僕にも20歳のころがあった。

僕は当時大学生だったが何のサークルにも入らずバイトと旅行ばかりしていた。それでも友達が全くいなかったわけではなく、なんとなく人に誘われるままいろんなところに出入りしていた。

あるとき、某サークルOBであるRさんが29歳の誕生日だから河川敷でバーベキューやるから来ないかと、退学した先輩Kさんから呼ばれてバーベキューに行った。

Kさんは6畳風呂トイレ共同のアパートに住んでおり、ロックバーKと称してよく皆で酒を飲んでいた。Rさんは29歳なのに何の仕事をしているのかよくわからない人だったが（あえて語らなかっただけかもしれないが）気さくな人で、酒を飲むと頻繁に全裸になる人だった。
ロックバーKには同じく退学したどういう繋がりかよくわからない先輩Aさんもよく遊びに来ておりAさんもよく全裸になる人だった。Aさんは全裸になるタイミングとかすばやさが天才的でちょっと目を離したすきにすぐ全裸になる人だったことを覚えている。

ロックバーKはアパートの2階で、トイレは1階だった。ある日Aさんがトイレに行くと言って1階に行き、追いはぎにあったと称し全裸で戻ってきた。するとRさんは俺が退治してやると1階に行き、俺もやられたと、同じく全裸で2階に戻ってきたことがあった。

バーベキューの話だが、僕は当時20歳で29歳という年齢は大人で大先輩だというイメージであった。
ひととおり誕生日バーベキューがすすみ、それなりに満腹になったころ、Rさんがふと「俺はもう若くないよな・・・」というようなことを言いしんみりしたところ、Aさんが「そんなことないよ若いよ」と言ったところ、Rさんが、A君走ろうかと言い、河川敷を二人で全力で走り出した。
夜だったのだがかなり遠くまで走っていったのが分かった。そして二人で全裸で走って帰ってきた。Rさんは全裸で側転したり走り回ったりした挙句、体育座りになり「もう我慢はしたくないんだよ・・・」と言ったのを聞いて29歳は大変なんだなと僕は思った。
当時いたメンバーはこのことを誰も覚えていないかもしれない。なのでここに書いておく。その後RさんとKさんは服を着るために再び走り出した。Rさんはズボンが見つからないと下は下着だけで戻ってきたので、何人かで探しに行った。

今僕は「もう我慢したくない」という当時のRさんの気持がなんとなくわかる。