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KiliKiliVilla新春スペシャル 熱戦・烈戦・超激戦 前編

START時刻。

シークレットアクトとして、ステージに立っていたのはマヒトゥ・ザ・ピーポーwith NEVER END ROLLERS。先日の全感覚祭でバンドとして息を吹き返し、岡山産の石原ロスカルという新しい心臓を得た、GEZANとして世に出る直前のサナギ。


「裸の付き合いしよーぜー!!!」とイーグルが高らかに宣言しながら、ロスカルが入ってからの新曲ばかりを披露し、最後に「イマジネーション」を鳴らす彼ら。

「年の瀬に銀杏のDVDを観て、安孫子さんベース弾いてるな〜、楽しそうな顔してて、今よりも痩せてるな〜、こんなアホみたいに笑ってる人とかでも、何年か経てば同じように笑って会われへんようになったりするんやな〜とか思ってて。」

「今日出てるのはキリキリヴィラがまっすぐ関わった人たちばっか集まってて、こうやって一緒にやれるのは当たり前じゃないぞって。思ってたんです。すごいことやなって。こうやってハモってる(考えてることは少しずつ違っても共に同じような方を向いたりしている)ことってめっちゃ貴重なんですよ。自分もこのレーベルが好きで、だから今年関われたらいいなと思って。どうでしょうか?安孫子さん。」

「もちろんでしょ!」との声がフロア前方にいるレーベル主からすかさずオフマイクで返される。

「えーリリースが決まったということで、キリキリラヴァーのみなさん、今年も応援してください。よろしくお願いします。」

「自分たちがライブができない時期に今日出ているような友達のライブを観て、家に帰ってなにもできないことに悔しくなって、そういうのを超えられるのって想像力で超えるしかなかった。イマジネーションで全部超えてこうって曲です。」

そう言って始まった「イマジネーション」。

『終わらない歌が終わったから暗闇なんだ現在

リンダリンダじゃもう震えない心からはじまる』

と聞こえた気がする。

フロアのちょうど真ん中では、このあと一番最後に出番を控える、真っ赤な服を着たCAR10川ちゃんがブランブランに首を振り、そこだけスポットライトに照らされたようにぽかーんと抜けて見えた。

ヒリヒリしたし、これはどのバンドも存分に自分たちのやり方でかまさないとすげー恥ずかしくなっちゃうやつなんじゃないかってすぐに思った。観客ながらスイッチを押された気分。

その後の出演者はどれも素晴らしいライブをしてくれて、少し短めの持ち時間と早めの転換時間で長丁場ながらあっという間に時間は過ぎていった。

お世辞じゃなくほんとうにどのライブもよく、全部しっかりとライブを観たのでなかなか疲労感を感じたほどだ。どのバンドにも想いはあるが、今回は抜粋して少しだけレポート。


NOT WONKは代表曲「Laughing Nerds And A Wallflower」から始まり、想像力について歌った「Imagine」など続けて新曲も披露しつつ、圧倒的に重ねてきたライブのタフさを発揮。

SUMMERMANは緊張感こそ漂うものの、1年前とはまた違ったステージにきた新曲群を惜しみなく出し切り、その雰囲気のまま純度とバンドとしての強みを増した姿に関係者の賞賛を集めた。

THE GUAYSから、フロアの反応が楽しみだなと思っていたパンクタイムが始まり、キャプテンの語りかけるようなやさしいMCと骨太でまっすぐな曲たちに呼応してキッズというには年齢も格好もバラバラなみんなが好き勝手に暴れていた。CAR10とのスプリットを経て完成した「stupid days」を始め、どの曲も思いにあふれた大切な曲なんだなとわかるようなライブ。

number twoにもそれは同じく言えて。彼らがパンクが何故好きなのか、どうして歌っているのかが一発でわかるような爆発力。一番アウェーなのかなと思いきや、やはり無敵の彼らはかっこよかった。牛くんの言葉は一番後ろの方で観ていた人にも届いただろうか。

Killerpassは新作の発表とメンバーの脱退が告げられてすぐのライブ。おばあちゃんの話然り、はやしっく節はいつも以上に炸裂していてたくさん笑ってたくさん興奮して何回もグッときた。「偽善者でかまわない」は必聴。

over head kick girlはおそらくこの日2番目くらいのバンド取り置き数で、やっとまた動き出せるようになって待ちわびたライブ。後半に向けてグイグイと盛り上がり、古くから彼らを知る人も新しく初めて観た人も賞賛するステージだった。もっとバンドとして動けたらもろもろもっとよくなるのは分かっているし、もうちょっと観たかったかなっていうのは正直なところ。口の下から流血しながらのライブだった。

JAPPERSはとても贅沢な気持ちいい時間を演出してくれた。あのHAPPYな曲が好きなんだよな。新作が世に出たら彼らを取り巻く環境が変わってしまうんじゃないかって期待している。

CAR10はしっかりとトリらしさなんか一切なく(褒め言葉)、いつもどおりに、でもいつもより今日一日分の最高の時間を噛み締めて吐き出していた。途中ベースのシールドに不具合が起きて音が聞こえなくなるも、誰かが駆け寄って原因を探って直すまでにいつもより時間がかかったのは、みんな恍惚としていたんじゃないかなってちょっとだけ感じた。「よっしゃー!」と叫んでアンコールもせずに終えた彼ら。「マチフェス」が今の代表曲になっていて、この曲や「ブロックパーティー」という曲でたぶん今言いたい大事なことは全部言っているのだ。個人的にもドンピシャで心奪われている。



KiliKiliVillaから出ているバンドは好きなバンドが確かに多いんだけど、なんていうか身内感とかいろいろ勘違いされているレーベルだと思う。「どうだかっこいいだろう?」とか「おもしろくない時代を変えるんだ」とかそんなイメージもへったくれもないと思う。レーベルとしては。今日だって「好きなバンドも友達もたくさんいるしまぁ当たり前に楽しいから行く」っていう感覚に近かったわけだけど、改めて客観的にいいレーベルだなと思った。バンド同士レーベルとしてまとまっている感もないし、単純にバンド同士がやっていることの違う互いのファンみたいな。だから、今後のリリースや動きで2017年は一部の近しい人のスッキリしないモヤモヤした気持ちも払拭されるんじゃないかって思ってる。勝手に。おかげでライブでたくさん刺激を受けて、自分の中の脳みそも心もかなりフル稼働した。誰かを突き動かすものは好きだ。




長くなったので次回へ続ける。ここでまだしていない話。SEVENTEEN AGAINが3人になった話。



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