダイナソーjr.のバグを気に入って買ってもらったのがきっかけですかね。誕生日に何がほしいか聞かれて「CD！」って答えたんで。

それがまず変わってるけどね。お父さんが音楽好きだったのか。バンドとかやってた人なの？

か：いやなにもやってないですね。普通の会社員です。音楽は好きなんですけど。近くにタワーレコードとかもなかったし、下北のユニオンに買い物に行くのが我が家では普通でした。

前に話したときにCAR10は昔から聞いてたみたいに言ってたよね。どうやって知ったの？

か：全然日本のバンドとかもそれまで聞いてなかったんですけど、CAR10のデモがなぜか家にあったんです。1st.2nd.3rd.とか...。

え？相当前のやつだよね。兄弟の持ち物とかでもなく？

か：はい。お兄ちゃんがいるんですけど、バンドとかも全然好きじゃないし、これ知ってる？って聞いても知らないって言ってたんで。

そうなんだ。DEMOってあれだよね。「櫛田のミスで君に会いにいけない」「好きな子のつばが飲みたいけどなんちゃら」とか「最強ウルフカットとか」（笑）

か：そうですそうです（笑）！今とは違ってめっちゃ短い曲ばっかりのやつ。日本のバンドは全然聴いてなかったから、良い意味で変なバンドだなーと思って中学生の時にCAR10を観に初めてライブハウスに行きました。threeでしたね。

threeか！その当時だとおれも行ってるかもしれないなー。他に誰出てた？

か：んー、他のバンドのことあんまり覚えてないんですよね。

（なんとなく思い出したところPINK POLITICSが出ていたらしいので、2014年のこれかもしれない。「じゃあもしかしたら13歳のときに会ってたかもしれないですね（笑）！」と連絡が来て冷や汗ものです）
ライブを観てどう思った？

か：めっちゃ良かったです。なんていうかライブハウスって音楽好きな人しかいないじゃないですか？それまでそういう話が通じる人たちが周りにいなかったので体験自体が新鮮でしたし。

その時もメンバーに話しかけたりはしてないんだもんね？

か：あ、つい最近チッツのレコ初でCAR10の川田さんと話しました。好きになったきっかけとか当時の話を少し。もちろん当時は全然話しかけることなんて当たり前にできなかったし、最近になって多少バンドの方と話したりもできるようになりました。それまではライブに行っても誰かと話すことなんてほとんどなくて。

控えめだもんね。それでも見ている限り話せてる方だと思うよ。自分もずっとひとりでライブ見て帰るような生活をもちろんしてたし、なにより（僕らが見るようなバンドが出ている）ライブハウスに若い女の子自体あんまりいないもんね。メンバーの誰かの彼女だったり、友達だったりはいると思うんだけど。

か：そうですね。CAR10とほとんど同時期にMILKも好きになりました。パンクとかが好きになったきっかけとしては大きいかもしれないです。名古屋とかに観に行ったりもしました。

え？一人で？

か：いや、家族でそっちに行ったときにわたしだけ一人別行動をとってライブハウスに（笑）

若いのにできてる行動だね（笑）。そういえば自分でもバンドやってるって言ってたよね？いつから始めたの？

か：ギターを始めたのは中1の頃からなんですけど、バンドって言っても趣味みたいなもので...。ただ集まって演奏したりコピーすること自体が楽しいっていう感じです。

ギターはジャズマスター弾いてるんだよね。誰かの影響で選んだの？

か：Dinosaur JrのJ・マスシスです！（早口でキッパリと）
初めて触ったのがジャズマスなのでストラトとか逆に弾きにくい感じがするようになっちゃってます。

人前に立ってやりたいとかは思わないの？

か：全然ないですね。

誰かに誘われたらライブしてみたいなって思ったりは？

か：やらないですね（笑）。

メンバーもそんな感じなの？少し年上って言ってたっけ？

か：そうですね。同じ感じで。今月はハードコアパンク月間！とかそういうノリでテーマを決めて、都内で楽しくやってます。今はそれでいいですね。

高校生になってグッとライブハウスに通うようになったみたいなんだけど、中学生の頃はたまにライブを見ているくらいだったのかな。その当時好きだった音楽ってどんなバンド？

か：えーっと、思いつくのだとBLACK FLAG、Black Market Baby、Circle Jerks、Stiff Little Fingers、The Clash、Black Sabbath、イアン・マッケイ関連とか。西海岸ハードコア・パンクとかが結構好きでした。

それってCDで中古で買ってたのかな？今ってほらYoutubeで音楽を聞く人も多いじゃん。

か：ユニオンでめっちゃ買ってましたね。その時もiPhoneだったんですけど、携帯自体をそんなに使ってなくて（笑）。Youtubeもたまに見て、関連動画とかでいろいろ知ることはありましたけど。

じゃあ情報を得ることはあったけど聴くツールではなかったんだね。おれらの世代と変わらないってことか。

か：MIX TAPE作るのにも一時期ハマってましたよ。西海岸ハードコアベストとかDinosaur Jrベストとか...。

まじか（笑）。カセットテープでってことだよね？めちゃくちゃおれの小学生とかの時代の話だよ、それ。

か：自己満ですけどね。CDから時間を計算して録音してやってました。テープがあんまりどこにも売ってなくて、ブックオフでワゴンに大量にあるようなやつを買って黙々と作ってました。

今も学生だけどさ、中学とかは部活やってなかったの？

か：全然やってないです。今も高校で何もやってませんし。

いいのかわるいのかわからないけどめちゃくちゃその筋のエリートだね（笑）

か：高1高2くらいのときはライブに行くのも週2くらいだったんですけど、いま高3になってからは週5.6くらいライブに行ってるので...。

...友達はいるんだよね？

か：いますいます！うまいこと学生生活やってます（笑）！

よかった～。たまに友達なんて誰ひとりいないんじゃないかっていう人も中にはいるからね、どっぷり過ぎて（笑）

か：それこそ川田さんに同じこと言われました（笑）
「悪い意味じゃないんだけど、友達いないよね？」って。

ははは（笑）。友達から見たら自分はどう見られてると思う？

か：変わってるとは思われてると思います。話に脈絡がないらしくて、わたし「最近ね～」ってよく言いがちなんですけど、そう言いつつ3年前の話をしちゃったりとかするんで。

あーはいはい。その脈絡のなさって行動でもたぶんそうっぽいよね。

か：まさにそうです。お昼からの行きたいライブがあるのを朝の電車でTwitterで知って、それ見た途端「うわ～行かなきゃ」って思って気づいたら、そのまま学校へ向かわずに反対方向の電車に乗ったことありますね...（笑）。

相当だね！音楽の他にそういうすきなものってなにかあるの？

か：映画もめっちゃ好きです！高3の今はあんまり見れてないんですけど、それまでは5枚で1000円でDVDを借りてきて1週間のうち2日で全部見て、残りの日はNetFLIXとhuluで毎日映画を見る生活でした。

ここに来て急に現代らしいツールが出てきてなんか安心した（笑）じゃあかなりの数見てそうだね！好きな映画何個か挙げるとしたらなんだろう？

か：「Wallflower 」「NAPOLEON DYNAMITE」「Fight club」「Babysitting」「Quadrophenia」ですかね。

「Babysitting」は全然チェックできてないや！今度見てみよ！

か：「ハングオーバー」とか好きならオススメです！

映画もそうだしライブもだけどさ、お金ってどうしてたの？けっこうかかるでしょ？

か：あ、でもバイトで全然！他に使うものもあんまりないんですよ。服もお兄ちゃんからもらったり、バンドのメンバーがバンドTシャツくれたり。バンドの物販で自分で買うこともありますけどそんな感じなんで。

男の子だったらよかったなーっていう願望とかはある？

か：あーそれは思ったことはありますよ。

そんな感じだと男友達とか多そうだけどね。男の子といたほうが楽とか。そんなこともない？

か：そうですね、お兄ちゃんの友達とかは仲良い人いますけど、基本女子校だったのでそんなに。男女どっちが居やすいとかなくてその人によりますね、やっぱり。

あれでしょ？きっとキッズとか苦手そうだなーて思うんだけど違う？例えばフェスで集合写真撮って盛り上がる系の...

か：あ、ちょっと苦手です（笑）。元々高校でも軽音部に入るつもりだったんですけど、好きなバンドとかそれぞれ言い合う時間があって、わたしはDinosaur JrとかCAR10の名前を挙げたんです。でもそこにいる誰もわからないし、顧問の先生もさっぱりって言う感じで。それはまぁいいんですけど、好きなバンドを言うってくくりが一応あるはずなのに、「ライブキッズあるある（DJ）が好きです！」って言ってる人がいた時に、あぁここは止めとこうって決めました（笑）。

早めにまっとうなレールを踏み外した感はあるね。でも別にそういう趣味の人たちとわかりあえないとかではないんだ？

か：全然ないですね。その人達がなにが好きかとかで嫌いにもならないし、イライラする事もないです。寝たら嫌なことガチで忘れちゃうタイプなんで普段も嫌いな人とか基本いないんですよ。

めっちゃいい子じゃん（笑）

か：そんなことないですけど、嬉しい事とか楽しいことしか覚えてないんですよね、いつも。

なんか誰に対してもある程度の一定の距離をとってる感じはするよね。この人ならわたしのことめちゃくちゃ知ってるっていうバンドの人とかいる？

か：いないですいないです（笑）。わたしただのファンなので。馴れ馴れしくしたら失礼かなって思ってますし。高3から下北沢ERAで働き始めたのでそこからはバンドの方と話す機会も少しは増えましたけど。企画をやりたいからがんばって話しかけたり。

そして今は下北沢THREEでもインターンとして働き始めたよね。

か：はい。店長のスガナミさんにはじめは断られましたし色々あったんですけど、念願が叶ってありがたいです。元々一番好きなハコなので。

THREEにとってもかいばらさんにとってもその経験がプラスになるって考えてくれたのかもしれないね。ライブハウスで働きたいなと思ったのはどんな理由からなの？

か：わたしPAになりたいなって思ってるんですよ。専門学校に行くつもりなんですけど、在学中とか卒業後にライブハウスのことを実際に知るよりも、今のうちから現場で触れておいた方がいいかなって思ったんです。

それは絶対いいよね。経験値や人との関係性のほうがずっと大事だし、技術はもちろん勉強して高めることができると思うけど、早いうちからいろんなことに触れて自分の感覚が養えるのは素敵だと思うよ。いやーしっかりしてるね（笑）。なにかダメなところないの？

か：えー。朝起きるのがめっちゃ苦手です。あとは好きな人以外に関心がないので、そこはダメかもしれないです。だから嫌いになる人がそんなにいないんですけどね、たぶん（笑）。割と楽観的なのでやりたいことだけやりたいんです。そこは本気でしっかりやるんですけど興味のないことはできるだけやりたくない。だからそういうことはほんとに全然ダメで...。学校の成績とかも教科によってすごく偏ってるタイプ。だから温和で面倒見のよいなんでも受け止めてくれる人が好きですね。仲の良い友達もそんなお母さん気質な人が多いです。

ライブハウスで出会った中で同世代の人って誰かいる？よく見かけるお客さんでも企画者でも出演者でも。

か：それが全然いないんですよね。同世代を見かけること自体ほとんどなくて。だから今回こういう企画を自分でやろうと思ったんです。ライブハウスに出演者の中の誰かのことが好きで来てくれたら他に出ているバンドも気になってくれたら嬉しいし、転換中に流すBGMとかも自分の好きな曲とかこういうかっこいいバンドもいるよっていうものをかけるつもりで、そこから興味持ってもらえたら嬉しいなって思ってます。お客さん同士の繋がりみたいなものもわたしは全然ないので（笑）。

それこそその繋がりがエスカレートするとライブキッズの方に寄っていくしね（笑）

か：「#○○好きと繋がりたい」みたいなやつですよね。見たことあります。全然そこらへん知らなくてわたしやばいって思います。

よくライブで会う友達以外に、ライブに誰と行くの？って聞かれるんだけど、基本ひとりだよね。

か：めっちゃわかります。ひとり以外でライブに行ったこと2回くらいしかないです。好きじゃないライブに付き合いで行くのも楽しめないし、ひとりで行って寂しくないの？って言われても、まぁそれはわかりますけど...。

目的はそもそもそこじゃなくてライブだもんね。行ったら友達がいて嬉しいなとか楽しいなっていうのはもちろんあるけど。ひとりでライブ見てその感想や興奮を帰り道に携帯いじって感想書くみたいな時間をめちゃくちゃ過ごしてるからなぁ（笑）

か：そうですそうです（笑）

友達多いですイェーイ！みたいな人は嫌いじゃないけど得意じゃない（笑）

か：ああいう人ってどうやってみんなと繋がってるんですかね!?不思議です。SNSでも自分からどういうきっかけではじめましてって声かけて仲良くなるのか....。

ライブハウスでよく見かける人だと気になっちゃっておれは話しかけちゃうこともあるけどね。話しかけてごめんね（笑）。

か：いや、それは全然いいです！大丈夫です（笑）。

さっきは好きなバンドの話とか少し聞いたけど、これは流行ってるけど自分は苦手かもっていうものはある？

か：あー...WANIMAとか。明るい曲しか歌ってないように感じてそれが自分には逆に怖いんです。

これはおもしろい意見だね（笑）

か：別に鬱っぽい曲が好きとか暗いのが好きっていうわけじゃないんですけど、明るいノリのいいものがずっと続くようないかにも万人受けしているようなものが個人的に苦手かもしれないです。

じゃあミスチルは？

か：それが聴いたことないんですよね。あとはラヴソングばかり歌うSSWとか、西野カナとかその辺も得意じゃなくて。最近多いなーって感じる、歌詞に重点を置いたようなギターロックというかみんなにとっては聴きやすくて良いこと歌ってるんだろうなってものも、あれ？前にも聴いたことあるような...みたいに個性がない感じがして...。例えるならMOSAiCが似合うようなバンド。全部がそうじゃないとは思うんですけど、どっちかっていうとちょっと苦手です。

文字に起こすとだいぶ攻めた内容になっている気がするからこれくらいにしておきます（笑）。じゃあまた戻って好きなものの話しますか。健全だし。気になるバンドを見つけるのに普段チェックしているサイトとかはあったりする？

か：Soundcloudはいつも聴いてます。どんどん流れで聴いていって知らないバンドの中で気になるのを見つけたり。The Greaseもそうやって発見しました！
そうなんだ。おれは完全にCAR10のくっしーの弟がバンド始めたらしいぞっていうのから入ったから、それはすごくいいね！

か：あとはKiliKiliVillaは好きなレーベルなんで発信はチェックしてます。好きなバンドが多くて。

レーベル初期に安孫子さんが更新してたDIG!っていうページ知ってる？MEGA CITY FOURとか好きな動画をしれっと挙げ続けてた企画があったのよ。あれ、たぶんかいばらさん好きだと思う。

http://kilikilivilla.com/tagged/DIG!

か：知らないです！わ～あとでチェックしてみますね。あとはI HATE SMOKE RECORDSや生き埋めレコーズも好きなんで気にしてますね。

Thistimeとかは？

か：チェックしますよ！ドメスとかHOLIDAY!でも通販もしますし。

じゃああとは最近で良かったなーっていうライブがあったら知りたいです。

か：さっき話したチッツとmanchester school≡とCAR10のライブは良かったです！めっちゃ楽しかった。良い日だったからもっと人がたくさん来てもいいのにな～って思います。あとはCHINESE HOODIEのお昼の企画も楽しかったですね。好きなバンドしか出てなかったので。マッハエスカルゴはずっと「鬼殺しEP」聴いてたので観れて嬉しかったし。あ、夏にERAで観たARSKN / Teenager Kick Ass / SUP / w.o.d. / Mr.Seasideの日も楽しかったですね。

今もちらほら名前が挙がってきたけど今回のかいばらさんの初企画に出演するバンドのこともちょっと紹介してほしいと思っていて。まずはThe Grease。

か：サンクラで曲を聴いた瞬間から、めっちゃいいなって思いました。超グッドメロディーなんですよ。suueat.とかTomato Ketchup Boysが好きな人は絶対好きだと思うんですよね。

Tomato Ketchup Boysはインディー・ロックなのかな？ジャンルで言うとわかんないんですけど、それまでパンクとかオルタナっぽいものばっかり聴いてたんで新鮮でした。CAR10がめっちゃ好きなんだろうなっていうのも伝わるしオリジナリティも感じて。THE GUAYSも出てた浜松のライブも観に行ったんですけど、メンバーがすごい話しかけてくれて人柄も最高です。

3人ともキャラあるしいい奴らだよね。じゃあ次はTeenager Kick Ass。

か：新宿Motionでよくライブやってて、オルタナって感じで、ライブ中は少し怖いくらいキレキレです。話せるようになったのもほんと最近。初企画なんでバンド側にどうやってバックしたらいいのかとかも迷いつつって感じなんですけど、そういうのも変に気にしなくていいように色々とわざわざアドバイスもくれたりしてとてもいい人たちです。わたしはいつも拳を上げるとかではないんですけどすっごく集中して、頭ん中で興奮しちゃいます。

Mr.Seasideは音源だとグッドメロディーな感じなんですけど、ライブになると爆音で激しくてそのギャップが凄く好きです。ライブバンドだと思います。

確か3P3Bだよね。ペアオブの新譜も出すみたいだけど、かつてキャプヘジとかSHORT CIRCUITとか名バンドばっかりリリースしてたけど最近この手の若手も力入れてるもんね。

か：そこら辺全然わからないんですよね。

あーそうかなんて言ったらいいんだろ。PIZZA OF DEATHはわかるでしょ？

か：はい。でもそのあたりも聴いたことなくて。

お、まじか。ちなみにゴイステとか銀杏BOYZは？

か：それも聴いたことないんです。安孫子さんが銀杏の人だっていうのはさすがに知ってるんですけど。なんていうかメジャーシーンの人たちのってあんまり聴いてきてなくて。

うぉー！じゃあsnuffy smileとかはもちろん知らないか。今挙げたようなバンドやレーベルもパンクとかメロディックの同じようなシーンからのし上がっていった人たちなんだけどね。もちろん年齢的なことは大いにあると思うんだけど、それはめちゃくちゃおもしろいな～。新鮮。あ、話が逸れちゃったけど次はmerimeriyeahについて。

か：確かHOLIDAY!でCDを買ったんですけど、現メンバーになる前で音質もそこまで良いわけではなくて当時はそこまで自分には刺さらなかったんですよ。でもライブを観たらそのイメージも覆されてPOPなのにオルタナなんです。メンバーもbloodthirsty butchersのbotの管理人をやってたり、ルーツも面白いなって思います。

w.o.dはグランジですね。元々グランジも好きだったのでドンピシャな感じでした。日本語詞なのもいいなって思います。BASEで音源を注文したんですけど一緒に頼んだステッカーが品切れで返金しますって言われたんですけど手数料のほうがきっと高いし、悪いからいいですって断ったら、昔の音源を一緒に送ってくれたことがあって人間性最高だなって感激しました。関係ない話になっちゃってますけど（笑）。

バンドマンみんないい人説（笑）。でもいつの時代でもそうやってものをやり取りするって人の手を介すからこそ伝わる気持ちとか記憶に残ることってまだまだあるよね。個人の企画も、全部その主催の人と声をかけたバンドとの関係性とかそれまでのやりとりが形になるものだから他にはないおもしろみが出たりするしね。
そろそろ締めようかなと思うんだけど話足りないことはない？ていうかすごい話してくれたけど、ほんとはこういうこと載せたくないとかないよね（笑）？

か：いやいや全然そんなことはないんですけど、わたしほんとに語彙力が全然なくて困ってるんです（笑）。ライブ観ても「最高ー！」「かっこいいー！」とかしか言葉にできなくて。ほんとはここのリフが大好きで...とか色々思ってるんですけどね。

それは分かる人にきちんと伝わってればいいとおれは思うけどね。それを言葉じゃなくても行動で示すとか。あーきっと好きなんだろうな。なにかやりたいんだろうなって想像できるようなこととか。みんながみんな言葉にすることが得意じゃないと思うし、よかったっていうことがどんな形でも伝えたい相手にきちんと伝わってればいい。そして自分の中でも消化できてればいいんだと思うな。
じゃあ思ったことそのままでいいから改めてどんな企画にしたいかお願いします。

か：同世代の子たちがライブハウスに遊びに来てくれたり、企画を始めたりとか、BGMを聴いて昔の海外のバンドを聴くきっかけになったらいいなって思ってます。例えばw.o.dを好きな子がTomato Ketchup Boysをかっこいいなって思ってくれたら嬉しいし、ライブをまた観に行くきっかけになったらさらに嬉しいです。

不思議だなって思ったのはどこかの誰かがやってたからそれを目にして企画をやりたいって思ったんじゃないところだよね。

か：中学生の頃からなんとなくずっと思ってたので。それにTHREEで知って好きになったバンドがたくさんいるので初めてはTHREEで絶対やりたいって思ってたんです。周りの同世代の子に聞くとやっぱり音楽って無料で聴くのが当たり前っていう認識もあるじゃないですか、今は。Music FM使ってるっていう話も実際聞くし。そういう概念がないから音楽にお金を使ってライブハウスに来なくなっちゃう。いずれどうなっちゃうんだろうなって思うことがあるんです。かっこいいと思うバンドは当たり前ですけどもっと色んな人に聴かれてもいいのになって思いますし、でもわたしにはそれをどうにかする力もあるわけじゃないので小さなきっかけでも作れたらいいなっていう気持ちでいます。よこちんさんとかみなさんの周りにはそういう中でも色々とおもしろいことや音楽を盛り上げていくようなことをしている人も音楽にお金と時間を使って楽しむ人もまだいるじゃないですか。便利なことはいいことだけど何年か先に、自分の同世代で私の周りにはそういう人がちゃんといるのかなって考えてしまうので、できることはやっていきたいなって思います。ライブハウスで好きなバンドを観ることはわたしの好きなことなので。

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最後に、会話の中では語りきれていなかったこともあるかなと、後日質問を投げてみました。

Q. パンクとかオルタナとかグランジとかインディーとか、今聴いてるようなのが好きなのって自分で考えてみるとなにか理由ってあるんでしょうか。たまたまとか気づいたらってこともあると思うんだけど、パンクだったらそのやってることとか姿勢とか、ギターの鳴りがとか、自分の耳にはこれが心地いいとかいろいろあると思うんだけど、流行ってるようなPOPSとか、それこそバンドでもメジャーっぽいわかりやすいのもあるわけで。自分できっとこういうところが好きなんだろうなってのがもしあれば教えてほしいです。気になったので。

A.ダイナソーから始まってオルタナは聴き始めて、パンクもダイナソーのルーツから辿ってBLACKFLAGだったりを聞いたのがきっかけです。割とルーツを辿ったりとかこことここが繋がってるみたいな発見が好きだったので色々ジャンル関係なく聞いてました。

オルタナに関してはあまり上手く説明できないんですけど、小さい頃に初めてダイナソーを聞いて何にも分かんなかったんなかでも今まで聞いたことのないサウンドに衝撃を受けました。ダイナソーはギターはすごいノイジーでめちゃくちゃなのに、歌はポップでそのあべこべな感じに惹かれました。その影響からかうるさいギターだったりが好きでノイズも心地よく感じます。オルタナという曖昧な大きなくくりの中で色んなバンドがいて何とも似てない、自由な独自の音楽を作り上げているところがオルタナを好きな大きな理由かもしれないです。

パンクはサウンドが好きで聴き始めたのですが、その背景にあったりするものも大事だなと思うようになりました。中身がスカスカの張りぼてみたいな音楽とかじゃなくて、ちゃんと主張したいことを音楽にして大きなメッセージ性をパンクは持っているので好きです。リアルなとこが好きです。でもなによりも音楽のジャンルとしてのパンクが好きなのも大きいです。聞いていて本当にわくわくします。大人があんなに楽しそうにしてるのを見ることはそうそうないと思います。

流行ってるような曲やポップスについてですが別に嫌いなわけではないです。ただ聞いていても何も感じないです。わくわくもしなければ衝撃も受けないです。似たり寄ったりなサウンドが多い気がしてしまいます。違いがわたしにはあまりわかりません。明るい曲ばかり歌うのはなんか怖いし、聞いていてもそのバンドだったり人が何も見えてこない感じがします。私はちゃんと主がある独自の音楽をやってるバンドが好きです。何にも似てない自由な音楽が聴きたいなと少なくとも思います。