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母の人生だから

80代の父は暴言のひどい、人として尊敬するところのない人間だ。

今は自分で動けるものの、失禁なども加わり人の手無しには暮らせない。そんな父と母は二人暮らしで、母に電話すると度々愚痴を聞かされる。

子どもたちとしては当然施設に入れた方がいい、資金は援助すると伝えている。

しかし母は、施設に入れないという。父の残された身内は、遠く離れた地にいる認知症の妹だけで、ほかには皆いなくなって可哀想だから、と言う。80を超えているのだから、身内が少なくなっても当然のような気もするが、あんな父にも情があるらしい。全く理解できないが。

子どもたちからすれば、そんな遠くの妹を心配するより、自分の妻や子どもを大切にする人生を送ってくれば、今みたいに疎まれない人生を送れたのにとしか思えない。いい父ではなかった。

子どもとしては、母の人生はどうなるのかと、父の入所を勧めてきたが、どうしても決断できないらしい。

母の考えがそうであるなら、それはもう母が自分で選んだ人生なのだと思うことにしている。

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